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異世界でB地区の神様になったけど、誰にも言えない  作者: フカヒレさん
第四章 金と恩とおっぱいと
203/214

ポミケの勝利者

 

 モーゥ!


「おいおいハナ、歩きにくいだろ?」


 モゥモーゥ!


「はっはっは。仕方のないヤツめ」


 しきりに頭を擦り付けてくるハナを撫でながら、俺は再び「ポミケ」の会場に戻ってきていた。

 ハナはあれから牛に戻った。あっという間の変身だったので夢かとも思ったが、すぐに人にも変われたので変身は自由自在らしい。

 結局、ハナが人への変身が可能になった理由は不明だ。

 ハナが日頃からそう願っていたらしいとはいえ、まさか「美人になるポーション」が効いた訳も無い。理由は別にあるだろう。

 モンスターなどにも魔術や技巧を使う個体だって居たのだし、そういったスキルが無いとも言い切れない。いつハナが習得したかの疑問を除けば、充分に考えられる。


 まあ、今は良い。

 馬鹿の考え休みに似たり。思考を放棄するのも駄目だが、囚われすぎるのも良くない。

 とりあえず、ハナが幸せそうならそれで良し。しかし、本当にいいおっぱいだった。アレを毎日味わえると思うと――ふひひ。


 モーゥ?


「ああ、いや。別に腰が痛いわけじゃないんだ。男ってのは、定期的に前傾姿勢になる習性があるんだよ――とはいえ……」


 とはいえ、俺はハナのおっぱいに少なく見積もっても5~6時間は溺れていた。ハナもそれくらいに感じたと言う。

 時計など持っていなかったから正確な事は言えないが、10分20分では済まなかっただろう。


 たびたび離れようとしたのだが、


 ・


「まだ宜しいでは御座いませんか。ハナのお乳は、まだまだムネヒト様に愛されたいと申しております」


 とお願いされたらアンコールも止む為しというもの。また逆に――、


「ムネヒト様、そろそろ行かなくて宜しいのですか?」


「まだまだ……もうちょっとおっぱいと戯れさせて……」


 ・


 ――と言えばハナは快く頷いてくれたしで、二人してイチャイチャモミモミしてました。


 おっぱい欲が一段落し、流石にヤバいかな……と、かなり手遅れ気味で古びた牛舎をコソコソと後にした。

 自分が原因の修羅場を放って超乳美女に溺れてましたとかいうヤツが居たら、助走つけて顔面を殴っているところだ。しばらくは鏡を見ないようにしないと。


 違和感を覚えたのはその時だ。

 薄暗い屋内に居たから急な日差しに目が眩んだのだが、ふと日の高さがほとんど変わっていないことに気が付いた。

 ルーカスに襲撃され、更にアレをボコり、女の子と修羅場ってたのが昼頃。数時間経ったというのなら今は夕方か宵の筈。


 だというのに日は中天に在る。まさか24時間おっぱいと戯れていたのかとも疑ってみたが、それにしては何かおかしい。

 原っぱで日向ぼっこして居た牛達に話を訊き――バンズさんは所用で外出中らしい――違和感を強くした俺は、再び「ポミケ」会場へ向かうことにした。


「ハナ。さっき転移みたいなヤツ、また使えないか?」


「お任せください。ですが、先の場所とは少し違う場所になるか思います。ハナが行けるのは、印が有る所か、ハナの純粋なお乳を垂らした場所に限りますので……」


 いや何そのシステム。

 印ってのは多分、俺の考えたあのおっぱいマークだろうけど、そんな魔術意図して施した物じゃない。というか、転移府の類いってそんな作り方をするのだろうか?

 そういえば、アメリアかコレットにもおっぱいマーク刺繍がされたハンカチを貸していた。ハナの言うとおりなら、それを目印にしてワープみたいなのが出来るかもしれない。


 ……急に現れるのは何となく気が引ける。

 それに数時間も経過した今、二人は『ポミケ』会場に居ないかもしれない。また、アメリアやコレットが何処かの屋内に居た場合、ハナにも二人にも迷惑を掛けてしまう。


 そう考えた俺達は、結局ダッシュで会場に向かうことにした。かなり原始的な方法だが、高速馬車より早いし贅沢は言うまい。

 再び『ポミケ』へ戻ってきた俺が目にしたのは、数時間前と全く変わっていない状況だった。

 今も死骸の後始末をしている冒険者達、怪我の治療を受けている参加者、ポーションを配っている薬師などの様子から、時間が経っているとも見えない。


 俄には信じられないが、時間が全く経過していないのだ。


(考えられる原因は――)


 俺は『乳分析』と『索乳』を発動し、甘えた声で鳴くハナの方を見た。


 ・


【ハナ】

 称号

『神獣』

『絶対乳域特級保持者』

『神乳創成者』


 固有スキル

勝利を冠(ヴィクトリア)する白(・ヴァイス)』★

白停世界の対(ホワイトペア)

乳門乳道(ニューゲート)』 ※ ハイヤ・ムネヒトより借受中

 所有スキル

 無し


 トップ 332㎝ → 137㎝(V)

 アンダー 測定不能 → 74㎝

 サイズ 5.3㎝

 48ヶ月物


 レベル 81

 体 力 2,108,181,018,835,262,801/1555

 魔 量 315,279,368,705/1169

 筋 力 1533

 魔 力 1008

 敏 捷 1139

 防御力 1560

 累積経験値 1,915,500,817,364,906,684,011,338,789


 右上乳首感度 77 (ハイヤ・ムネヒトに対してのみ+99)※牛時のみ

 左上乳首感度 78 (ハイヤ・ムネヒトに対してのみ+99)※牛時のみ

 右下乳首感度 47 (ハイヤ・ムネヒトに対してのみ+99)

 左下乳首感度 46 (ハイヤ・ムネヒトに対してのみ+99)


 ・


 ……ハナ強すぎない? これ下手したら、今まで会ってきた中で最強なのでは?


 色々気になることはあるが、いま特に気になっている彼女のスキル――『白停世界の対』というもの。

 似たような名前のスキルが俺のステータスにも更新されていたからだ。


白停世界の主(ホワイトゼノン)』 ← (New)

 ・複合スキル。術者と対者の体感時間を加速させる。『白停世界の対』を発現した者の乳房に触れている間にのみ使用が可能。

 接触箇所が乳首に近いほど効果は増大。一つの乳首に付き最大81倍。授乳、搾乳時は最大314倍。

 のんびりおっぱいでも吸ってれば良いよ。


 ・


 説明文を信じるなら、俺とハナは最高314倍の……いや、両乳首責めとかしたし、部分的には628倍に引き伸ばされた時間の中に居たということになる。

 仮に1秒を314秒に感じるということは、6時間(21,600秒)のおっぱいタイムは、たった70秒程度の出来事だったということ。

 だとするなら、会話していた時間や移動時間を考慮しても、此処を離れてから一時間も経っていまい。


 馬鹿なの……?


 時間系の能力といえば、チートスキルの中でも代表格かつ別格のチートスキルだ。あらゆる漫画、アニメ、小説において圧倒的な人気を誇っている。

 遂に俺にも憧れのチートが――! とテンションが上がったのは、ほんの一瞬。だって、ねえ?

 もし強敵が現れて超高速戦闘を強いられても、俺だけじゃこのスキル使えないし、仮に実践するにしても――。


『駄目だ強すぎる……! このままでは勝てない! ハナ、奥の手を使うぞ! おっぱいを出せ!』


『御意に!(どぷるんっ!)さぁ、ムネヒト様!』


 ぱくっ。


『あひぃぃぃぃん! か、加速しゅるぅぅぅっ!』


『もごごごごごー!(よっしゃ行くぞぉぉぉ!)』


 ・


 俺もう死ねば良いのに。


(でもまあ、時間を気にせずおっぱい愛でられるのは良いな……ふひひ)


 俺のおっぱいスキルは元々戦闘用に使う物じゃない。全てのおっぱいの為に有る。

 そう思えば、真っ当なスキルかそうじゃないかなんて考えるのもおこがましい。おっぱいの幸せのために使えれば充分だ。

 あとは先ほどの謎ワープスキルらしい『乳門乳道』なる項目だが……これは後でで良いや。


「ともかく今は皆を探さないと……ん?」


 とりあえず会場の中心へ戻るかと踵を浮かせた所で、やけに活気のある人だかりがあった。

 もともと凄い混雑具合だったが、あの辺りは特に熱気が凄い。一斉に誰かを囲んで拍手したり、いかにも商会の重鎮らしい人が集まって我先に声を掛けていた。

 空港などで著名な芸能人を出待ちしているファンのような活気だ。


(誰か有名人でも居るのか?)


 人が集まっていれば、ついつい自分も足を運んでしまう。俺と同じような野次馬もかなりの数が居た。


「わ!」


「あひゃあ!?」


 後ろから声を掛けられ、つい飛び上がってしまった。驚きのあまり、ハナに跨がってしまう。


「ぷぷぷっ! あひゃあだって! 相変わらず、ムネっちは後ろが弱いわね」


「その声は、リリ――むぐっ!」


 振り返ったところで、急に口を押さえられた。


「しーっ、仮面つけてんだから、名前呼んじゃダメでしょ?」


 彼女――リリミカは仮面の下でウインクし、人差し指を唇に当てて見せた。


「あ、ああ、すまん――って、なんだその格好……?」


 彼女の姿を改めて確認すると、何とも不思議な格好をしていた。

 まず髪の色から違う。染髪の魔道具でも使ったのか鮮やかな金色になっていた。

 次に仮面。顔から上をすっぽり覆い、両の蒼い瞳だけが見えている。

 そして――牛柄のビキニ。

 下半身こそデニムのホットパンツに武骨なブーツだが、リリミカの若く健康的な肌が日に照らされ、瑞々しく輝いていた。

 小柄で細身だが健康的な美に溢れ、ウエストもヒップも芸術のように括れている。

 手の平サイズのおっぱいは、張りのあるお椀方。くっきりと牛のブチに覆われ、流れた汗まで宝石のようだ。


 正直、とてもそそられる格好だった。

 思えばリリミカとも一週間ぶりであり、最後に会ったのは『クレセント・アルテミス』でだ。

 あの時は三人娘に脱がされエラい目にあったものだが、リリミカは一向に気にした様子がない。

 人懐っこい笑みを浮かべて、その場で軽やかに回ってみせた。


「ふっふっふっ。今の私は名もない薬売りのカウガール。名の無い(ノーバディ)公爵令嬢(・デューク)よ」


「ノーバディ・デュークだって……!?」


 か、格好いい……!

 思わず呟くと、彼女は更に得意気に笑ってポーズをとる。危うい布で守られたBカップが眩しすぎて直視できない。ハナの超乳も超好きだけど、リリミカの慎乳も愛しています。

 あの布の下にある神秘のバストが俺のチェストと擦りあったと思うと、どうにもハラハラしてくる。


「でしょでしょ? ミルシェは微妙な顔してたけど、アンタなら分かってくれるって思ってた! ね、ね、可愛い?」


「うん、可愛い……可愛くて格好いい……」


「んふふふ! もっと情熱的に言ってみ?」


「――今度、その格好で俺の部屋に来い。名の無い公爵令嬢の全てを、月光の下に暴いてやる」


「や、やだ……格好いい――!」


 閑話休題。


「で、なんでこんなトコに居るんだ? 散歩にしちゃお洒落すぎだろ」


「それはミルシェに訊いた方が良いわね。ムネっちの借金を返すために、自分も『ポミケ』で牛乳ポーション売るって張り切ってたんだから」


「ミルシェが!?」


 なんということだ……まるで借金に溺れた夫を救う甲斐甲斐しい妻みたいじゃないか! ――って、誰が夫やねんフヒヒ!


「なるほど、だからお前も……わざわざ正体を隠してポーション売ってたのか」


 チラシでも見たが、確かクノリ家は『ポミケ』開催に置ける出資者の一つだった。

 そこの令嬢が個人に肩入れしてポーション売ってるなんて喧伝されれば、不正を疑われるかもしれない。


「そ。でも、あんまり売れなくてさ……謳い文句が弱かったのかなぁ」


 チラと、仮面のリリミカは視線を後ろに流した。後ろには上等なリアカーがあり、その上には瓶や金属缶が並んでいる。

 因みにリアカーの側面には色々なキャッチコピーが書かれ、ことごとくボツにされていた。


『ミルシェ生搾りおっぱいポーション』

『牧場娘製、豊穣なる恵みポーション』

『これでこんなに育ったよポーション』

『私のミルク、沢山飲んでポーション』

『某公爵姉妹御用達の育乳ポーション』


 個人的には好きだけど、確かに些かインパクトに欠ける……のか?


「ふん。何が育乳ポーションですか、せめて、ちゃんと育ってから宣伝してください。そもそも(その)柄はお乳のサイズが100センチ越えないと纏うことの出来ない柄なのです! 貴女のような雑魚お乳ではむしろ恥の上塗り、とっとと脱いで失せなさい!」


「ちょっと誰とんでもない暴言吐いたの!? 70センチ代ナメとんのかコラァ!」


「そ、そ、そんなことより! そのミルシェは何処だ!? 一緒じゃなかったのか?」


 憤るハナを背に隠し、わざとらしくミルシェを探すフリをする。


「実ははぐれちゃってさ、私も探してるのよ。『ミスリル・タワー』に入る前だったから大丈夫とは思うんだけど……そういえば、アンタは誰と――」


 ――おい聞いたか! 『ポミケ』初参加なのに、スゲーよな!


 リリミカの言葉を遮り、野次馬の一部から大きな声が上がった。声の主は隣の仲間達に話しかけたらしいのだが、必要以上にボリュームが大きかったので、俺もリリミカも注意を引かれてしまった。


「聞いた聞いた! 何でも、逃げてきた参加者や薬師達にタダ同然でポーションを配って皆を力付けたらしいぜ!」


「そのポーションがまた旨いの何の! 俺も飲んだが、こう、腹の底から力が湧いてくるってのいうかよ!」


「ほー。けどそれってよ、火事場を利用した売名行為とか偽善活動とか、そんなんじゃねえのか?」


「ァア!? 彼女のこと悪くいうと俺が承知しねえぞ! ありゃあそんな小さい了見でしてんじゃねえよ!」


「テメェもあの娘に会ってポーション貰って飲んでみろ! 口の利き方に気を付けろやタコ!」


「わ、悪かったよ、そんなに怒るなよ……つーか何? お前ら、その子のファンにでもなったのか?」


 どうも一人の女薬師が凄い支持を得ているらしい。

 聞けば然もあらん、苦労して作ったポーションを利益にもならない価格で分け与えたというのだ。こんな事態になってしまったのは、勿論その薬師の責任でも、他の薬師達でも客の責任でもない。


 だというのに彼女は心を痛め、少しでも元気になって貰いたいと自分が作ったポーションを配っているという。

 それを野次馬の男共は(恐らくは頼まれもして無いのに)繰り返し熱弁している。

 立派な人も居るんだと、俺も男の話を側で聞いていた。


「――でよ、その上手いポーションを審査員達も、同じ部門に参加していた薬師達までもが大層気に入ったそうだ!」


「はー! 大したもんだ! しかもとびっきり可愛くて、とんでもねえボインちゃんなんだろ!? なるほど、どおりで商会の連中が色めいてるワケだ! そんな金の卵を商人が放っておく理由がねえわな!」


「でも、『ポミケ』は後日に延期されるそうじゃないか。それなのに今から()()は良いのか?」


「それがよ、確かに『ポミケ』にゃあ歴史もあるし、いくらこんな事態だからって簡単に授与は出来ねえ。けど、前例の無い新しい部門なら大した問題じゃないって運営は判断したらしい」


 俄然、興味が出てきた。

 美味しいポーション作りと言う同じ道を志すものとして、後学のために教えを参酌しないと。勉強のため。薬師が可愛くてボインらしいからじゃないんだぜ?


 モーッ!


「あ! ハナ!?」


 上手く前に進めない事に難儀していると、どうしたことか、突然大きな声を上げてハナが騒ぎの中心へと走っていった。

 客達は向かってきた牛にぎょっとし、サッと左右に分かれた。その後についていくのが俺とリリミカだ。


「コラハナ! いきなり危ないだろ! いったい何が――あ」


「ムネヒトさん! リリも一緒だったんだ!」


 ハナがしきりと甘えている相手はミルシェだった。

 おおよそ二週間ぶりに見た彼女の姿は、此処が家でも無いのに『ただいま』と言いたくなる気持ちにさせる。

 はち切れんばかりのMカップに頭を擦り付け、モゥモゥとミルシェに甘えているハナがちょっと――いやだいぶ羨ましい。

 此処で俺と会うとは思ってなかったのだろう、ミルシェも意外な顔をして驚いていた。また、多くの人に囲まれて困惑していたらしく、同時にホッともしていた。


「良かった……二人とも無事だったんですね!」


「いや、それは俺の台詞……というか、これはいったい何の騒ぎ……」


 ふと見れば、彼女の頭の何かが乗っかっている。それは小さな金色の王冠だった。

 更に言うなら、彼女の肩には王様が着てそうな赤いマントが掛かっているし、手には透明のトロフィーを、やや持て余し気味に抱えていた。


「えっと……その……」


 ミルシェは恥ずかしそうに唇をモニュモニュさせると、やや上目使いで俺を見てくる。


「優勝、しちゃいました……」


 俺の女神が優勝しちゃってた。


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