プロローグ2
のんびり続きます
「残念ですがムネヒトさん、貴方は死にました」
「……………………え?」
気がつけば俺は何も無い所に立っていた。
本当に何も無いのだ。
真っ白な地面に、真っ白な空?にただ阿保のように突っ立っている。今まであった繁華街の賑やかな喧騒は夢みたいに消えていた。
むしろ今が夢なんじゃなかろうか?
だって、ねぇ?
「あの……死んだって、俺が?」
自身の置かれてる状況も何一つ解らないのに、いきなり死にましたって言われても混乱が深まるだけだ。
「はい。事実です」
やや離れた所に立っている若い女性……中々の巨乳でかなりの美人だ。申し訳なさそうな表情は、何でも許してあげたくなる庇護欲を掻き立てる。
でも死んだ事を受け入れらるかは別の話だ。
「ま、待ってください! 死んじゃったワケ無いでしょう! だってこうやって……」
「……ここは死語の世界と現世の間、貴方の国で言うなら三途の川に似通った場所です」
「そ……」
そんな話があってたまるかと、俺は直前の事を思い出す。
日の傾き始めた土曜日の夕方、これからが本番だったんだ。俺にとっては一生一代の大勝負、それこそ超有名な文化遺産から飛び降りるかの如くだ。
念入りに歯磨きしシャワーも浴び爪も切り、普段は付けないようなフレグランス(しかも大手百貨店で購入したブランド品だ)を振り掛け、夜の街へと繰り出したのだ。
そして目的の店まで、あと何100メートルも無いといった所で――。
「そこで貴方はトラックと衝突しました」
「!? 俺いま、口に出してた……?」
「いいえ、ですが私には貴方の心が読めます。こう見えても女神の端くれですから」
「……女神?」
「女神です」
コクン、と僅かに顎を下げる自称女神。
確かに人間離れした美人さんだが……。
これはもしやアレか? プレイの一環か? 成人向け店に入った途端になりきり遊びが始まったパターン? 未だかつてこんな店に来たこと無いから、全く解らないがそういう事なのでは?
正直そっちの方が納得がいく。だってこの女神サマ、おっぱい大きいし。
「違います!」
顔を真っ赤にさせて女神(仮)は叫んだ。
「気が動転しているのは解りますが、本当なんです! 貴方は死んでいるんです!」
やや興奮気味に彼女は言葉を繋ぐ。力んでいたからか、両の翼がバサリと羽ばたいた。
ん……? 翼……?
「やっと気付きましたか……私の胸ばかり見てるから目に入らないんですよ……」
彼女の真っ白な翼を、図星を言われてようやく気付いた。
風も無いのに軽やかに揺れる純白の羽は、目利きじゃない俺の目から見ても作り物じゃないと分かった。あまりに美しく現実味がわかないほどに。
「落ち着きましたか? では説明させて頂きますね」