プロローグ1
俺は灰屋 宗人。唐突な自分語りで恐縮だが、大のおっぱいが好きだ。
世の中の男性諸君もきっと同様だろう。もしかしたら好きではない者も居るかもしれないが、少なくともそんな例外に出会ったことは無い。
どんな大富豪もイケメンだって、おっぱいへの思いを胸に秘めているハズだ。胸だけに。
未熟の身ながら俺もその末席にいる。
成人向け雑誌や動画の99%は女の子の胸で決める。見出しやタイトルがおっぱいをメインに据えてる風なら、なお良い。
漫画やアニメに登場するヒロインの中で、誰が一番の巨乳か慎乳(貧乳の別名、慎ましい乳房のこと。品乳でも可)かを真っ先に確認するし、スリーサイズだって基本バストの表記しか見ない。
まあ、その程度にはおっぱい好きって事だ。
そんな俺は宿願を果たそうとしていた。言わずもがな、生おっぱいを触りに行くのだ。
社会人になって最初のお給料を握りしめ、そういうお店に予約を取った。あんなにバクバク脈打つ心臓と震える指は近年の記憶に無い。
初任給の使い途は両親への孝行と決まっているらしいが、俺は既に天涯孤独の身だからそれは叶わない。だからという訳では無いが、この給金の行き先はずっと前に決まっていた。
22歳で未だ女性と付き合った事の無い俺は、親孝行ならぬムスコ孝行をするというワケだ(笑)。
時刻が迫り予約したお店へ急ぐ。期待と不安に胸が巨乳女子のように揺れるが、それはもちろん気のせいだ。
夜の繁華街へ……いや大人の階段へ足を一歩踏み出そうとした瞬間――。
俺は車にはねられ、命を落とした。