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私の求める愛の証明

公園のベンチに座るカップル。

女が言った。

「私のこと愛してる?」

「もちろんだとも」

「どのくらい?」

男は小首をかしげた。

彼女への愛の大きさか・・・

「このくらい、愛してるよ。」

男は両手をいっぱいに広げた。


「うれしいわ。」女はにっこりと微笑んだ。



翌日、二人は海に来ていた。

「私のこと、どのくらい愛してる?」

男は昨日と同じように、両手をいっぱいに広げてみせた。

「それは昨日見たわ。今日の愛はどの程度?」

彼女はさらに大きな愛を求めているらしい。

目の前には、青い海原が広がっている。

「水平線の彼方まで広がる、大海原くらい愛してるよ。」


ブルーの目を細めて、女はにっこりと微笑んだ。



また翌日、二人は夜の星空を見上げていた。

いつものように女が言った。

「私のこと、どのくらい愛してる?」

「この無限に広がる宇宙くらい愛してるよ。」

男は落ち着いて言った。


「わたしも愛してる。」

そう耳元でささやき、女はにっこりと微笑んだ。



さらに翌日、二人は公園のベンチに座っていた。

「私のこと、どのくらい愛してる?」

「それは・・・・」

言葉に詰まった。

『宇宙』より大きなものを、男は知らなかった。


「私のこと、愛してないの?」

涙目になる女を、男は必死になだめた。

しかし、どんな言葉をかけても女は泣き止まなかった。

「私のことを本当に愛しているなら、宇宙よりも大きな愛を証明して見せて!」

そう言って女は泣きながら帰ってしまった。



重い足取りで、男も帰路についた。

家のポストをのぞくと、見慣れないチラシが入っていた。


『<宇宙石の指輪>宇宙よりも大きな愛を証明したいあなたにオススメ。先着1名様に100万円でお譲りします。』


男は飛び跳ねて喜んだ。

この指輪こそ、彼女への愛の証明にふさわしい。


早速、チラシの番号に電話する。

「もしもし、宇宙石の指輪をください。はい、現金100万円ですね。用意します。すぐにでも届けてください。」


男が話す電話の向こうで


女はにっこりと微笑んだ。


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