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とある人の遺書(一部)
…私は、あなたのことを愛していました。ただそれだけでした。シンプルに愛していました。けれどあなたと会うことが許されないために、ならばいっそ嫌いになろうとしました。しかし嫌いになろう、忘れよう、日野櫻子なんていう人は元からこの世にいなかったんだとそう思う程にあなたは私の脳裏で蠢き、それからそこにこびりつくのです。私は苦しみました。どうしようともその苦しみは消えてくれませんでした。気がつけば私は死ぬことばかり考えるようになっていました。だって死ぬより他にその苦しみから解放される術がもうなかったのです。私があなたを忘れられない代わりに、私が死ぬことであなたが私を忘れられなくなればいいとさえ考えました。私の唯一の希望は死の向こうにしかありませんでした。