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第三話 女性な少年 まさかの展開?




設定まで投稿して、本文中に名前まで出してしまったキャラたちのうち、主役の冬花と勇希しか登場させていない、という状況になってしまいました…。

まあ、徐々に出していきたいと思ってますので、気長にお待ちください。


初めて冬花に会ったのは、俺が小学生になった年だ。


父さんの親友、絋さんが、俺の入学祝を持ってきた日、奥さんの由美さんの足にしがみついている、金髪のちっちゃい女の子が冬花だった。


その頃の冬花は、同年の子どもと比べても圧倒的に小さかったうえに、病弱だったため、長い病院暮らしをしていて、少し前に退院したばかりだったらしい。


だから、俺と妹に遊び相手になってほしい、と思って、ついでにつれてきたと言っていた。


小さい頃の俺は、金髪の子どもなんて、自分と妹くらいしか知らなかったから、もう一人妹が出来たようで嬉しかった。







家が近所(と言っても、俺ん家がデカすぎるため、天崎家まで徒歩で20〜30分位かかるけど。)で、俺ん家の庭が広かったから、いつも一緒に遊んでいた。

冬花が小学生になる頃には、硬介や翔太、玲花も、俺達と一緒にいた。




あいつは、小学生のころから、かなり頻繁に犯罪に巻き込まれていて、常に悲しみと恐怖に飲まれているような目をしていた。


だけど、俺が慰めると、目の輝きも戻り、笑顔になってくれた。

それが、俺は嬉しかった。




俺が中学生になってからは、あまり話す機会はなくなったが、それでも、あいつは俺を心のよりどころにしてくれていた。

俺は、妹分として、冬花を大事に思っていた。








だから、気付かなかった。

いや、気付こうとしなかった。







見た目は子どものままでも、中身はしっかり成長しているんだということに。








それも、俺なんかよりも確かに――







「無責任すぎるよ。」


今まで、俺に一度も見せたことがない真剣な目で、そう言われた瞬間、本当に一瞬で頭が冷えた。





それは、見た目も中身も子どもっぽい、二学年も年下の幼馴染みの少女が、俺に対して、初めて大人な一面を見せた瞬間でもあった。




それは俺に、不思議な喜びを与えると同時に、俺に冷ややかな事実を教えた。




――俺は、俺が思っているほど、冬花のことを知らない。


と。




よく知っているはずの妹分が、急に、噂で聞いた程度の女の子のように思えてしまった。




それに、俺は無責任、と言われたことも考えていた。

そう言われて、初めてここ数年の俺の行動を振り返る。

そして、自分がいかに無責任かを痛感した。

無性に悔しかった。





俺は自分で気付くことができなかった。






冬花は、心配してくれた人に説教を返す、という嫌な役を、自ら買って出てまで、俺に気付かせてくれた。




そして、そんな冬花に対して今、俺は愛しさを感じていた――





「じゃあ、またね。」


「ああ、またな。」



冬花が去ったあと、俺は色々なことを考えていた。

仕事、部活、彼女、そして、冬花に感じた愛しさ……


まさか、俺は、冬花のことが…?


…有り得るかもしれない。



さっき、普通に「送ろうか」と言ったことだって、よく考えてみれば、いつものことだ。


何かの事件に遭って塞ぎこんだ冬花を慰める時は、何時だって、他のどんな予定よりも冬花を優先してきた。


慰める時に、言葉だけじゃなく、軽く抱きしめたり、頭を撫でたりするけれども、それだって

「こうすれば冬花は落ち着くから」

という理由だけじゃなく

「俺が冬花に触っていたいから」

という理由があるからだ。




…考えれば考えるほど、それが正しいような気がしてくる。



(でも、アリなのか?俺!

冬花は大事な妹分だぞ!?恋愛感情持ったまま接していいと思ってるのか!?)



…多分、この時の俺の頭の中には

『妹分な幼馴染み=妹』

という馬鹿な勘違いが定着していた。

だから、本当に真剣に悩んでいた。







「いい子ねぇ、あの子。貴方のことをよーく見ているみたいだし。

何より、見た目も中身も可愛らしいわ♪」


「うわぁっ!?み、瑞穂!?」


すうっと、後ろから現れたのは、待ち合わせしていた彼女の瑞穂だった。




「やほぉ、勇希ぃ♪瑞穂ちゃんだよぉ〜ぅ♪」




…テンション高ぇ…



こいつが今日、俺を呼び出した理由はなんとなく予想がつくが、このテンションの高さは異常なような気がする…





「今日、勇希を呼び出したのは他でもない……








ずばり!!










あたし達!別れましょう!!♪」






…随分楽しそうに言い切ったなぁ……


…話の内容と場の空気が一致しないし…



…まあ、未練は無いかな…




たったの二週間だったし、友達の延長みたいな付き合いだったし。




「…で、なんで?」



一応聞いとこう。ロクな理由でないような気がするけどな…。





「恋だの愛だのってあたし、よくわからないのよねぇ…

だからさぁ、男友達で一番仲良かった勇希と付き合えば、なんかわかるかな?

って思って告白してみたんだけど、いざ付き合ってみても、付き合う、ってなにすればいいかわからないし…

結局、あたしには恋だの愛だのはまだ早い!って思ったのよ♪」




「…どーりで、友達の延長のような付き合い方だと思ったよ。」





「…ただね、あたしの勝手で告白したのにあたしの勝手で別れるのはさすがに酷いかな、と思ってたの。

そしたら勇希、あの女の子といい感じっぽかったから、やっぱり別れを切り出すなら今かなぁ、と」




ちょっと決まりが悪そうに言う瑞穂。





成程、テンション高かったのは純粋に嬉しかったからなんだな。



俺に次の相手がいれば少しでも罪悪感が薄れるから。



「まあ、よく考えもせずにOKした無責任な俺も悪いんだし。

結局、俺とお前は『友達』が一番しっくりくるんだよな。

お前の言う通り『恋人』はもうやめようか。」




「ええ、そうしましょう。」


と、ホッとした表情で、瑞穂はそう言った。




こうして、俺の『異性交遊最短記録』は大きく塗り替えられた。




「ところで勇希、さっきの子、入学式の日に、あんたと一緒にいたけど、あたしを見て逃げていった子だよね?しかも、入学してたったの二週間で学園一の可愛い系美少女として、有名になった子でしょ?」




前半は兎も角、後半は初耳だ。


「ああ。よく覚えてるな。」






* * * * * * * * * * * *




あの日、冬花と話していたら、やはりハイテンションな瑞穂が走ってきたんだ。



「彼女さん?」


と訊かれて、



「まあな。」


と答えたら、冬花の目が、沈み込んでいるときの“あの目”になって



「あ、そうなの…。じゃあ、私は帰るね。」


と言って、冬花は瑞穂から逃げる様にして去っていった。



* * * * * * * * * * * *




「ねぇねぇ♪どんな関係?」

瑞穂のやつ、楽しそうに訊いてきやがったよ。



「近所に住む、二つ年下の幼馴染みだよ。

小さい頃から俺に懐いてた。」




「あら♪そうだったの♪それで…」

なにかを納得したように頷く瑞穂。




「それじゃ、あたしは先に教室戻るわ〜♪

勇希と学園一の可愛い系美少女が幼馴染み、っていう面白い話も聞けたし♪またね〜♪」





「あ、瑞穂。」



「ん?何?」



とりあえず。



「余計なお世話かもしれないけど、お前、自分を引っ張っていってくれる男とだったらうまくいくと思うぜ。」



「!!」


助言でもしてみた。


瑞穂は、普段はあの調子で、大雑把でハイテンションだけど、たまに見え隠れする“本当の”瑞穂は寂しがり屋で気が小さいからな。

きっと、想ってくれる相手に引っ張られていく方が幸せになれると思うんだよな。




「あ…あはは、ありがと。またね〜♪」



「おう。またな。」



瑞穂は動揺してはいたが、いつも通りの調子で、校舎内に入っていった。






さて、俺も教室に戻ろう。


でも、本当にどうしようかなぁ…。



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