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第二話 小さな少女 幼馴染みにばったり遭遇



…ああ、自分の文才の無さに泣けてくる…。

文章的におかしな所もあると思いますが、広い心で読んでいただけるとありがたいです。

「よっ。冬花。」



「…勇くん?」



教室に戻る途中、玄関前で勇くんに会った。




白金 勇希――勇くんは、私の二つ年上(七月から十二月までの間は三歳差になるけど。)の幼馴染みで、私の初恋の人。


…今も彼に恋してるんだけれどもね。

だけど、自分から行動に出るほど積極的にはなれないでいる。


その理由のひとつとしては…。


今、勇くんには彼女さんがいる。

勇くんはとっても女の人っぽい外見だけど、かなりもてる。

だから、恋人がいない期間はかなり短い。



もうひとつの理由。

まあ、これが一番大きな理由なんだろうけど。


簡単に言うと、ただ、私が臆病なだけ。

大抵、今日こそは、今日こそは…、と言い訳しているうちに、勇君に新しい恋人が出来ちゃっている。


それでも、私は勇君を諦められない。





私は基本的に大体の男の人が恐怖の対象になるので、勇くん以外の男の人を好きになったことはない。

男の人にあまり近寄られるとぞぞっとするし、触られると悲鳴をあげてしまう。

だから学校では、玲ちゃんが男の人を遠ざけてくれる。






「なあ、顔色悪いぞ。大丈夫か?」


私の顔を見て、驚いたように勇くんが言う。



「え!?あ、あぁ、うん。大丈夫。ちょっと男の子に触られただけだから。」



「なんかあったのか?いつも一緒にいる玲花もいないし…」




「…うん。男の子に告白されたの…。

断って、帰ろうとしたんだけど、引き留められて…その時に腕を掴まれて…」



思い出しただけで、身震いしてきた。



「そうだったのか…教室まで送ろうか?」




「ううん。一人で帰れるからいい。それに、彼女さんと待ち合わせをしてるんでしょう?ここにいなきゃだめじゃない。」




「…よくわかったな。」



「さっき彼女さんに会ったもの。」




そう、さっき、校舎の正面玄関に来るまでに、彼女さんに出会していた。

難しそうな顔をしていた彼女さんは、私の顔を見て、一瞬、微笑んでくれたけど、すぐにまた難しい顔をして考え込んでいた。

どうしたんだろう?彼女さん。



…でも、今はそんなことよりも。




「ねえ、勇くん。」



「ん?」






「…ちょっと無責任すぎるよ。


私を気遣って言ってくれるのは本当にありがたいんだけど、だからって、恋人との待ち合わせをすっぽかして違う女の子と一緒にいるだなんて。


いくらやさしい彼女さんでもいい気はしないよ。


ただでさえ、勇くんが忙しくて普段の日にデートなんて出来ないんでしょう?


その上でこんな、彼女さんへの裏切り行為をとったら、完全に嫌われちゃうよ。」




気になっていたのは勇くんの一言。



彼女さんと待ち合わせをしてるのに、あまりにもサラッと『送ろうか?』なんて言うのは、流石にどうかと思う。




「出来ないこと、やってはいけないことを簡単に口にしたり、安請け負いしたりしちゃ駄目だよ。」



高校生になってからの勇くんは、なぜか、あれもこれもと、いろいろなことに手をつけ始めたらしい。

全部しっかりやりきるなら言うこともなかったんだけど、実際、勇くんは、勇くんのお父さんの仕事の見習い・お手伝いで手一杯で、他のほとんどの事をないがしろにしてしまっている。


『恋人』も例外ではなく放っておかれるから、高等部に上がってからの勇くんの恋人達は、皆、半年以上はもたなかったみたい。


勇くんの恋人になりたくてもなれない私にとって、恋人の座につく女の人がころころと変わっていると、いてもたってもいられなくなる。


だから、せめて、今の彼女さんと長く続いてもらうために。




そして、私自身の気持ちに踏ん切りをつけるために、言わずにはいられなかった。




…でも、やっぱりまずかったかな?勇くん、唖然としてるし…




「…えっと、ごめんね。ちょっとお節介だったかな。

イラッとしちゃったよね。

二つも年下の子供にこんなこと言われるなんて。」










「……いや、おかげでちょっとは目が覚めた気がする。



…無責任…だったんだな、俺。


いつもいつも彼女と別れる度に、真面目に付き合う気がないなら、最初から安易にOKなんかしないでよ、って言われててさ。


…やっと意味がわかったよ。」



…良かったぁ。怒ってないみたいだし、少しはわかってくれたみたい。




「彼女さん、大事にしないと駄目だよ。」



じゃないと、いつまでたっても私が諦めきれないから。



…結局、私は、自分のために勇くんに説教していたのかもしれない。



でも、勇くんがわかってくれたならそれで良いかな。




「じゃあ、またね。」


多分、もう彼女さんが来るだろうから、私は教室に戻ることにする。

勇君の彼女さんは、悪い人じゃなさそうだけど、それでも、私は彼女さんに会いたくない。




「ああ、またな。」


という、勇くんの女子のような高めの声を背中に受けて、私は、校舎内に戻った。




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