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第十四話 女性な少年 病院にて…


今、冬花は手術中だ。


病院に着いたときの医師の話では、すでに出血が多すぎてかなり危険な状況だったらしい。

今、この場には俺と玲花、飯田さんと河野先生、駆けつけた絋さんと由美さんがいた。




まだ、手術中のランプが消えていないのに、医師が出てきた。


「済みませんが、どなたか、お嬢さんのご両親以外で血液型がO型の方はいらっしゃいませんか!?

今朝方に起こった自動車事故で、輸血用のO型の血液のストックをほとんど使ってしまって、足りなくなってしまいまして…!」



「そんな…!家族内でO型なのはあの子だけなのに!他にO型は…」



周りを見ても、全員が首を横に振っている。



…O型…?

そうだ!冬花の血液型は俺と同じじゃないか!



「俺、O型です!限界まで使っちゃってください!」



「は、はい。分かりました。

あと、できればもう一人、二人程いらっしゃれば、彼に掛かる負担も減るのですが…」


と、言っても、このメンツじゃあもういないだろうな…






「じゃあ、ボクの血も使って下さいな。」


と、その時。後ろからの声。


は!?


「うわっ!?美月!お前、どうしてここに!?」


後ろにいたのは、俺の妹、白金 美月だった。

顔は冬花と瓜二つ。だけど中身はなかなか変人。そういや、血液型も一緒だったか。

ちなみに、ボクっ娘なのは母さん(こっちも若干変人。)の教育の賜物だ。


「どうして、って…ふーちょんが刺された、って聞いたからとんできたに決まってんじゃんか。黒瀬ホットラインで。」



「は?黒瀬ホットライン?」


何言ってんだこの変人(妹)は?



「現場にいたこーすけ兄ちゃんからヨースケに伝わって、ヨースケから速報として聞いたんだよ?」


それが何故にホットライン?



…あ、ちなみに、ヨースケってのは、硬介の弟、陽介(ようすけ)のことだ。




「あ、あの…、時間があまりないので、雑談はそのくらいにしていただいて…。

そのお二人でよろしいのでしょうか?

お二人ともO型ですね?」


「「はい!」」







この三時間後に、手術は成功し、冬花は病室に移された。

麻酔が効いているせいもあるだろうけど、まだ、冬花の意識は戻らない。




硬介からの連絡で、赤黄が逮捕されたことを知った。

罪状は殺人未遂らしいが、アイツの事だから余罪もボロボロと出てくるだろうと思う。


ついでに、この事件は後日、ニュースなどで結構大きく報道された。







* * * * * * * * * * * *






警察で、目撃者として事情聴取を受けたり、いつも通りの生活にプラスして冬花の見舞いに行ったりと、忙しく一週間を過ごしたけど、その間、冬花は意識を取り戻さなかった。




そういえば、赤黄のヤツは他にも七件の通り魔事件と二件の窃盗事件を起こしていた事が発覚したらしい。

しかも、一件目と六件目の通り魔事件の被害者は亡くなっている。

どんな判決が下ろうと、アイツが俺たちの前に再び現れる可能性は、限りなく低いだろう。





十日目の夕方、いつも通りに冬花の病室に入ると、由美さんが来ていた。




「あら、いらっしゃい。いつもいつも本当にありがとうね。」



「いえ、そんな…」


俺は由美さんの隣、冬花の右手側に座る。


由美さんは、十日前に会ったときよりも少しやつれていた。






「冬花ちゃんね…こうやって、大量出血とかで体…特に心臓に負担ばっかりかけ続けてしまうと、あんまり長生き出来なくなっちゃうんですって…。

体力はまあ有るほうなんだけど、元々が病弱だし、普通の人よりも体の限界は早く来るでしょう、って…。」



「…そんな…。」



…どうしてだ?どうして冬花ばっかりがこんな酷い目に遇うんだ?



俺はどうしたらいい?俺は…










…そうか。











俺が…












「…俺が冬花を守ります。ずっと、ずっと…」


気付いたら、俺は冬花の手を握っていた。

そして、誓うようにその言葉を言っていた。


「え?勇希くん?」



「冬花が一人で苦しまないように、ずっと側で支え続けます。だから…」






そこで、病室に誰かが入ってきた。




「はいストップ。そういうことは、相手と、相手の両親がいるときに言うものじゃないかな?」



「「絋さん!?」」


突然の絋さんの登場に、俺も由美さんもかなり驚いた。



「お仕事はどうしたんですか!?

今日は遅くなるって今朝、言って…」


驚きながらも、由美さんが絋さんに訊いている。


「元々、見舞いに来るつもりだったんだよ。だから遅くなる、ってね。

僕の勘だけど、冬花はきっと、今日あたり目覚めるんじゃないかと思ってね。」




「そうだったんですか。

それなら今朝、言ってくれればよかったじゃないですか。」



「そうまで言って来られなかったら冬花に悪いと思ってね。


…さて、勇希君。君は先程、冬花をずっと守り続けると言ったね。

それは、冬花をどういう対象として言ったのかな?

可愛い妹分として?それとも、守ってあげたくなるか弱い女の子として?」




…違う。俺の気持ちは、そんなに軽いものじゃない。



「…いいえ。どちらでもありません。



確かに昔は、か弱い妹分と思っていました。




ですが今は、…愛しい女性として、冬花のことを想っています。

…いえ、もしかしたら昔からそう思ってたのかもしれません。気付いてなかっただけで。」


これが俺の、今の正直な気持ちだ。

なんだか相手側の両親に交際の報告に来た、みたいなシチュエーションだけど、肝心の冬花にはまだ伝えてないし、まだ意識が戻らない。



「そうか…そこまで言えるなら、僕達が言うことはないよ。

まあ、どうせ、肝心の冬花には、まだ何も言ってないんだろうけど?」


「…え!?気付いていたんですか!?冬花にまだ伝えてないって…。」




「僕を甘く見ちゃあいけないよ。

冬花や君を見たらなんとなくわかるさ。」



さすが絋さん。勘が鋭い。



「…僕としては、娘の親離れは寂しいものがあるけど、それでこの子が幸せになれるなら…。

おおきく反対はしないよ。

まあ、あくまで、冬花が望めば、の話だけど。

…しっかりと冬花を振り向かせてね。僕が言うのもなんだけど、冬花は、なんとなくいまいち恋する、ということをわかってない感じだからね。」



「私も賛成ですよ。

がんばってね、勇希君。この子のために。」




「…ありがとうございます。」





そして、冬花の右手を少しだけ力を入れて握った。





…ピクッ





「え?」



「どうしたの?」



「今、ちょっと手が動いたような…?」




…きゅっ



「…!冬花?冬花!聴こえるか?冬花!」



俺は、一生懸命に呼び掛けていた。


すると、ゆっくりと、冬花の瞼が開いた。



「…勇…君…?」





来た時に絋さんの言ったとおり、冬花はその日の内に、目覚めた。

えと、まず最初に…。

ごめんなさい。

実はこれを投稿するちょっと前に、本日投稿する予定だった十五話に、設定との大きなズレを見つけてしまい、現在、内容を変更中です。


出来るだけ急ぎますが、今日中に間に合わないかもしれません。

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