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第八話 小さな少女 体調不良で保健室へ

連載し始めた時点で十話まで用意してあったのに現在はまだ十三話執筆中…。

す、進まねえです、隊長…!

さらにあれから一週間。

五月の下旬、一学期球技大会が近付いてきた頃。




私は毎日のように身の危険を感じていた。





私に近寄る幸田君の目からは、もうすでに、憎悪のような感情を読み取れるようになっていた。



私はもう、玲ちゃんや夢ちゃんがいても、人の少ないところには行けなくなっていた。




* * * * * * * * * * * *



今日の二限目は体育で、いまは移動中。


私は体育には参加できないけど、何度かは見学してないと、出席日数が足りなくなって、単位の関係上まずいことになる。



男子と女子は当然、別々で、今日は男子がグラウンド、女子が体育館。


だから、今は体育館に向かっている。


体育館は別棟にあり、校舎とは繋がってないため、一度、グラウンド前を通って行かなければならない。

正直、今は幸田君を視界に入れたくないし、幸田君の視界に入りたくも無い。




「ちょっと冬花ちゃん、すごく顔色悪いよ。大丈夫?

保健室行かなくていいの?」



「間違いなくあの自己中馬鹿男のせいね。

…でも、保健室は駄目ね。あたし達は追い返されちゃうわ。

馬鹿男に気付かれないとも限らないし。」


夢ちゃんと玲ちゃんが心配してくれる。




「…うん。すごく申し訳ないんだけど、出来るだけ一人にしないで。

…一人になるのはすごく怖いの。」




何でいつもこんなことになるのかな?

私が…、私が悪いのかな…?






「何か深刻そうだね。どうしたのか教えてくれない?」



「!!」


この声は…



「やあ、久しぶり。」 「よう!」


顔を上げて、正面を見ると、そこには、一学年上の幼馴染みの、白波翔太くんと黒瀬硬介くんがいた。



「久しぶり。翔君、硬君。前の時間、体育だったの?」



「そうだよ。…って、冬花、顔色悪いね。本当に何があったの?」



「それについてはあたしが話すわ。」


玲ちゃんが二人に事情を説明してくれる。








ふと、夢ちゃんの方を見ると、何か訊きたそうな目でこっちを見てる。


「どうしたの?夢ちゃん。」



「え?あ、うん、と。

冬花ちゃん達、こーすけ兄と知り合いだったの?」



「硬君?うん。みんな幼馴染みだよ。夢ちゃんは?」


「え?そうだったの?実は私達、再従兄妹(はとこ)なのよ。

血縁はかなり薄いけど、親戚よ。」


「え?そうだったの?

…人って、意外なトコで繋がってるんだね。」


「そうねぇ。」



* * * * * * * * * * * *




「成程な。しつこくて鬱陶しい男だ。

…ところで、ずっと気になってたんだが、なんで夢菜がいるんだ?」



「「「友達だもの。」」」



三人とも揃った。


「…そか、野墓なこと訊いたな。すまん。」





「まあ、それよりも、僕は冬花を保健室に連れていくべきだと思うな。

この状態じゃあ長くはもたないよ。」



「それはそうなんだけど、でも…」


渋ったように、玲ちゃんが言う。




「ねぇ硬介。」



「ん?何だ翔太。何か名案か?」


その硬君の問いに、翔君は微笑んで答える。



「僕は体育が終わって体調が悪くなったんだ。

冬花と一緒に暫く保健室で休んでるよ。」


笑顔で言う翔君。



「…成程な。わかった。

次の教師には俺が伝えとく。」



「だ、駄目だよ!翔君、授業についていけなくなったら…」



「僕の体調が悪いのは僕の所為だからね。冬花は気にしなくていいんだよ。

それに冬花。君は外敵になり得るものが多いんだから、頼れる人達にはおもいっきり甘えなさい。

それは迷惑にはならないものだから。」




翔君の優しい言葉に、思わず涙が出てくる。




「…いい、の?

本当、に?…迷惑に…ならないの?」





「うん。いいんだよ。頼られるのって、嬉しいものだから。

それに、冬花は僕たちにとって家族みたいなものだからね。」





「…ふぇっ…うぅっ…ありがとう。翔君、皆…うぅっ…」





本当に皆、すごく優しい。




泣いている私の頭を、翔君は優しく撫でてくれる。



「勇希兄さんみたいに、冬花の落ち着くリズムを知っている訳じゃないからうまくは慰められないけど…

でも、少しはマシにならないかな?」



確かに、勇君のリズムとは違うけど、私の心は、十分に落ち着いた。




「ううん。…グスッ…十分だよ。ありがとう。」





泣きながらだけど、ここ最近、どうしてもだせなかった、“心からの笑み”を出せた気がした。





「さあ、保健室に行こう。

玲花、冬花のことは先生にちゃんと伝えておいてね。」



「わかってるわよ。」




そして、私は、翔君に付き添われて、保健室へ向かった。




* * * * * * * * * * * *




保健室にはいると、そこには美人な校医の先生がいた。


…本当に美人さん多いなぁ。この学園…。



「失礼しま〜す。」


「お、おじゃまします。」


私は、ここの保健室のお世話になるのは初めてなので、ちょっと緊張していた。




「いらっしゃい。

あら、白波君じゃない。珍しいわね。サボり?」




「今日は付き添いですよ。

ちょっとこの子を休ませてあげて下さい。僕も暫くはついているので。」


そう言って、二人は私の方を向いた。



「あら、可愛い子ね。ここに来るのは初めてでしょう?

私は校医の河野(こうの)麻梨香(まりか)よ。

ここ、一応利用記録ってものを付けてるのよ。

だから、あなたの学年、組、名前を教えてね。」



「は、はい。えと、一年A組の天崎冬花です。」



「ふぅん…。あなたがあの…。」


河野先生は、すらすらと、用紙に私の学年、クラス、名前を記入していく。





あれ?そういえば河野って…。



「あの、河野先生。先生って、二年の由梨香先輩のお姉さんですよね?」





「あら、早速ばれちゃったわね。

まあ、名前が似てるものね。」



「はい。でも、顔とか雰囲気もかなり似てますよ?」



「そう?そう言われたのは初めてね。」



そう言って、河野先生はにっこりと微笑んだ。



「あれ?冬花、ユリちゃんのこと知ってたんだ。」



翔君が私に尋ねてきた。



「うん。部活の先輩。

そういう翔君だって、『ユリちゃん』だなんて。

…まさか、恋人?」



「中学校からずっと同じクラスなんだ。友達だけど、恋人ではないよ。」



「そうだったんだ。」





「お話が終わったなら、今の体調を教えてね。」



「あ、はい。えっと、腹痛に眩暈、頭痛、吐き気…。」



「ああ、ストップ。もう良いわ…。

きっと、寝不足とストレスが原因ね。

目の下に隈ができてるし、顔色もかなり悪いし。

よくそんなになるまで我慢出来たわね。暫くおとなしく寝ていなさい。」



やっぱり私、ストレス溜ってたんだ。

そういえば最近、眠れても夢見が悪かったし。



「はい…。ありがとうございます。」



そして、私は奥のベッドを借りて、ゆっくりと眠りに就いた。


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