1/5
プロローグ
魔術師の憂鬱の続編になります。合計12〜13万字くらいを考えてます。現在進捗は半分くらい。最初の触りだけアップします。
こんな世界を思い描いていたわけじゃない。
名前を与えた瞬間に、
人は理解したつもりになる。
理解したと思い込むことで、
考えるのをやめる。
「魔法」
便利な言葉だ。
現象に名前をつけただけで、
本質に触れた気になるのだから。
本当は、
知りたかっただけだ。
なぜ、そうなるのか。
なぜ、そんなものがあるのか。
説明できないものを
説明しないまま使うのは、
科学じゃない。
それはただの信仰だ。
けれど、人は急ぐ。
真実なんて眼前の果実の前ではどうでも良くなる。
結果だけを欲しがる。
世界は、
そんな欲望に応える形で
姿をコロコロ変えていく。
非常識が常識に取って変わってしまった。
しかし間違いなく、これは科学だ。
魔法なんて、
物語の中だけにあればよい。
現実に持ち出すものじゃない。
それでも、
誰かは呼ぶだろう。
イメージし易いから。
分かりやすい名前で。
都合の良い響きで。
「魔術師」
……本当に、
心外だ。




