第1話 死のための生
ガラス張りの向こう、白い円卓を囲む十二の顔は、どれも生気がない。彼らは選ばれし者、この劇場における最高の主役たちだ。
「さあ、諸君」
マイクを通した俺の声は、よく響く。ここは「再構築の劇場」。俺の創造した、最後のショーのための舞台だ。
俺はゲームマスター、「マエストロ」。この劇場に集められた人々、すなわち「参加者」たちは、皆、自らの手で人生の幕を引くことを望んだ者たちだ。無数の履歴書——彼らが遺すつもりだった遺書、SNSの投稿、病院のカルテ、果ては密やかなインターネットの掲示板の書き込み——を精査し、俺が最高のキャスティングを行った。
俺の目的は、彼らを救うことではない。彼らの願いを叶えることでもない。
俺の目的は、意味のある死を提供することだ。
「まず、ご招待に感謝する。貴方方は、世界で最も勇敢な人々なのかもしれない。自ら終焉を選ぶ覚悟を持った、稀有な魂たちだ」
円卓の中央には、透き通ったドームがあり、その下に小さな注射器が一つ置かれている。
「貴方方の願いは共通している。生を終えること。だが、それだけではあまりにも侘しい。独りで、暗闇の中で消えるなんて、人生という壮大なドラマの最終幕として、あまりにも凡庸だと思わないかね?」
参加者たちは動かない。ただ一人の青年が、うつろな目でドームを見つめている。彼のリストカットの痕は、白いタキシードの袖からわずかに覗いていた。
「この注射器には、致死性の毒が入っている。これを手にした者が、勝者だ。勝者は、美しく、そして確実に、望み通りの終焉を迎えることができる」
俺は間を取る。空気は冷たい。
「だが、一つだけルールがある。それは、他者に、自らの意思で、この毒を渡してはならない、ということだ。直接的にであれ、間接的にであれ、譲渡、取引、交換、すべて禁止。手に入れる方法はただ一つ——他者の『死』だ」
白いテーブルには、彼らの手の届かない場所に、ナイフやワイヤー、そして小さな銃が、参加者の数だけ用意されている。
「貴方方は、この場で、一時間以内に、誰が生き残るかを決める。最終的に生き残った一人が、毒を手にする権利を得る。それまでは、出口は開かない。電源も、通話も、すべて遮断されている」
俺は微笑む。心からの笑みだ。
「つまり、諸君。貴方方の『死にたい』という願いは、『生きたい』という本能と、真正面から衝突する。さあ、この一時間、見せてくれ。君たちの魂の奥底に、まだ炎が残っているのかどうかを」
照明が変わり、ガラス張りの向こう側、白いテーブルの上の武器に、スポットライトが当たる。
俺はオペラグラスを構え、黒いソファに深く腰掛ける。
さて。
死ぬための場所に集まった彼らが、死ぬために、どのように他者の生を奪おうとするのか。
俺が本当に見たいのは、自殺志願者というレッペルの下にある、人間の、最も醜悪で、最も美しい、最後の輝きだ。
「開演だ」
俺は小さく囁いた。白い部屋の中で、誰かが、ついに椅子を蹴った音がした。
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