君と永遠の時間
ドキドキBLです。
ビル風が君の髪を揺らす。
昼食終わりの時間帯。
君の口角についたタレを俺は拭った。
「あぁ、ありがとw」
顔を背けて頬を染める君。
可愛いとつい声に出してしまいそうになる。
「午後からも一緒に仕事頑張ろ」
いつも明るい君。
幸せな俺。
オフィス街の騒音。
俺の声は君に届くだろうか。
ずっとこの日常が幸福が続いて欲しい。
だから、
一呼吸を置き、言う。
「あまね、一緒に死んでください」
驚く顔をする君は、何と口にするだろう。
俺は君が好きだ。君からの好意にも気づいてるよ。
あまねとの関係が、これ以上変わらないように。これからも君と一緒がいい。
今が一番幸せだ。
だから、心中しよう。
「どういうこと?え、なんで死ぬの…?
僕はこれからもいぶきと一緒がいいし…好きだよ。」
だからだよ。
君と俺で一緒に幸せでいるんだ。
「関係が崩れることも、お互いが傷つく事もない。幸せな最後で人生を終えられるんだよ。」
ねぇあまね、なんでそんな顔をするの、
どうして分からないの。
そんな目で俺を見ないで。
「死んだら、それで終わりじゃん。どうしてこのままの幸せじゃダメなの」
焦りと苦しみが無情にも俺を襲う。
終わりなんかじゃない。
幸せを止めたい。ずっとこのままでいたい。
どうして?何で不安的な幸せにすがるの?
「なんで…一緒に死んでくれないの?」
あぁ手が震えている。
がっちりとした手が俺に触れて、抱きしめられた。暖かい。
「僕は、たとえ親に理解されなくても…いぶきと一緒に居たいし大好きだよ。だからさ、死ぬなんて言わないでよ」
何も分かってない。どうして理解してくれないの、俺のことを好きなくせに。
呼吸が荒くなり、視界がぼやける。
俺は知ってる、よく知ってる…。
日常的な幸せはなんの前触れもなく壊れることを。
ねぇあまね、俺は怖いよ…。
だから、幸せだから、君と死にたいんだ。
最高峰の幸せで人生の幕を閉じたかった。
依存じゃない、二人で至福の時を永遠にしたいだけなんだよ。
「いぶき、海外に行って結婚しよう。幸せにするから」
君の手を振り払った。
「ごめん、あまね。」
俺は宛もなく走った。君に触れられたところにはまだ熱がある。
ぐちゃぐちゃの心と顔。
きっと、あまねが普通なんだよね、俺は一緒にいれない。心臓が痛い。
ビル風が俺の心を揺らす。
俺のために死んで欲しかった。