第二章〜警部補と三枝
時間がかかってしまいました 。書かせていただきました。お読みになっていただけましたら幸いです。捜査が進んで行きます。お楽しみいただけますように。
初老の管理人三枝は思い出したくないことを思い出そうとするような表情で口を開いた。
「悲鳴をね。聴いたという付近の部屋の住人からあたしに連絡が入ったんですわ。内線でね。物凄い悲鳴で、複数人居るようだと」
警部補が咳払いをした。
「なるほど。それでやむなく、合鍵を持参でこの部屋を見に来た、と?」
「ええ。まあ」
三枝は自分を疑わないでというように卑屈な笑いを浮かべていた。
三枝は、手帳にメモをする為に目を落としていた。何か気に食わないようだ。
「警察には連絡しなかったのですか?その付近の住人の方は」
三枝はそれに応えた。
「ええ。このマンションの管理はすべてあたしに任されておりまして。対外的なこともこちらの住人の方はほとんどノータッチな訳でございやして」
「なるほど。確かに、いくら悲鳴が聞こえたと言っても何かの聴き間違いかもしれないしりいずれ中を確認しなけりゃわかりませんものね」
新参者 らしい別の私服刑事が口を挟んだ。
それからあたしごこれを発見いたしやして、発見後すぐに警察には通報いたしました。それはご存知の通りでしょう──。
というようなことを三枝は話し、視線を室内から室内へと向けた。このような現場は二度と見たくないようだ。
なるほどというように警部補ほ頷いた。ここまで、どこか怪しいところはあっただろうか?いや 俺は気づかなかった。しかし 警部補は気に食わないようだつた。
「死亡推定時刻は?」
俺が鑑識の二人に向けて問うた。
鑑識のふたりが何かを調べていた手を止め、立ち上がった。
「はい」
と、メモに目を落とす。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。次、書きます。