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顔合わせ

過去作のリメイクになります。少し文章を変更した程度です。

千変万化(せんぺんばんか) 豪剣第1種(ごうけんだいいっしゅ) 裂怨(れつえん)


  剣の刀身が青黒く染まる。膨大で異質な魔力を発する剣から、羊飼いどころかモンスターでさえも目を離せずにいる。


「ミーシャ、ウェスタ、ついでにラウル。俺から離れるなよ」


 そう言って俺が剣を振るうと・・・



『昔々あるところに、魔女と人間の夫婦がいました。その2人はとても仲睦まじく、誰が見ても幸せそうでした。しかしある日、その生活は壊れました。混血が嫌われる世の中で、世界で初めて混血の子供を産んだからです。子供ができるまでは普通に接していた魔女族、人間族の双方から追放を受けました。別に異種族との交流がないわけではありません。どの種族の領地に行っても普通に別種族がいます。夫婦やカップルももちろんいます。ただ混血の子供を作ったというのが問題だったのです。純血絶対主義の歴史はこの世界が生まれた時からとされている。そのずっと続いてきた暗黙のルールを破ったのです。人間族と魔女族はもちろん、ほぼ全ての種族から糾弾されました。子供を殺せば全てなかったことにするという提案もありました。しかし2人は提案を撥ね退けたのです。2人は子供を連れて逃げました。その後の行方を知る者はいないといいます』


 この短い物語を書き残したやつに、その後の物語を教えたらどうなるのだろうか。そう考えながら図書館を後にする。そのまま表通りに出て屋台で串焼き肉を買って食べながら歩く。


 従来、混血は忌み嫌われている。種族としての能力値が下がる、容姿や生活習慣の変化などが理由に挙げられるが、どれも根拠はない。実際世界にはこの物語にほんの少し登場した子供しか混血の事例が存在しない。それもこの物語はあくまで混血の子供を作った愚かな存在がいるという事柄を残したもので、当時の子供は生まれたばっかで、特徴は何もない。そもそも魔女と人間の見た目に違いはないのだ。そのため混血が嫌われる理由は全て純血主義の世論や偏見から生まれている。


(混血・・・か)


「おっ!クロじゃねえか!元気してるか?」

「ん?あぁラウルか、ぼちぼちだよ」


 ふいに声を掛けられ振り向くと友人のラウルがいた。Dランク冒険者でギルドのパーティー募集がきっかけで仲良くなった。冒険者としては普通の一言に尽きるが、整った顔をしていて、人懐っこさがある故に女性ウケはいい。


「てかお前美味そうなもん食ってんな串焼き肉か?」

「そうだよ。食いたきゃ1本やるよ」

「まじ!?ありがとなー!・・・うわなにこれうま!?」


 その場で渡すと食い始める、そしてオーバーリアクションっぽいが幸せそうな顔をする。そんな顔を見せてくれるならこちらも食わせた甲斐があるというものだ。


「あ~美味かった、ありがとな。そういえばクロ。お前明日時間あるか?」


「なんだデートの誘いか?いいぞ」


「ちげーよ!?まあいいや。明日は元々ダンジョンに潜る予定だったんだけどさ、パーティー募集に来てくれた人が急用で来れなくなっちまって・・・1人足りなくなったから困ってたんだ。来れるか?」


「なるほどな、要約するとパーティー募集して明日ダンジョンに潜る予定を立てていたけど、1人来れなくなったから俺に来てほしいってことだな。いいぜ」


「お前それ全然要約されてないぞ・・・とりあえず助かるよ。明日は昼の1時頃にギルド前の広場の噴水前に来てくれ。詳細はそこで話そう」


「わかった。じゃあまた明日な」


「おう!また明日!」


 ラウルとの会話が終わると再び表通りを歩く。辺りを見渡せば『人間』『魔女』『エルフ』『ドワーフ』『獣人』の姿が確認できる。この種族は『五大種族』と呼ばれ、それぞれが自分たちの領地を世界各地に持ち、暮らしている。そこに争いはなく、自分たちの文明、文化を守りながらも、他種族の文化を取り入れる共存体制がとられている。ちなみに『五大種族』は太古の時代に族長会議で定められたもので、対話や生命倫理など最低限の知性を備えている種族を指す。平和協定、共存協定が結ばれている。


逆に言うとダンジョンに潜むモンスターと地上にいる『五大種族』以外の生命体は保護に当てはまらず、狩られるか利用される形となる。一部例外は存在するが。


(五大種族以外に優しくねぇなあこの世界は・・・)


 そう思いながら歩いているとホームに着く。賑やかなギルド周辺や表通りとは対照的な居住エリアの路地裏。そこに俺のホームがある。人が通ることもなければ見られることすらない。俺自身この物件を見つけたのも偶然で、商人との取引があったこの路地裏に来たのがきっかけだ。今でもその商人とは仲良くしていて、たまにこのホームを訪ねてくる。


(そういえばあいつ最近見ないな・・・)


 その商人と最後に会ったのは半年前だ。それまでは2か月に一度は会っていた故か、少々気になる部分はある。最近この都市では物騒なことが多くある。冒険者や商人の暗殺、モンスターの売買、違法ポーションの調合に流通。挙げたらキリが無いほどだ。とはいえ連絡を取る手段があるわけでもないため次会えることを願うしかない。


(とりあえず寝るか)


 ベッドの上に寝転がり目を瞑る。すると睡魔がすぐに襲ってきて、眠りに落ちた。



 翌日、約束の時間に来ると、そこにはラウルと他に2人の姿が見えた。


「悪い、待たせたか?」


「いや、俺たちも今来たところだ。それじゃあ詳細について説明・・・の前に紹介が先か。こっちの青髪はウェスタ、銀髪はミーシャだ。二人ともDランクでウェスタは長剣使いの前衛、ミーシャは弓使いの後衛だ。それで、こいつがクロウ、オールラウンダーで長剣に短剣、弓を持っていて魔法も使える。俺はクロって呼んでるからミーシャとウェスタもそう呼んでやってくれ!」


「ミーシャです、本日はよろしくお願いします。クロさん」


「ウェスタだ、よろしく頼む」


 ミーシャは大人しく丁寧、ウェスタは・・・ラウルと似たようなもんかな?


「クロウです。本日はよろしくお願いしますね」


「クロ、敬語はよそう。俺ら年齢もさほど変わらないだろ。なあミーシャ」


「そうですね。と言っても私は敬語のほうが慣れてるのでこのままですが・・」


「そうか、じゃあよろしくな。ウェスタ、ミーシャ」


 一通り挨拶が終わると、ラウルが手を叩き視線を集める。


「それじゃ挨拶はそこまでにして本題な。クロは特にちゃんと聞いてな。今日は予定していた通りダンジョンに潜る。クエストはゴブリンの角30個の、ソウネダケ50個の納品だ。このパーティー自体臨時だしこれくらいで妥当だと思う。あと言ってなかったがクロのランクもCだから心配ない。指揮も基本はクロになる。何か質問があるやつはいるか?」


「俺は特にない」


「私も大丈夫です!」


「俺も問題ない」


「よし!それじゃ行くぞー!」


 そんなゆるい感じでダンジョンに向かうのだった。



ご高覧いただきありがとうございました。今年は執筆活動を頑張ろうと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします。誤字の指摘やもっとこうしたほうが!みたいな改善点の提案などお待ちしています!

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