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続ゴミ爺  作者: サンタ婆
1/1

ある出来事2

1、ある夕暮れ、とある畑の真ん中で黒メガネを掛け髭ぼうぼうの爺と、これまた黒メガネの白黒まだら髪の婆が、ひそひそ話し込んでいた。

「わしはついに昆虫や動物の合体人間を作ることに成功した。これによって世界のフードロス問題は解決する。」

「ゴミ爺よ、それはどういう事だ。」

「つまり、昆虫や動物は食い物に味付けをしない、匂いで判断し、食えると思えばなんでも食う、人間みたいにやれしょっぱいだの、辛いだの、やれ醤油だ、マヨネーズだ、ドレッシングだ、と苦情は一切言わない、だろ!サンタ婆よ。」

「そう言われれば奴らはほとんど生で食う。味付けなしだ、味付けに無頓着だな。」

「そうだよ、味を気にせず、見た目も気にせず、賞味期限も、腐ってようが何だろうが食えると思えばなんでも食う。これが合体人間だ。これでもう残飯は出ない、どうだ!いい考えだろう?」

「なかなかの名案だ。けっこう冴えてるねゴミ爺よ。」

「だが問題はこれを人間が受け入れてくれるかな、敵だと思われて攻撃されないかな~、」

「それだよね~、見た目キモイから。でも話し合いで解決すんじゃね?今の人優しいから。」

「そうだな、じゃあ、どんどん死人を紹介してね。でもそうだな~、死んだばっかりがいい、出来るだけ新鮮な方がいい。たのんだよサンタ婆。」

2、

ある日、認知症の爺が車でコンビニに突っ込み即死した。たまたまコンビニのトイレに宿泊していたサンタ婆は携帯でゴミ爺に連絡、現れたゴミ爺は台車に死体を乗せ素早くその場から消えた。あっという間の出来事だった。

それからあるヤクザ組織の抗争事件で幹部の暗闇聖子(55歳)が射殺されたが死体は消えていた。似たような事件が多発したが解決には至らなかった。

それから約3年の月日が流れた。

新宿の飲み屋の前にあるゴミ箱の中に上半身を突っ込んでガサガサやってる男が居た。

「チョット、チョット!」

「あんた、何やってんのよ、ひとん家のゴミ箱、勝手にあさらないでよ、」

しかし、何を言ってもガサガサと続けている。

「やめろと言ってんだよ!この乞食野郎!」

ついにキレたキャバレーのねいちゃん風の女にケツを蹴っ飛ばされた。

すると、男の動きがピタっと止まった。そしてクルッとこっちを振り向いた。

「ぎゃ~~~~~~。」

その男の顔はカブトムシだった。

3、

ここはある農村、野良仕事の帰りに鎌をぶら下げ、手拭いで頬被り姿の肥溜たけ(70歳)はゴミ置き場にうずくまってゴソゴソやってる女を見た。

「なにやってんだ、探し物か?」

しかし、女はそれを無視するように相変わらずゴソゴソやっている。

「おめえ、聞こえねえのか!散らかすんじゃねえ!」

すると女の動きがピタッと止まりこっちを振り向いた。

「ぎょえ~~~~~~~~~~~~!」

その女の顔はオニヤンマだった。

4、

ある団地のゴミ集積場、団地に住む大図鑑小五郎(46歳)は朝4時にゴミ出しに来た。するともう既に先客が来ていた。

「早いですね、今日も冷えますな。」

朝もやに、じっとたたずむその男は手指をもぞもぞと動かし、口元も何やらもぞもぞ動いてる。

その男はこっちを振り向くと一声発した。

「チュー!」

それはネズミそっくりな人間だった、ボー然とたたずむ大図鑑小五郎をしり目にそのねずみ男はあっという間にその場から走り去ってしまった。

5、

世間の反応は早かった。この得体の知らない不気味な存在はSNSを通じて拡散され、またまく間に日本、いや世界中に広まった。その姿は動画やユーチューブで再生された。ある時はトンボ、またある時はゴキブリ、カナブン、カマキリ、カラス、猫、カブトムシ、馬鹿おやじ、と様々な姿をしていた。だが、共通しているのは見つかるとすぐ逃げ出し、決して人に危害を加えない事だった。相手が蹴とばそうが、棒で叩こうが常に無抵抗だった。だが後にはゴミが散らかっていた。その掃除が大変だった。

やがて町内会で検討し、見張りが立つこととなり、彼らは来なくなり、人々は平穏を取り戻した。

それから暫くして大事件が勃発した。ある市のごみ焼却施設に合体人間が大挙して押し寄せたのだ。彼らは飢えていた、職員が止めるのも聞かず突っ込んできた。しかし、彼らがいなくなるとゴミは綺麗になくなっていた。

6、

それからしばらくして警視庁にある投書が来た。それにはこう書かれていた。

(拝啓 警視総監殿、わしの名はゴミ爺、ゴミのスペシャリストだ。今、巷を騒がせている物、動物や昆虫の遺伝子組み換え、さらには人間との遺伝子操作により作り上げた合体人間、つまり改造人間だが、これはある目的のために作ったのだ。それは世界的なフードロス問題だ。残飯が世界中にあふれ、これを処分するのに多額の費用が掛かり、焼却場が一杯になっている。改造人間は残飯を餌にする。彼らがすべての残飯を処分する。

彼らにとって残飯の匂い、これは食欲をそそる匂いであり、腐った物は最高の味覚だ。彼らはまた非常に大食いで、あればあるだけ食い続ける。ただガツガツ食うので散らかってしまう。それだけが欠点だ。彼らにはきれいに食べる、ということが出来ない。それを許していただけるならば彼らは人間にとって非常に有益だ。

また地球の環境問題解決にもつながる。彼らは人間を敵と認識していない。危害を加えない限り攻撃は絶対にしない。至って友好的だ。それはわしが保証する。

そこでお願いなのだが、彼らが生ごみを食べに来るのをどうか見逃していただきたいのだ。また、掃除もお願いしたいと思っております。

改造人間は世界を救う。わしはそれを信じている。世界のフードロス問題を解決するのはこの改造人間なのだ。

果たして人間はこのゴミ爺の願いを聞き入れるのだろうか?

                               

7、「わしはゴミ爺を信じる」警視総監はそう言ったが誰も賛成はしなかった。得体のしれないゴミ爺の言うことなど信じられない。

「住民の理解が得られんでしょうな。危害は加えないといってるが飢えたらどうなるかわかったもんじゃない。現に施設に大挙して押しかけたじゃないか?危険です」

「しかし、ゴミ焼却の費用、ダイオキシンの発生減少、施設の維持費、これらを考えれば非常に有益ですぞ。コンビニやスーパーから出る食料廃棄がなくなる。問題は掃除です、地域住民の理解を得ることが大事だ。」

「どうするんです?」

「マスコミを通じてわしが訴えよう、国民は判ってくれる!」

こうして法案を通り、改造人間たちは燃えるゴミ集積日の朝になると、何処からともなくあらわれ、ゴミが来るのを待ち構えた。その姿は遠くから見ると非常に不気味な感じがした。

彼らは好き嫌いなし。なんでも食った、こぼれた汁も吸い取る、後には食えないもの、つまりビニールやプラスチック、葉っぱ、木くず、紙などが残った。

しかしこの残り物は本来燃えるゴミではなく、木や草以外は不燃物であり、紙等は資源ごみで出せばよいものだ。人がルール違反なのだ。

そこで政府は木、草、布、は別の日にした。

また、地域住民で掃除を行うようになった。

そして純粋な残飯、それ以外出さないように呼びかけた。

また彼らは非常におとなしく従順で素直であり、見かけは不気味だが善人であった。そのため子供たちに人気が出て地域の祭りに招待され、イベントや盆踊りで一緒に踊ったりした。

こうして地域に馴染み、改造人間たちは平穏な人生を過ごすことができるようになった。よかったぜ。


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