兄は人狼③
「変なゲームをさせて悪かったな。人を殺すつもりはなかった。これから警察に行くよ」
「おい!ちょっと待てよ!とりあえず理由を聞かせてくれないか?」
「いってらっしゃい、とは簡単に言えないぜ」
「それもそうだな」
「俺たちは楽しく飲み会をしたかった。お盆の時期になるこうして集まってるだろ。なんで今日になってこうなった?」
「実はその集まりに嫌気がさしていた。化け物ちゃんの自慢話にうんざりしてたよ」
「それはみんな同じだ。でも、あいつがこの会の言い出しっぺだし、その分みんなに連絡して会場もおさえてる。金だって少し多めにあいつが払ってるんだ。まあ、バカで嫌な奴だけど我慢はできるさ」
「できない」
「だったらお前が参加しなければいいだろ!」
「それは違う。俺は一年ぶりにみんなと会えるのが楽しみだった。話がしたかった」
「だったら化け物ちゃん抜きで集まりするとか」
「それも違う」
「ならどうすりゃいいんだよ」
「ただ昔話に花咲かせて楽しい時間を過ごせたらそれでいい」
「みんなそう思ってるよ」
「あいつはそう思ったかな」
「化け物ちゃんだってそう思ってたさ」
「そうは思わない」
「あいつにも家族が居たんだぞ!」
睨みつけるアラックス。
「それが面倒の元だ」
「どういうことだよ!」
「家族がそんなに大事か」
「当たり前だろ!」
「幸せな奴らだな」
「お前何が言いたいんだよ!」
「俺なら友情をとる」
「お前は独身だからな!自分の家族ができたら変わるんだよ!」
「友人よりも家族をとると」
「当たり前だ!」
「だからこういう結果になったんだよ」
「結果って・・・よし、お前の言い分はわかった!嫉妬だろ?俺たちが家族持ちで明るい家庭築いてるから嫉妬してんだろ?だからってな、人を殺していいことにはならない!」
「化け物ちゃんの家族にどう説明するつもりだ!奥さんとまだ小さい子供二人。お前の気持ちだけで世の中回ってねぇんだよ!」
「そんなことはわかってる。たがら警察にいくよ」
「そういう問題じゃないんだよ!お前自身がのそのサイコパスな考え方を変えないといけないんだ!悩みがあるなら言ってくれ!女なら紹介してやる。お前も子供を作れば変わる」
「子供」
「子供の為なら命だってかけられる。自分の子供は可愛いぞ」
「友達の為には命かけられないのか」
「急に飛躍しすぎ。誰が友達のために命かけれるんだよ」
「メロスはやったぞ」
「それは小説の話だろ」
「現実でもそれを試したかった」
「それは違うんじゃないか。お前は最初、殺し合いをしてくれって言ってたよな。友達の為に命をかけれるかの議論とはちょっとズレてる」
「上っ面の関係になんの意味があるのかってことが問題」
「その時、楽しけりゃいいんだよ。友達とはそういうもんだ」
「そういうもの」
「あんまり深く考えるな。会うたびにこいつの為にとか、いざという時は俺が助けてやるって気持ちは大事だけど、こちとら家族も養ってるわけだし」
「家族は命がけで守るのに友人は守らない」
「めんどくさい奴だな。価値観がそもそも違うからな。家族は一生ものだけど、友達は暇つぶしくらいのものだ」
「やはりな」
「なんだよ」
「なら友人関係は必要ないな」
「極端な奴だな」
「戦争の根源みたいだな・・・」
「やるかやられるか、生きるか死ぬかって話か?化け物ちゃんとスヌーピーにも家族がいたんだぞ」
「君たちは彼らが亡くなっても喜んでいたよな」
「それは・・・」
「人の死を憐れんでいながら自分たちが生き残って喜んでいた。友人関係はいらない。そうだろ」
「だからそれとこれとは話が・・・」
「おい!どこ行くんだよ」
「この関係は今日で終わりだ。どうせ殺人犯とは関わりたくないだろ。警察に行くよ。店長と一緒に」
「店長って・・・おい!店ぐるみでやってたのか、これ」
「人間というものがよくわかったよ。一応礼をいう、もう二度と会う事はないだろう。それでは」
店を出るアラックスと店長。
「お、おい!ちょっと待てよ!あいつ店長と行っちゃったけど・・・この散らかった現場・・・これ俺達も共犯になるんじゃね?」
「そうだよ!処刑したのはアラックスだけど仕向けたのは俺たちなんだ・・・」
「俺らも逃げるか」
「一億円は?」
「捕まったら意味ないよ」
「逃げよう」
「ちなみにお前カードなんだった?」
「本当に市民だって。ほらみろよ。お前は?」
「騎士だよ。ほら」
一息つくただのつまらない男とハイド。
「なんか51が一番可哀想じゃね」
「勇気を振り絞ってきて殺されるとはな・・・」
「俺はあんな死に方嫌だ」
「確かに・・・そういえばスヌーピーはどこ言ったんだろうな」
「確かに・・・」
・金ちゃん(死亡)
・ただのつまらない男(生存)
・スヌーピー(行方不明)
・ハイド(生存)
・51(死亡)
・化け物ちゃん(死亡)




