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兄は人狼⑤


「皆様には殺し合いをしていただきます」


「誰だお前」


「アラックスです。ゲームマスター」


「勝手に店に入ってくるなよ!」


「彼がいないとゲームができない」


「ゲームってなんだよ」


「人殺しゲーム」


「皆様には殺し合いをしていただきます」


沈黙。


「ルカさん、今この店にいるのは十人くらいだ。ゲームができますよ」


「皆様には殺し合いをしていただきます。生き残った方には賞金一億円差し上げます」


「一億って・・・まあ、なんだかわかんねえけど、ゲームとやらは営業終わってからな」


「ダメです。今すぐやらなきゃ」


「オカッパ、なんでそんなにあせってるんだ?」


「時間は有限です。神様が平等に与えたものは時間だけです。この間にも誰かは生き残り誰かは死んでいる。五分待とうが十分持とうが明日待とうが一週間待とうが運命は変わらないんです。問題はやるかやらないか、遅いか早いかだけ。だったらやって早いそれにつきます。人生は想像以上に短い」


「そうは言われてもな。営業中に今からゲームをやりまーすって言いずらいだろ。ここ飲み屋だぞ・・・」


「飲み屋だからこそできるんじゃないですか。バカなことが」


「おい!ルカ早く酒持ってこい」


「さっそく酔っぱらってますよ。バカマネージャー」


「オカッパ、そのゲーム準備するものないのか?」


「特にないです。ほら。お客さんにキスしようとしてますよ。あのバカマネージャー。ほっといていいんですか?」


「なに!あのバカ!殺してやる」


「どうします?」


「人狼ゲームだっけ?よくわかんねえけど、やってやるよ!」


「お客さんにも参加してもらいましょう」


「客も巻き込むのか・・・」


「全員参加です。裏でサボってる従業員も」


「皆様には殺し合いをしていただきます。生き残った方には賞金一億円差し上げます」


「と、いうわけだ。みんなちょっとの間、付き合ってくれ」


「まあ、ルカさんの頼みなら仕方ないっすね。営業電話で忙しかったっすけど」 

 

「お前、客いねぇだろ!」


「雪人、翔、悪いな。協力してくれ。命がかかってんだ」


「ハハ。命って大げさな」


「皆様には殺し合いをしていただきます。生き残った方には一億円差し上げます」


「お!一億円!嘘じゃないでしょうね」


「皆様にはカードをお配りします。決して自分以外の人には見せてはいけません。見せた場合私が全員殺します」


「お!殺せるもんならやってみてちょ」


「ハハ。うける」


「ねえねえ。つまんないんだけど。シャンパン入れていい?」


「ごめん、ちょっと待っててくれ」


「十二人集まったぞ」


「それではカードをお配りします。カードの内容は市民三人、人狼三人、占い師一人、騎土一人、霊媒師一人、狂人一人、共有者二人です」


「確かに十二人だ」


「それでは簡単に役職を説明します。まず占い師。占い師は人狼か人間かを占うことができます。次に騎士。騎士は人狼に狙われた人間を守ることができます。続いて霊媒師。霊媒師は追放された者が人狼だったか人間だったか知ることができます。次に狂人。狂人は人狼チームですが占いでは人間とでます。次に共有者。共有者はお互いが共有者であることを知っています。市民は特に役職はないです。人狼は市民チームを襲撃してください。追放と襲撃を繰り返し、最終的に全て人狼を追放できれば市民チームの勝利。人狼と市民の数が同じになれは人狼チームの勝利です。それでは皆様話し合いをしてください。幸運を」


「なんだかよくわからんけど、人狼ってカードを引いた奴を当てればいいんだよな?」


「そういうことですね」


「自分、人狼引きましたけど・・・」


「バカ、お前!人狼って言うなよ!」


「おい、翔と雪人。どういうこと?」


「いや・・・自分人狼って出ました」


「翔」


「だから言うなって!」


「雪人」


「こんな早く終わりそうな人狼ゲームは初めてです」


「バカの集まりで悪かったな」


「俺も人狼だったぞ」


「マネージャー」


「翔と雪人、バカマネージャー。これで三人。市民チームの勝ちだな」


「ちなみにルカさんはなんだったんですか?」


「その手にはひっかからないぜ」


「え?」


「教えたら殺されるだろ?」


「いや、教えるのは大丈夫です。カードを見せなかったら」


「あ、そっか。お前はなんだよ。オカッパ」


「市民です。おもしろくもなんともないでしょ」


「ゴーン」


柱時計の音。


「おい!不気味な音鳴らすな」


「演出ですよ。アラックスのお気に入りの音です」


「それではお時間になりましたので人狼と思う方に投票してください」


「翔、雪人、マネージャー。三人も人狼が分かったところで投票できるのは一人だけか」


「そうですね」


「ま、決まってるけどな」


「そうですね。バカマネージャー」


「だな」


「私、人狼って出たんだけど」


沈黙する二人。


「ミズキ・・・」


「ちょっと頭の弱いおばさんですね」


「ねぇ、私、人狼って出たのよー」


「バカの集まりはこれだから疲れる」


「ルカさんから時計回りで投票してください」


「俺からか・・・」 


「人の生き死にがかかっていますからちゃんと理由を添えてください」


「じゃあマネージャーで。理由は人狼って名乗ったからだ」


「他にも二人名乗っただろ!なんで俺なんだ!」


「自分の胸に手を当てて聞いてみろよ。日頃の行いだろ」


「やったことはやり返される」


「バカマネざまー」


「お前上司に向かってその言い方はなんだ!」

 

「上司らしいことしてくれたか?」


「なにを!」


「それではオカッパさん投票をお願いします」


「僕は翔さんに」


「おい!オカッパ!マネージャーじゃねえのか」


「個人的にはそうしたいですけど、ここは真剣に考えないと。翔さんと雪人さん。二人の人狼が出た後でマネージャーが人狼なんて言うとは思えない。かなりの自殺行為だ。だからマネージャーは狂人だと思ってる。だから申しわけないけど一番最初に人狼と名乗った天然バカの翔さんで」 


「ちょ!お前!先輩にむかって天然バカとはなんだ!」


「すんません」


「では次に翔さん投票をお願いします」


「俺はマネージャーにいれる。俺は、実はな、本当は人狼じゃないんだ。信じてもらえないかもしれないけど・・・」 


「理由はなんですか」


「そ、そうだな。人狼って名乗ったからかな・・・」


「お前も名乗ったじゃねぇか」


「そ、それは・・・」


「いいでしょう。では、雪人さん投票をお願いします」


「俺は太郎に入れる。顔が嫌い」


「全然関係ない・・・」


「お前居ても居なくてもどうでもいいよ」


「ひどいこと言わないでくださいよ!俺は浦島太郎の末裔だ」


「アホだ、こいつ」


「では、太郎さん投票をお願いします」


「俺は雪人さんにいれる!翔さんに「人狼って言うなよ!」って言ってたし。雪人さんと翔さん、タルマネージャーの三人が人狼だ。後に出たミズキはただのアホだろ。まずは俺に投票した雪人さんから潰してやる」


「よくしゃべるね」


「人狼ゲームにしては初めからエキサイティングな展開ですね。さすが水商売」


「では、ミズキさんお願いします」


「え?私?だから私人狼だって。自分に投票したらしけないの?早くこのゲーム終わりたいし、シャンパン飲みたいんだけど」


「自分には投票できません」


「え、じゃあいつ」


「僕?」


「オカッパ頭、うける」


「理由はなんですか」


「え?うけるから。髪形ダサいから」


ミズキを睨みつけるアラックス。


「では、マッチ棒さん投票してください」


「あいつのが変な頭だよな。マッチ棒のアフロヘア」


「俺は、そうだな。じゃ、ミズキにいれるかな。明らか人狼発言だもんな。最後に人狼は怪しすぎ」


「いいわ。入れて。太っといの入れてーー」


「キモ」


「それではシメジさん投票お願いします」


「こいつも変な源氏名しやがって」


「親が泣くぞ」


オカッパをみるアラックス。


「シメジさん投票をお願いします」


「俺もミズキで。なんか人狼っぽいから。理由はないんだけど・・・」


「第六感というやつですね。理由としては弱いですがいいでしょう」


「いいよ、いいよ、マツモトイイヨー。みんな私に入れて。入れて。興奮してきちゃったーー」


「それでは加奈さん投票をお願いします」


「私、このゲーム知ってんのよ。ほら、彩、この前やったでしょ。オンラインゲームで」


「あーあれ」


「私はミズキさん?初対面だけどいれるわ」


「女がなに入れるんだ。いちもつねえだろ!このアマ」


「イチモツってはっきり言った」


「ミズキさんは人狼って名乗ってるし。選ばない理由ないでしょ。人狼じゃなかったとしても混乱させたから自業自得。市民チームだったとしても応援したくないし」


「それでは彩さん投票してください」 


「迷うなあ。この店バカばっかだし、まあいいや、とりあえず、あたしもミズキさんで。「早くこのゲーム終わりたい」って、言ってるし。もうやる気ないでしょ」


「それではマネージャー投票をお願いします」


「ルカー択」


「なんでだよ!」


「理由は人狼だと言わなかったからだ」


「言うわけねえだろ!人狼じゃないんだから!」


「それでは最後にミクさん」


「きゃ!!!、えっ、あっし?あっしはね。決めてたんだ!マネージャーは大ボスの人狼ね。このゲームね、ソーブの支配人たちとよくやってた。だからなれてるんだけど、人狼は潜伏するのが普通なんだけど、ここバカばっかだからみんな名乗ってんの。一人は狂人ね。誰か言ってたけど、最初の二人が人狼でマネージャーは狂人っておもわせといて、実はマネージャーは人狼。裏の裏をかいてるの。最後に名乗ったミズキさんだっけ?その人は多分狂人。ただの老害のたわごと」


「誰が老害じゃ!まだ五十五じゃ!」


「それでは投票結果を発表します。マネージャーさん三票、翔さん一票、太郎さん一票、雪人さん一票、オカッパさん一票、ミズキさん四票、ルカさん一票、よって一番票が多かったミズキさんを人狼とみなし追放いたします」


「クソっ!マネージャーを追放できなかったぜ」

 

「ルカさん。次があります」


「ミズキさん最後に何か言いたいことはありますか」


「これで終わりなんでしょ。私シャンパン飲めるんだよね?ドンベリ持ってきてドンペー」


銃声。


「えっ・・・」


「彩、帰ろう。この店やばいって・・・」


「扉開かない・・・」


「ルカさんわかってくれました?」


「オカッパ・・・」


「もう逃げられないんです」


「どうすりゃいい・・・」


「生き残るんです。それしか道はない」







・オカッパ

・ミズキ×

・翔

・マッチ棒

・シメジ

・ミク

・太郎

・ルカ

・彩

・加奈

・マネージャー

・雪人






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