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兄は人狼④-4


「やっと復話できたぜ。話し長いよ」


「ハイド!」


「お久しぶりです!」


「ス、スヌーピーか?」


「霊媒師としてこんな悔しい負け方はないからな」


「横浜」


「お二人は今、亡くなっていたと思った友人が現れて嬉しいですか?」


「あ、ああ・・・」


「お前ら死んだはずじゃ」


「ああ、まあそういう、てい、になってるはな。実際には監禁されたってのが正しいかな。別の部屋に連れて行かれてモニターでここの様子見せられてたのよ。アラックスに」


「追放された奴は頭撃ち抜かれて生き返らないけど俺たちは人狼に製撃されたって、てい、だから監禁」


「あれ?アラックスはどこに行った?」


「いつの間にか店長しかいない」


「それではゲームをはじめましょう。ルールはもうお分かりですね」


「店長がしきるのか」


「アラックスはどこ行ったんだよ!」


「それは教えられません」


「まあ別に店長が司会やるならアラックスいらないんじゃない?頭ぶち抜くのも店長だし」


「皆さん随分と変わられましたね」


沈黙。


「人を殺すことが楽しいですか?」


「いや、そういう訳じゃねないけど・・・なんていうか復活できたことに喜んでたんだ」


「己の身が一番かわいい」


沈黙。


「ああ!もちろん。俺はそうだぜ!一億円はちゃんと振り込んでくれよ。俺は勝ったんだからな」


「この勝負に勝てばもちろん振り込みます」


「ほんとだろうな!なら、さっさとやろうぜ」


「五人になりましたので人狼は一人にします。カードの内容は市民二人、人狼一人、占い師一人、騎士一人です」


「珍しく市民有利じゃないか?」


「ルールをひとつ変更します。ワンナイト人狼にします」


「一発勝負ってことか」


「その通り。人狼を追放できなければ市民チームを全員殺します。勝ったチームは解放します」


全員カードを確認する。


「それでは話し合いをはじめてください」


「人狼一人、市民二人、占い師一人、騎士一人だよな。占い出てもいいじゃないか。一発勝負だし」


「そうだな。占い師は誰だ?」


「ち、ちょっと待ってくれ!これ一発勝負だよな」


「どうした?横浜」


「占い意味なくないか。今から人狼だと思う奴を投票するんだろ?」


「確かに!ワンナイトじゃ占いなんて意味ないよ。次のターンはないわけだし」


「俺占いなんだけど」


「アラマノ!」


「俺は誰を占ったらいいんだ?」 


「・・・」


「なんか今回このゲーム様子がおかしくないか?襲撃された奴を復活させたり、ワンナイトにしたり、占いや騎士なんて必要ないじゃないか。ただの運ゲーだ」


「店長どういうことだよ!」


「よく気づきましたね。このゲームはすでに破綻しています。正確には『あきた』と言うんでしょうか」


「あきたってなんだよ!」


「東北の」


「それは秋田だ!ダジャレ言ってる場合か!」


「占い師も騎士も意味を成しません」


「どうでもいいけど、ゲーム続けるのかよ。辞めるのかよ。はっきりしてくれ!」


「もちろんゲームは続けますよ。ただルールはもう必要ありません。死んでほしい人を追放してください」


「死んでほしい人って・・・」


「俺は誰でもいいぜ」


「おい!アラマノ!そんな言い方はないんじゃないか」


「お前ら三人は仲良しじゃねぇか。学生の時もべったりくっついてたよな。女子みたいな」


「だからなんだよ!」


目を合わせるハイド、横浜、スヌーピー。


「俺わよ!ずっと一人で生きてきた。両親の借金背負って、お前らがダラダラ生きてる間にもずっと働いてた。中学も高校もろくに行けなかった。それもこれもクソ親父の借金のせいだ。親の罪はよ。子供が払わなきゃいけねぇんだよ!なぁ、わかるか!俺の気持ちが!でもよ、あいつは理解してくれたよ。アラックスだけはな」


「確かあいつも学校来てなかったよな・・・」


「味わった苦しみは味わったことのある奴しか理解できない。俺はお前らの誰が死んだって悲しくない。アラックスに呼ばれたから来たまでだ!」


「そろそろ投票をお願いします」


「どうするよ・・・」


「人狼どうのって話じゃなくなってきてるぞ」


「でも、人狼を当てれば他の四人は助かる。さらに一億円入るんだろ?」


「俺は占い師だ」


突然公表するオカッパ。


「オカッパ・・・」


「何わけわかんないこと言ってんだよ。占い師はアラマノだろ。狂人はいないんだ。混乱させても意味ないんだよ」


「ちょっと待て!アラマノは本当に占い師なのか?人狼が偽ってるって可能性は・・・」


「俺は占い師だ!こんなとこで嘘ついてどうする」


「横浜は?」


「俺は市民だよ。ハイドお前は?」


「市民だ。スヌーピーは?」


「騎士」


「・・・て、ことはアラマノかオカッパが人狼」


「ちょっと待て。お前ら勝手に信頼関係築いてるようだけど、お前ら三人の中に人狼がいる可能性もあるんだぜ!」


「それはない」


「なんでそう言いきれる!」


「友達だからだ!」


沈黙。


「・・・アホくさ。店長なんでもいいけど、俺このゲームおりるわ。一億もいらねぇ。やる気ねぇから」


「棄権はできません。誰かに投票してください」


「じゃあ・・・」


一瞬オカッパを見るアラマノ。


「横浜にいれる」


「なんで俺?市民だって・・・」


「だと、思うが。わりいな。顔が気に入らない」


「そんな理由で・・・」


沈黙。


「では、横浜投票してください」


「俺はオカッパに。アラマノはムカつく奴だけど、嘘はついてない気がする・・・」


「では、オカッパ投票してください」


「流れで横浜に」


「また俺かよ!お前のその流れとかそういう理由辞めてくれよ」


「流れは流れだ」


「それではハイド、投票してください」


「横浜に二票、オカッパに一票か・・・」


「ハイド頼むよ。俺は市民なんだ!お前が俺に投票したら終わるよ・・・」


「わかってる。俺はオカッパにいれる」


「では、最後にスヌーピー投票お願いします」


「オカッパに決まってる。占い師だって後で言うなんてまるで自殺行為だ。疑われても仕方ない」


「自殺行為」


「アラックスの声だ!」


「あいつどこに隠れてるんだ?」


咳払いをする店長。


「それでは全員投票が済んだようです。まとめます。横浜二票、オカッパ三票。よってオカッパを人狼とみなし処刑いたします」


「お前ら馬鹿じゃないのか。俺は占い師だぞ」


「今更何言ってんだ!人狼だろ!」


「アラマノなんとか言ってくれ!」


「悪いな。二人で生き残ったとき、一瞬友情が芽生えたような気がしたがやっぱり俺は一人がいい」


「それでは店長、お願いします」


「アラックス」


「アラックスどこに居るんだよ!」


「まもなく」


「ち、ちょっと!ちょっと!持ってくれ、店長!やっぱりワンナイトなんておかしいよ!もう一回やらしてくれ!」


「一発勝負と言ったでしょ」


「おい!アラックス、話が違っー」


銃声。


沈黙。


「おめでとうございます。見事人狼を追放しました。市民チームの勝利となりました」


扉が開く。アラックスが現れる。


「アラックスどこに居たんだよ!」


「外の扉、開いたよ」


「帰れるのか?」


「もちろん」


「そ、そうか・・・」


「皆様は自由です」


「自由・・・」


「皆様、一つだけ約束していただきたいことがあります」


「なんだ、アラックス」


「この場所で起きたことは他言無用です」


「そりゃもちろんわかってるよ。といっても、誰も信じちゃくれないだろうし」


「例え家族に何があってもこの友人関係を第一に考えてください。家族には決して言えない秘密です。守れますね」


「あ、ああ・・・」


「ハイド、スヌーピー、横浜、アラマノ。それでは後ほど生き残った四名の方にはお約束どおり一億円を振り込んでおきます」


「マジか!」


「人生変わるな!」


「俺はみんな好きだぜ。占い師って俺を信じてくれたからな!仕事なんてほっぱりだして何かあれはすぐにすっ飛んで助けにいくぜ。まあ俺はバツイチ子持ちだけど、そんなもん関係ねえわな、友情一番!」 


「さっきまで文句言ってたくせに・・・」


「ああ!なんか言ったか?」


「いや、別に・・・」


「俺たち本当に自由になっていいのか?」


「当然の権利です」


「ただの空見上げてるだけなのに、こんな嬉しいとはな・・・」


「当たり前は当たり前じゃない」


「アラックス」


「生きていればこその人生です。自由とはとても良い言葉です」  


「やっぱりオカッパが人狼だった」


「あいつさっきも人狼じゃなかった?」


「運の悪い奴」


「まったくだ」


「店長、また飲み行くよ」


「お待ちしております」


全員を見送り部屋に残るアラックスと店長。


「皆様、出でいきましたね」


「もう気が済んだだろ。アラックスくん・・・」


「人間は辛い思いをして、初めて幸福が得られるのかもしれませんね」


俯く店長。


「店長、しばらく席を外してください。一人になりたいもので」


「わかりました」


オカッパの遺体を見つめるアラックス。






・オカッパ×(人狼)

・ハイド○(市民)

・横浜○(市民)

・アラマノ○(占い師)

・スヌーピー○(騎士)







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