仲良くなるための第一歩
ヒサシブリン
リベラが、路地裏の入口から静寂ともに覗き込んだ。
「さあて、どうするかなぁ」
リベラは、夜の帷が降りた狭い路地裏へと入っていった。
リベラは、クルーウとブルートへとゆっくりと近づいていった。
(クルーウ、かいかしやがったのか……)
リベラは、クルーウの顔を静かに覗きこんだ。
クルーウは、血を口からだらだら出し倒れ込んでいた。
(こいつがキラにぃが大事にしている人間かぁ……想像したより雑魚いなぁ……)
リベラは、少し間を置き考えた。
(…………もし、わたしが今クルーウを殺したならキラにぃは、わたしをどうするのかなぁ……)
リベラの中の好奇心がどんどんと膨れ上がっていく。
(この世で生きている……唯一の同じ血が流れる妹か……それとも大事な人間か……どうするんだろぉ……わたしを殺すのかなぁ……気になるなぁ……)
リベラは、白いナイフを取り出した。刃は金属ではなく。白くなっていた。ナイフの持ち手の部分には、リベラと書かれていた。
(だが、まずは……)
リベラは、ブルートの方へとどんどんと歩いていた。
(まだ……生きてやがる)
「タフだねぇ」
リベラは、ブルートへとナイフを逆手に持ち、刃を頭へと、ブルートへと刺しこもうとした。
ブルートの左手が伸び、手のひらにナイフが刺し込まれ手から血がだらだらと流れていく。
「待てッ!いい話があるッ!」
ブルートは、声を荒げリベラに向かって言った。
「いい話ってぇ?」
リベラは、疑問を持ちながら、聞いたがナイフを刺しこむ力は、緩めなかった。
「金と人がいくらでも、手に入れる場所を知っているッ!」
(こいつは、人間を苦しめて殺したい快楽主義者のはずだッ!気持ち悪い奴ッ!)
リベラは、それを聞き大剣を抜き出しブルートの首もとの服の部分を掴み自分の顔と同じぐらいの場所へと持ち上げた。仮面が無かったら、目が合うぐらいの位置に顔があった。
「くわしく、聞かせてぇ……」
リベラは、笑みを顔の限界まで釣ったような顔をしていた。
ブルートの身体からは、流れている血は、止まり、身体が治っていた。
(こいつ……まさか……)
「そう……わたしもかいか何だよねぇ」
リベラは、左脚でブルートの右脚を少し蹴り上げた。ブルートの右脚の膝から下が飛ばされた。
「イッテエぇェッ!」
ブルートの右脚の断面から血がダラダラと流れている。
リベラは、さらに顔を近づけ笑みのままブルートの頭部を地面に擦りつけた。ブルートは、仰向けに倒れリベラは、その上に乗った。
「その馬鹿げた力、白い髪、白い瞳、やはりファート家だなぁッ!禁忌の一家!人類の進化ッ!」
「おおそのとおりだよぉ、よく知っているねぇ。改めまして、自己紹介だよ、リベラ・ファートだ。よろしくねぇ」
リベラは、そのまま悦楽に浸りながら話を続ける。
「まずは、きみの本名とかいかを教えて、偽名だろぉ……教えてよぉ……仲良くなるための第一歩だよぉ……」
リベラは、ブルートの頭部を擦りけた。そして身体を擦りつけ右脚をブルートの左脚の上に置いた。
「私の名前は、ゾネ・ヘルツ……かいか名は、ナンディナ・ドメスティカ……」
「能力について教えて……」
リベラは、自分の口をブルートの右耳に近づけ小声で話しかけた。そしてゾネの右脚の断面を左脚でグリグリし始めた。
「イッグゥ!」
ゾネは、痛みの声を上げた。
「能力は、影に物や生物を入れる事ができるッ!」
「それで、どうすれば…… 金と人がいくらでも、手に入れるのかなぁ……」
「シリウスの隠れ家を知っているんだぁッ!」
「ふぅーん。シリウスのねぇ」
リベラは、ゾネの首もとを持ち、自分と同じ目線に合わせた。右脚を蹴り上げて、ゾネの左脚の膝から下が飛ばされた。
「ッ!本当なんだよぉッ!それにかいかの能力も知ってるんだ」
ゾネは、声を荒げた。
リベラは、少し考えて、口を開いた。
「……よし!信じよう!」
リベラは、楽しそうな声で喋った。
ゾネの、膝から下が治っていた。
リベラは、ゾネの首もとを掴んだまま、クルーウの方に近づいて行った。
リベラは、クルーウの顔面を蹴った。今度は、弾きとばなかった。
クルーウは、飛び起き、リベラと首もとを持たれたゾネを見た。
「ブルートおぉッ!」
クルーウは、すかさずゾネを左手で殴ろうとしたが、リベラの蹴りにより、左手がぶっ飛んだ。
「こいつは、今から仲間だよ。クルーウ」
リベラは、クルーウに微笑みかけた。
夜の帷は、まだ降りていた。