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骸花ノ勇者  作者: 花嵐世湮
偏愛の奴隷編
23/23

サイコ共

「はっ!」

 鳥の鳴き声が聞こえる中、クルーウは起きた。体中が痛い。掃除の途中でいつの間にか、寝てしまっていたらしい。

「……いててて、ん?」

 横を見ると、クルーウの寝顔を描いている、テスがいた。

「おはよう!」

「……なに、してんの?」

「人の寝顔を見たの久しぶりだから描いてたの」

「ゾネは、まぁ、良いとして。俺よりリベラの方、描いておけよ。顔、そっちの方が整ってるだろう」

(アンと同じ顔だし)

「リベラちゃんは、もう先に起きてるよ。あの子って、いつ寝てるの?」

「そういえば、見たことないな、寝てる姿」

「ファート家だから」

 荷台の扉の前にリベラが立っていた。

「……便利だね。ファート家って」

「だろ」

 フンとじまんそうなか顔をリベラはしていた。そんなリベラを無視して、クルーウは外に出た。

 青みがかった、朝の空気。冷たい空気が肺に入り込んでいく。口から出ていく空気は少し白くなっている。

「寒い」

「クルーウ。火に当たらせてくれよ」

 影から出てきた、ゾネが言う。

「いつも、影で寝てるの?」

 手に火をつけて、クルーウはゾネの近くに手を置く。

「なにそれ!クルーウ君のかいか!へぇー便利だね!」

 馬車の中からテスが出てきた。

「仲間になった記念だ。特別に見せてやるよ」

「良いね。めんどくさい、火起こしをにどとしなくていいなんて」

「で、今日は何するの?」

「アンに会うんだろ」

「それまで、暇だねー」

「まぁ、依頼でも受ける?」

「依頼?なんで、金あるだろ?シリウスから奪った」

「コイツのかいか知りたくない?」

 ゾネはテスに指を差した。

「かいか持ちなの!」

「そうじゃあなかったら、こんなサイコ。生きていけないだろ」

「……まぁ、そうか」

「ちょっと、酷いこと言わないでよ。まぁーあってるよ。私はかいか持ちさ」

「そうだろう。なら、仲間になったんだ、信頼のために見せろ」

「えー。……まぁ、いいけどさ。けど、見せるのは敵と相対したときね!そっちの方がかっこいいからね!」

「……確かに。なんか、ゾネを温めるためのがかいかの初だしってなんか、かっこ悪いな。……死ね!ゾネ!」

「情緒終わってるぞ、お前」

「ほら、役所いくぞ。見せてみな、テス」

 リベラが先頭で歩き出す。


「いいのあるかな」

 役所の依頼版を適当に見ている。「ゴブリン退治 三万リョク」「洞窟調査 一万リョク」「

「いろいろあるね」

「……んあれ。この洞窟調査って、リベラが爆発したとこじゃない?」

「あ。本当だ。ゾネのせいにしたやつじゃん」

「ああ、これのせいでシリウスの息がかかった連中に見つかったんだよ。まぁ、全員殺したから、許したる。リベラ」

「え。シリウスの潰したの君たちなの?」

「言ってないけ」

「言ってないよー。もう、ちゃんと全部話してね!」

「で!どれにするの!」

 クルーウが言う。

「適当にゴブリンでいいんじゃないか」

 ゾネはゴブリンの依頼の紙を千切り、受付に持っていた。


 森の中心。紅葉が綺麗に散っており、落ち葉が赤と黄色の絨毯を作っていた。

「あははは。苦しそう!」

「いいぞ!やれ!テス!」

 右腕が水になった、テスはゴブリンを溺れさせていた。ゴブリンは両足を切り落とされていた。それを見て、リベラとクルーウは純粋に笑いあってる。

 ゴブリンはテスを必死に攻撃しているが、全てビシャビシャと音をたてて水を弾いていた。必死な抵抗は何も意味をなしていない。

 周りには三匹のゴブリンの死体が転がっていた。テスが溺れさせているのは最後の一匹だ。

「……クルーウ。君もか」

 ゾネだけが呆れた様子で遠くから眺めている。

「ゴブリンなんて、絶滅しれば良いんだよ!」

(それにしても、テスのかいか、強くないか)

「知っている。リベラ!死の中で溺死が一番苦しいらしいよ!」

「ああ。知ってる。だから、笑ってるんだよ!」

「このー!サイコめ!」

「仲良しだねー」

 右腕をゴブリンの体から出し、そして、ゴブリンは倒れた。テスの腕は綺麗に肉に戻っていた。ゴブリンは溺れ死んだ。

「あははは。どう私つよ……」

 ビシャという音ともに、テスが弾かれる。そこには、岩で出来た、巨大な人形があった。

「ゴーレム!」

 クルーウが叫ぶ。両手を燃やす。テスの体が液体から形成されていく。

「なんで、こんなところに⁈」

 ゴーレムは普段は洞窟の中に住んでいる。つまり、こんな森林で現れるのはおかしいのだ。

「ゴーレムの中心に心臓がある。それを狙え」

 ゾネが大剣を影から出す。

「どうやって!岩で囲まれてんだぞ!」

「頑張って。火で溶かせば!火力上げてけ!クルーウ!」

 楽しそうにリベラが笑う。

「うーん。デカすぎて、殺すのめんどくさそうだね」

 液体から形成してきたテス。

「テス、無敵か!お前!」

 一切のダメージがないようにテスが立っていた。

「言ったろ、私は君達には殺せないって」

「だったら、お前がアレを殺せ!」

「無理だよ。あいつの何処を溺れさせればいいか、わかんないもん」

「は!だったら!囮でもしろよ!」

「囮なってくれって、頼みかたってもんがあるでしょう。そんなことより、君の実力見せてくれよ」

「あー!もう!リベラ!」

「私も同意見だ」

「サイコ共が!」

「私が援護する!やるぞ!クルーウ!」

 大剣(アッシュ)を構えたゾネがクルーウの隣に立つ。

「私が部位を切り落とす!」

「できるの!」

「まかせろ!」

 ゴーレムへと姿勢を低くしゾネが突っ込んでいく。ゴーレムが右腕を振り上げ殴りつける。拳が地面に激突し破片が飛び散る。

 素早く拳を避けた。

「チ!」

 しかし、飛び散った破片がゾネの体に少し刺さった。

「は!」

 大剣を振りかぶり、渾身の一撃で右腕を切り落とした。右腕を失ったゴーレムは姿勢を崩し、そのまま仰向きに倒れ込んだ。

「クルーウ!」

 飛び出したクルーウがゴーレムの背中の上に立つ。右手を置き手を燃やす。

「ハイドランジア!」

 力を一点に集中させて燃やす。けど、ゴレームの身体は解けない。

 さらに、炎に力を込める。

「アアアアア!」

 自分の腕に燃える痛みが走る。

「イッテェーーー!」

(ゾネが言っていた、かいか慣れか!)

 クルーウの腕に火傷が広がっていく。そして、ゴーレムの体が少し溶けていく。

 急にゴーレムが動き出した。ゴーレムの左腕がクルーウの全身をぶっ飛ばす。

「ウグッ」

 ゴーレムの体を飛ばされ、クルーウは木に衝突した。その衝撃で、イチョウの葉っぱが大量に降ってきた。体が葉っぱに埋もれた。

「アガアッあ、ハァーハァー」

 立ち上がれない程の痛みがクルーウの全身を襲う。視界が上手く確保できない。頭がグルグルしている。口から血が出てくる。

 右腕と右足があらぬ方向に向いている。クルーウは立ち上がれそうにない。

「り、リベラ!リベラ!」

 口を必死に動かし、叫ぶ。リベラに助けを求める。

 ゴーレムがゆっくりと動きだす、うつ伏せになり重い体を引きずりながらクルーウに近づいていく。

「クルーウ!死の感覚がかいかの確信に近づく!もっと燃えろ!」

「ああああ!無理だ!助けろ!」

「ここで、死んだら、お前はここまでだったってことだ」

「ねぇー!クルーウ君!今の姿!とっても可愛いよ!」

「アアアアア!サイコ共がアアアア!」

 クルーウを埋もれさせていた葉っぱが燃える。全力で燃える。

 ゾネがアッシュを持ってクルーウを助けようとする。

「やめろ」

 リベラが一喝する。

「助けたら。殺すぞ」

 炎に包まれた、クルーウの肌が焼けていく。体が耐えきれない熱さになってきたらしい。炎が微かに青くなっていく。後ろにある木が燃える。

 ゴーレムが左腕が振りかぶる。

「やってみろ!殺してやる!」

 刹那。振りかぶった、左腕が切断された。白い影がクルーウの視界を横切る。瞼が落ちる間もなくゴーレムの体が一刀両断された。

 轟音共にゴーレムの体が落ちてきた。

 クルーウは目を開ける。雪のように純白な髪。そして、百合みたいな白い肌。それは、あまりにも美しかった。

「アン?」

「……クルーウ」

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