星の最後は綺麗 二
ブレイキングバット
クルーウ。
「クソがッ!」
炎を纏いクルーウは攻撃を続ける、しかし、フィクスは軽やかなステップで躱していく。
「ホープの息子よ。君とは過ごした世代の差がありすぎる」
「俺はクルーウだッ!」
ビュウッ。石が豪速球で飛んでくる。クルーウは躱そうとするが、まばらに当たる。体の所々に穴が開く。すぐさま、特大の炎を放出する。意識が朦朧している。
(痛みでどうにかなりそうだ)
フランベルジュを構える。
「ホープの息子よ。その炎を何と呼ぶ?」
「は?」
阿保みたいな声が出る。クルーウは睨み続ける。
「君はホープと性格が星屑も違う。どちらかというとエル似だ」
懐かし物を見るように微笑みを浮かべ喋る。
「ハッ!なんて名付けようがどうでもいいだろうッ!」
「あ。エルは君の母親の名前だ」
「は!」
(衝撃の事実!だが!)
「どうでも良い!っそんなもん!」
「かいかに付ける名前は運命で繋がっている。エルが語っていた名前と同じはず」
「ハイドランジアッ!」
左手に炎を全面に放出する。グチャ。フィクスが右に躱した所をフランベルジュを腹部にブッ刺した。
「やはり!っ君はホープの息子だッ!」
フィクスは歓喜を浮かべる。ナイフを構える。
「俺はクルーウだ!」
「茶髪はエル譲り。青目の方はホープ譲り。良い髪と良い目だ」
「五月蝿えッ!」
「はは。懐かしいな、懐かしいな……」
微笑みながらフィクスはナイフを飛ばしてくる。左手を伸ばしハイドランジアを放出する。
ビュッ、グチャ。クルーウの左手が飛ぶ。
「アアアアッ!」
ロマン。ゾネ。
左肩を斬り落とされた最後のシリウスメンバーが立っている。左肩からは絶えず血がダラダラと流れ、足はガクガクと震え、立っていることが不思議なくらいボロボロである。しかし、眼は星のように輝いている。
周りには胴体や腕、いろんな物が切断された死体が転がっている。
「何で?そんなに頑張るの?」
「……そ、そうだな。お、オエっ」
血を吐く。息は荒くもう最後の灯火だ。それでも、まだ立ち向かおうとする。
「ロマンだよ」
バックソードが星の光を反射する。男は笑みを浮かべる。
「……それだけ?」
「そう。じ、自分より強い奴に真っ向から挑む、ロマンだろ」
血と笑いを混ぜながら喋る。
「いや、愚かだよ」
「ふふ。理解されないのも、それもまたロマンだ」
男は最後の力を振り絞り、バックソードを突く。
テオは流星のように進んでいく、クルーウと離れてからすでに七分は過ぎている。暗い森の先に赤い光が見える。火事を起こし、村全体が燃えているロマンが見えてきた。
絶句した。テオは絶句した。最近まで生き自分ともに笑っていた、シリウスメンバーが無惨な姿になっていたからだ。青い夜から一寸の水が零れ落ちる。
「ふうーッ」
涙を拭き取り、テオは深呼吸をする。燃え盛るロマンを見ながら、テオは考える。
(……彼奴はここまで強かったとは、クソッ!あの時、殺せばよかった!……見た感じ、ゾネの姿は見えない。どこかの影で私を見ているな)
テオは死体を見る、どれも体の一部が欠損している。
ロマンの入り口に左肩を切り落とされた死体がある。ピクっピクっ。少し体が動いた。
すぐさま、近づこうとしたが思いとどまった。テオはジッと見る、その死体に近づかず、目を決して離さず燃えている家の方に歩いていく。燃えている家の周囲に落ちていた、火のついた木の棒を拾った。
「おりゃ!」
投げた。左肩を切り落とされた死体に向かって木の棒を投げた。パチパチ。死体に火が移り燃え始めた。
「ギャァ!」
死体の下からゾネが出てきた。手にアッシュを持つ。白い仮面とアッシュは血みどろになっていた。
「シホの死体の影に隠れやがって、お前の常套手段だったよなぁ。死体に近づてきた人間を影から殺す。悪趣味なやつめ」
テオは鉈を右手に持ち逆手で構え、左手で複数の石を持つ。
ゾネの周りは火事になっており、自分以外の影が無くなっていた。
「その白い仮面をもぎ取って、生きたまま顔面の皮を剥いで殺してやる」
「なら、右眼の眼帯を引きちぎって、左眼潰したら殺すよ」
「やってみろよ、ドブネズミ!」
石がゾネの右頬に向かって投げ飛ばされる。右頬を通過する刹那、テオが現れる。現れると瞬間、アッシュを振りかぶる。テオは左手の石を少し上に投げる。消える。アッシュは虚空を斬り、テオはゾネの頭上に現れ、ゾネの顔面に向かって蹴り込んだ。
「ッ!」
転がっていく、土まみれになりながら転がっていく。すぐに、立ち上がる。白い仮面には傷一つ付いていなかった。
「は!大剣は不利じゃないか!」
テオは嘲笑を浮かべる。もうすでに石を投げる体制になっていた。
ビュッ。石がゾネの顔面に向かってくる。顔面に当たる直前、ゾネは石を斬った。アッシュが上を向いている。すでにもう一個投げられた。テオが現れた。
グサッ。鉈がゾネの腹部に刺さる、グサッ、グサッ。すぐにもう二度、心臓らへんを目掛け刺す。
ゾネは悶絶しながらもテオの腹部に思いきっり蹴りを入れた。テオはぶっ飛ばされる。ゾネとテオとの間に距離ができた。
「ふぅーふぅー……」
ゾネの呼吸が荒くなる。
テオはすぐに立ち上がろうとする。
「うッ!」
テオは其の場に倒れ込む。自分が何故これまで消費しているのかが理解できない。肋骨が折れている気がする。立ち上がれない。
(まさか。今の蹴りだけで……?どんな力だよ。私より小さいのに。大丈夫だ。ゾネだって内臓に傷が入っているはずだ。今は回復優先だ)
ゾネの方に目を遣る。ゾネは腹部を抑え丸まっていた。
「おい。ゾネ!今際の際。冥土の土産に教えてやるよ私の右眼がどうなっているのか……」
テオは流星が消える寸前のような声で喋り始めた。
ゾネは血塗れの白い仮面をテオの方に向けた。
テオはゆったりと自分の右眼の星が輝く眼帯を取り外した。
右眼は縫われていた。目が開かないように糸がジクザクに五回、縫われていた。上瞼から下瞼までに糸が縫われたいた。
「……これが、私の贖罪だよ。メオ」
テオは流星が消える寸前のような声で喋り始めた。
ブレイキングバットを最近、見始めました。八咫烏の廻り道も読んでください。




