星に染み込む恐怖
「いいか。クルーウ、リベラ。私はまずシリウス達の足止めをする」
シリウスに指を刺しながら、ゾネは話す。
「どうする?」
「簡単だよ。後で会おう」
ゾネは馬から飛び降り影の世界に入っていた。
現在。
「ちくしょうッ!」
テオは、止まり下を見た。馬に巻き込まれ死んでいった、シリウスメンバー達を見た。
「殺してやるッ!」
テオはゾネに向かって石を投げゾネの首を通る寸前に石と入れ替わった。鉈を斬りかける。ゾネは影の中に入った。
馬を降りてフィクス達は死体が転がる所を見た。
「狙っておけ、テオ」
フィクスはテオに低い声で言い聞かせ、テオは石を構える。
影から大剣と共にフィクスの首に斬りかける。テオの鉈があたる一刹那。ゾネの大剣を防いだ。テオはフィクスの広い肩に乗り大剣を防いでいる。フィクスはその体制のままゾネの腹辺りに蹴りを入れ込んだ。
ゾネはそのまま転がりながら影の中に消えていった。
馬に乗ったクルーウとリベラはシリウスに向かって走っていた。
「殺すッ!殺すッ!」
「お!殺気だってんねぇ〜クルーウ!」
手綱を引いたリベラは後頭部を後ろのクルーウの肩に置いた。
「前見ろよッ!」
「クルーウ。腕をぶっ飛ばされたり、足を切り落とされたりしたらこの言葉を思い出せよ」
甘く耳元で囁く。
「ロベリアがあるから大丈夫。ロベリアがあるから大丈夫。ロベリアがあるからどんなに欠損しても大丈夫。ほら繰り返して」
「ロベリアがあるから大丈夫。ロベリアがあるから大丈夫。ロベリアがあるからどんなに欠損しても大丈夫」
「よしッ!最高ッ!」
リベラは立ち上がり、馬から飛び降りた。グチャグチャになりながら、転がりながらに治していく。
リベラは意気揚々とシリウス達に近づく。
「ファート家だッ!気をつけろッ!」
シリウス、各々がリベラから距離を離し、背中にあるマスケット銃を手にする。リベラにぶち込む。
「ハハッ!自由だ!」
血がリベラからダラダラと流れる。
森が燃える。転がり落ちて死んでいった、シリウスメンバーが持っていた松明から広がって森が燃える。
クルーウが馬に乗りながら、シリウス達の所に向かっていく。
木の上にいる、テオと目が合う。
「ハロー!クルーウ!」
クルーウは、剣を構える。
「あのッ!コーヒーに血を淹れたな!なかなかエッチィ!事してくれるじゃないのッ!」
「美味かったかぁ!」
「はは!今までで一番だよッ!」
嬉しそうにテオはクルーウを見つめる。
クルーウはジリジリとテオに近づこうとする。
テオはジリジリとクルーウから避けていく。
「どうした!もう眼は見ないのか!」
「君に近づきすぎると顔が熱くて、燃えちゃいそうなんだよね!」
クルーウは掌を轟々と燃やした。
「身を焦がすぐらい恋焦がれようぜ!」
「ごめん!残念だけど君の相手はできないだよね!」
テオはそう言い石を遠くの木のところに向かって投げた。
(テオの能力は最後に触った場所へ移動する能力。ゾネ情報)
石の向かう場所をクルーウは予測し馬を走らせる。
テオが現れる。
「本当に残念なんだけど!君の相手はできない!ゾネを殺さないと!」
テオがクルーウに向かって叫ぶ。
「あっそう!それで止められると思ってい……」
腹に何かが突き抜けた。突き抜けたところからダラダラと血が流れる。
クルーウは何が突き抜けた方向に振り返った。
そこには、酒を飲みながら佇むフィクスが居た。ボトルを後ろにしまい、薄汚れたコートを少し開けるとベルトに十本のナイフが付いていた。
「殺すなよッ!フィクスッ!」
テオが移動していく。クルーウは馬を飛び降りた。馬は逃げた。
(フィクス。こいつは投げた物を銃弾並みに加速する。ゾネ情報。)
クルーウはフランベルジュを構え、左手を燃やす。
「ホープに昔、俺の息子が来たら殺してくれって言っていた」
低い声が耳に響く。フィクスがナイフを一本取り、構える。
「まぁ、かいかさせてやれってことだろうが」
クルーウが走る。剣を斬りの状態にし走る。炎の射程距離内。
「殺しはしないが。四肢を失くすつもりでこい」
フィクスに向かい、炎を撃ち放った。フィクスはナイフを投げた。炎の中央を突っ切り、左の掌に突き抜けた。
「ちくしょうッ!」
(眼で追えなかったぞッ!)
ポッカリと空いた左の掌から血がダラダラと流れる。剣を構える。
「四肢!だぁッ!ホープのせいで三肢しかねぜッ!ノミッ!」
クルーウの炎は雄叫びをあげるようにさらに轟々と燃える。再度、炎を撃ち放つ、さっきよりも広範囲で熱く。
フィクスは再度、炎の中央に向かいナイフを投げたが、そこにクルーウはいなく、炎の虚空を突っ切った。
クルーウは全身を低くして、クラウチングスタートのような姿勢になっていた。その姿勢で走り抜け、剣を思いっきり振り上げ、フィクスの喉元、目掛けて切り込んだ。
フィクスはサラリと躱し、クルーウも負けじと追撃するがそれらもサラリと躱された。フィクスとクルーウの間に距離ができた。
(距離はまずい。近距離で攻撃しないと。それに炎を放出するまでに間がある。ゾネが言っていた。かいか慣れか?さっさと慣れろ肉体!)
リベラからダラダラと流れる血が止まっていた。
「イカれのファート家に、再生機能付き……ヤベえな……」
絶望と興奮が混じった声でシリウスの誰かが呟く。
「ワシが距離を稼ぐ。お前らはさっさと次の弾を込めろ」
プラネットは地面に手を置く。地面が螺旋を描きながら回転していく、一瞬にしてリベラに伝わる。リベラの右足に回転がする、ギュチャギュチャと音を立てながら、右足が回転する。タオルを捻ったような右足が千切れ落ちた。血がダラダラと流れる。
(触れた物を回転させる能力だっけ。ゾネ情報)
リベラは片足が無くても、何事もないように立っている。
「ヤレッ!」
プラネットの合図と共にシリウスメンバーがリベラの左足にぶち込む。
リベラの左足に無数の穴が開く。それでもリベラは立っている。血がダラダラと流れる。
「ロベリア」
静かに呟く。白い左足の穴が塞がり、白い捻った右足がくつっく、捻った右足が逆に捻り、元の死体のような美しい右足に戻った。
「……ヤベぇな……」
プラネットが絶望と興奮が混じった声で呟く。
「アハハハハハハハハハハハッ!」
リベラの笑い声が暗い宵に染み込んでいく。狂気と純粋が混じった、笑い声がシリウスメンバーの耳に染み込んでいく。
リベラが跳ぶ。シリウスメンバーの一人目掛けて跳ぶ。蹴り込んだ、頭が破裂したかのように血が飛び散る。頭が吹き飛んだシリウスメンバーは地面にドンと倒れ込んだ。首根っこから血が流れる。
「私はッ!自由だッ!」
リベラの歓声が星達に染み込む。
ニコニコ早く復活しないかんな




