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骸花ノ勇者  作者: 花嵐世湮
青い夜編
12/23

苦く感じるコーヒー

 黄昏時。あと少しで日が沈み、夜の帷が満遍なく蔓延っていく。ロマンから少し離れた小さな黄金の丘の上にクルーウは、居た。小さな丘の頂上には、黄金の葉を散りばめ始めた木が一本生えていた。丘は、森の中に孤立するように出来ていた。

 クルーウは、朝方に酒場ロマンのマスターにテオへの伝言を頼んだ。「伝えたい事がある。この場所に一人で来てくれ。黄昏時。」と頼んだ。

 クルーウは、黄金の葉を散りばめ始めた木の下に座っていた。目の前には銀の鍋がありスパイシーで微かに甘い匂いが漂わせいている。クルーウは、それを木のお玉で混ぜ合わせている。

 

 テオが来た。

 テオは、クルーウがの方へとユタユタと歩きながら近づいていく。

「やっほー」

 楽しそうな声でテオが話しかける。クルーウは、ゆっくりと振り向いた。

「何だい?こんな所へ呼び出して?」

 テオは、嬉しいのか語尾が少し上擦っている。

 テオは、ゆっくりとクルーウの横にスッと座った。

「コーヒーかい、それ?」

 テオは、小指でグツグツと鳴る鍋を指した。

「そうだよ……。テオ、君と飲もうと思ってね」

 クルーウは、二つの銀色のコップを取り出し、木のお玉でトクトクとコーヒーを淹れていく。

「どうした、コーヒーを進んで飲もうなんて大人ぶりたいのかい」

「別にコーヒーが飲めるからって、大人なわけないだろ」

「ははッ!カッコつけたい年頃なんだろ……十七歳」

 笑いながらテオが言う。

「いいか。まだ俺が苦い物を嫌ってるのはな、俺理論によると俺の舌がまだバカじゃないからなんだよ」

「どうこと?」

「いいかい。歳を追うごとに人を味覚っていうのは、衰えていくんだよ。だから、子供の頃に苦手だったものが食べられるようになるんだよ」

「じゃあ尚更、コーヒーを飲むんだよ?」

「……いいかい。べつに舌がバカになるのは、悪いことじゃないんだ」

「ほう」

「バカになればなるほど色々なものを楽しめられるんだ」

「うわ……なんか。この世の真理みたいなこと言ってる。気持ち悪いぃ……」

「えぇえ……ひでぇ……」

「私、名言みたいな事、言う人間嫌い何だよねぇ……」

「でも……コーヒーを飲む理由は、分かっただろ」

 そう言いながらクルーウはコーヒーをテオに差し出した。

 酒場ロマンでだされた、コーヒーと同じ匂いを感じながら、テオは、静かに口の中に流し込んだ。

(……うぅ……緊張しすぎてなんか変な味に感じる……。鉄っぽく感じる?)


「テオ、君に話したいことがある」

 テオは、心臓の位置が指で差せるほど、バクバクと心臓を鳴らしていた。

「……ッなに?」

 テオは、緊張のあまり声がすごい上擦った。

 クルーウは、一呼吸置いた後。口を開いた。


「君を殺す」

 

 テオは、腰の鉈に手を置いた。

「冗談かい……?」

「これからシリウスのメンバーを全員殺すつもりでいる。でも、俺は君を殺したくない」

 涼しい風が、二人の間を横切った。

「だから、これで最後だ。次、会ったら、君を殺す。これで最後だ」

 クルーウは、静かに立ち上がり、森の方へと歩いていく。草にザクザクという音を立てながら歩いていく。

 テオは頂上で立ったまま。二人の距離が離れていく。

 

「クルーウーッ!」

 テオが叫ぶ。

 クルーウは、振り向く。


 クルーウは、隠し持っていた。ナイフを後ろへ切り掛けた。虚空を切る。

 伸ばしきった、右腕の上にテオの影が映る。そのまま、腰に付いていた、鉈でクルーウの右手を切り落とした。

「イッテェッ!アアアッ!」

 クルーウは、喚き散らしながら右手と一緒に丘の下へと転がり落ちていく。

 テオは、ザクザクという音を立てながらゆっくりとクルーウに近づいていく。

(なぜ私を殺す?)

 テオは、考える。

(私がシリウスだということを知っているという点は、気づいていたが、なぜ殺そうとする?シリウスを殺すにはリスクが高すぎる)

 鉈を掌で回しながら考える。クルーウに近づいていく。

(唆した奴がいるな。最近でシリウスを殺したいと思っている奴なんて一人しかいねぇ。ゾネ・ヘルツ。彼奴だけだ。しかし、謎だ。サテライトは、ゾネとクルーウに殺されるタマじゃない。なら、もう一人いると考えるのが妥当だろ。しかもかなりのかいか野郎だな)

 二人の距離が近づいた。テオがクルーウを見下ろす。

(さて、ゾネは、どこにいるのかな?彼奴の性格として、正確さを大事にするだろう。なら出来るだけ近くで俊敏に一発で仕留めたいだろうな。なら察しはつく。クルーウの影だ)

 蹲ったクルーウの影から、銃口が見えてくる。フリントが当たり金のところにあたり、シュと炎が出てボォーンという音ともに弾がテオへと流れる。

 テオは、それを横目に躱した。

「ゾネ!久ぶりだなぁッ!」

 ゾネが影の世界から切り掛かる。しかし、テオはすでにそこにはいなかった。テオは、丘の上に一瞬で移動していた。

 クルーウは、右手を抱えて森の中へと入っていく。ゾネもそれに続いく。

「ちくしょうッ!イッテエッよ!」

 クルーウは、右手を持ちながら逃げていく

「テオッ!君がいること、分かっていたみたいだぞッ!」

「あいつの察しの良さは異常だッ!多分ッ!リベラのことも気づかれてるッ!」

 

 森の中には、リベラが待機していた。

 リベラは、一人、茶色の馬に乗っている。馬の下には、男の死体があった。男の掌には、五芒星の焼印があった。

「何人か森の中にいるよ。テオとか言う奴は一人で来なかったらしいね」

 意気揚々とリベラは話す。

「マジかよッ!どうするよッ!」

「もちろん。ここで全員殺す」

 遠くの方から馬の足音が聞こえる。パカラパカラ。

 クルーウは、リベラの後ろに座る。ゾネはクルーウの影に入る。

 手綱を引き、森の方へと進んでいく。

 遠くに方から複数の馬の足音が聞こえてくる。

「数は、十二頭ってとこだな」

 暗い森を見つめながらリベラが言う。


「テオさん。敵の数が何人か分かりますか?」

 酒場に居た、屈強な男の一人が言う。上を見上げながら言う。

「多分、敵は、三人だッ!このまま、村の方まで追い込んで挟み撃ちにするぞッ!」

 テオは、木の上を移動していた。

 石を持ち遠く木の枝の所まで投げ、石が木の枝に通り過ぎる瞬間、石の位置にテオが現れた。テオは元いた位置から瞬間的に移動していた。

「茶髪の右足義足の奴は、殺すなよッ!」

 

 クルーウ達に追いついた。

 馬には、ロマンのマスターが乗っていた。さらに、他の馬に店の前で酔い潰れていた初老の男が乗っていた。

「あっちの、マスターだった奴がNo.2のプラネット・アースで、そしてあれが、店の前で酔い潰れてた奴が頭のフィクス・シリウスだよ」

 指を差しながらゾネが言う。

「……思い出しだぞッ!フィクスッ!」

 リベラに右手を治しってもらってるクルーウが叫ぶ。

「あの野郎ッ!ホープが言ってた奴だッ!」

「どうした?クルーウ知ってるのか?」

 ゾネが質問する。

「知らんがッ!ホープの知り合いならッ!殺すッ!」

「どうやら、クルーウの悲しい過去らしいな」

 意気揚々とリベラがゾネに話す。

「推測するに、ホープって奴に酷い事をされたらしいな」

「アイツらにッ!右足を失う気持ちを味わわせてやるッ!アイツらにッ!親友の味がどんな味か味わわせてやるッ!」

 クルーウの叫び声が、夜の帷が満遍なく蔓延った。暗闇に流れていく。

フォールアウトのドラマおもろすぎッ!

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