苦く感じるコーヒー
黄昏時。あと少しで日が沈み、夜の帷が満遍なく蔓延っていく。ロマンから少し離れた小さな黄金の丘の上にクルーウは、居た。小さな丘の頂上には、黄金の葉を散りばめ始めた木が一本生えていた。丘は、森の中に孤立するように出来ていた。
クルーウは、朝方に酒場ロマンのマスターにテオへの伝言を頼んだ。「伝えたい事がある。この場所に一人で来てくれ。黄昏時。」と頼んだ。
クルーウは、黄金の葉を散りばめ始めた木の下に座っていた。目の前には銀の鍋がありスパイシーで微かに甘い匂いが漂わせいている。クルーウは、それを木のお玉で混ぜ合わせている。
テオが来た。
テオは、クルーウがの方へとユタユタと歩きながら近づいていく。
「やっほー」
楽しそうな声でテオが話しかける。クルーウは、ゆっくりと振り向いた。
「何だい?こんな所へ呼び出して?」
テオは、嬉しいのか語尾が少し上擦っている。
テオは、ゆっくりとクルーウの横にスッと座った。
「コーヒーかい、それ?」
テオは、小指でグツグツと鳴る鍋を指した。
「そうだよ……。テオ、君と飲もうと思ってね」
クルーウは、二つの銀色のコップを取り出し、木のお玉でトクトクとコーヒーを淹れていく。
「どうした、コーヒーを進んで飲もうなんて大人ぶりたいのかい」
「別にコーヒーが飲めるからって、大人なわけないだろ」
「ははッ!カッコつけたい年頃なんだろ……十七歳」
笑いながらテオが言う。
「いいか。まだ俺が苦い物を嫌ってるのはな、俺理論によると俺の舌がまだバカじゃないからなんだよ」
「どうこと?」
「いいかい。歳を追うごとに人を味覚っていうのは、衰えていくんだよ。だから、子供の頃に苦手だったものが食べられるようになるんだよ」
「じゃあ尚更、コーヒーを飲むんだよ?」
「……いいかい。べつに舌がバカになるのは、悪いことじゃないんだ」
「ほう」
「バカになればなるほど色々なものを楽しめられるんだ」
「うわ……なんか。この世の真理みたいなこと言ってる。気持ち悪いぃ……」
「えぇえ……ひでぇ……」
「私、名言みたいな事、言う人間嫌い何だよねぇ……」
「でも……コーヒーを飲む理由は、分かっただろ」
そう言いながらクルーウはコーヒーをテオに差し出した。
酒場ロマンでだされた、コーヒーと同じ匂いを感じながら、テオは、静かに口の中に流し込んだ。
(……うぅ……緊張しすぎてなんか変な味に感じる……。鉄っぽく感じる?)
「テオ、君に話したいことがある」
テオは、心臓の位置が指で差せるほど、バクバクと心臓を鳴らしていた。
「……ッなに?」
テオは、緊張のあまり声がすごい上擦った。
クルーウは、一呼吸置いた後。口を開いた。
「君を殺す」
テオは、腰の鉈に手を置いた。
「冗談かい……?」
「これからシリウスのメンバーを全員殺すつもりでいる。でも、俺は君を殺したくない」
涼しい風が、二人の間を横切った。
「だから、これで最後だ。次、会ったら、君を殺す。これで最後だ」
クルーウは、静かに立ち上がり、森の方へと歩いていく。草にザクザクという音を立てながら歩いていく。
テオは頂上で立ったまま。二人の距離が離れていく。
「クルーウーッ!」
テオが叫ぶ。
クルーウは、振り向く。
クルーウは、隠し持っていた。ナイフを後ろへ切り掛けた。虚空を切る。
伸ばしきった、右腕の上にテオの影が映る。そのまま、腰に付いていた、鉈でクルーウの右手を切り落とした。
「イッテェッ!アアアッ!」
クルーウは、喚き散らしながら右手と一緒に丘の下へと転がり落ちていく。
テオは、ザクザクという音を立てながらゆっくりとクルーウに近づいていく。
(なぜ私を殺す?)
テオは、考える。
(私がシリウスだということを知っているという点は、気づいていたが、なぜ殺そうとする?シリウスを殺すにはリスクが高すぎる)
鉈を掌で回しながら考える。クルーウに近づいていく。
(唆した奴がいるな。最近でシリウスを殺したいと思っている奴なんて一人しかいねぇ。ゾネ・ヘルツ。彼奴だけだ。しかし、謎だ。サテライトは、ゾネとクルーウに殺されるタマじゃない。なら、もう一人いると考えるのが妥当だろ。しかもかなりのかいか野郎だな)
二人の距離が近づいた。テオがクルーウを見下ろす。
(さて、ゾネは、どこにいるのかな?彼奴の性格として、正確さを大事にするだろう。なら出来るだけ近くで俊敏に一発で仕留めたいだろうな。なら察しはつく。クルーウの影だ)
蹲ったクルーウの影から、銃口が見えてくる。フリントが当たり金のところにあたり、シュと炎が出てボォーンという音ともに弾がテオへと流れる。
テオは、それを横目に躱した。
「ゾネ!久ぶりだなぁッ!」
ゾネが影の世界から切り掛かる。しかし、テオはすでにそこにはいなかった。テオは、丘の上に一瞬で移動していた。
クルーウは、右手を抱えて森の中へと入っていく。ゾネもそれに続いく。
「ちくしょうッ!イッテエッよ!」
クルーウは、右手を持ちながら逃げていく
「テオッ!君がいること、分かっていたみたいだぞッ!」
「あいつの察しの良さは異常だッ!多分ッ!リベラのことも気づかれてるッ!」
森の中には、リベラが待機していた。
リベラは、一人、茶色の馬に乗っている。馬の下には、男の死体があった。男の掌には、五芒星の焼印があった。
「何人か森の中にいるよ。テオとか言う奴は一人で来なかったらしいね」
意気揚々とリベラは話す。
「マジかよッ!どうするよッ!」
「もちろん。ここで全員殺す」
遠くの方から馬の足音が聞こえる。パカラパカラ。
クルーウは、リベラの後ろに座る。ゾネはクルーウの影に入る。
手綱を引き、森の方へと進んでいく。
遠くに方から複数の馬の足音が聞こえてくる。
「数は、十二頭ってとこだな」
暗い森を見つめながらリベラが言う。
「テオさん。敵の数が何人か分かりますか?」
酒場に居た、屈強な男の一人が言う。上を見上げながら言う。
「多分、敵は、三人だッ!このまま、村の方まで追い込んで挟み撃ちにするぞッ!」
テオは、木の上を移動していた。
石を持ち遠く木の枝の所まで投げ、石が木の枝に通り過ぎる瞬間、石の位置にテオが現れた。テオは元いた位置から瞬間的に移動していた。
「茶髪の右足義足の奴は、殺すなよッ!」
クルーウ達に追いついた。
馬には、ロマンのマスターが乗っていた。さらに、他の馬に店の前で酔い潰れていた初老の男が乗っていた。
「あっちの、マスターだった奴がNo.2のプラネット・アースで、そしてあれが、店の前で酔い潰れてた奴が頭のフィクス・シリウスだよ」
指を差しながらゾネが言う。
「……思い出しだぞッ!フィクスッ!」
リベラに右手を治しってもらってるクルーウが叫ぶ。
「あの野郎ッ!ホープが言ってた奴だッ!」
「どうした?クルーウ知ってるのか?」
ゾネが質問する。
「知らんがッ!ホープの知り合いならッ!殺すッ!」
「どうやら、クルーウの悲しい過去らしいな」
意気揚々とリベラがゾネに話す。
「推測するに、ホープって奴に酷い事をされたらしいな」
「アイツらにッ!右足を失う気持ちを味わわせてやるッ!アイツらにッ!親友の味がどんな味か味わわせてやるッ!」
クルーウの叫び声が、夜の帷が満遍なく蔓延った。暗闇に流れていく。
フォールアウトのドラマおもろすぎッ!




