流星
レオン
テオの突拍子もない事にクルーウは、豆鉄砲を喰らった。しかし、そんな事は、気にせずクルーウより少し背の低いテオは、背伸びをし顔を近づけた。クルーウは、少し仰け反った。クルーウの眼に青い夜が広がっていく。
「ふふん。どうよ、私の眼は?片目だけで済まないね」
テオは、笑みを浮かべている。
「……淋しい色をしているね……」
クルーウは、思いついた言葉をそのまま流れ出した。
テオは、一刹那、真顔になり軽く俯いた。クルーウは、傷ついたのかと思いテオに対し謝ろとした瞬間。テオは、こちらに顔を上げて、ニヤニヤとした笑みを浮かべクルーウの眼を捉えた。
「私と同じ意見の奴を初めて見たよ。私もこの眼を見るたび淋しいと思うだよ」
テオは、さっきよりも嬉々とした態度でニヤニヤと笑みを浮かべながら、店のカウンターチェアのに勢いよく座った。テオの腰には、テオの腰より大きい鉈がついていた。(……鉈?)年季の入った渋い革で包まれていた。
カウンターチェアをポンポンと押しクルーウに座る事を促した。クルーウは、それに従いテオの隣に座った。カウンターチェアは、柔らかった。
いつの間にか、甘ったるい匂いを漂わせるハーブティーがカウンターの上に置かれていた。綺麗な模様があるティーカップに淹れてある。
「あれ、これクルーウが頼んだやつぅ?」
テオが左手の小指でハーブティーを指した。変な指の刺し方だなぁと思いながら。
「そう、さっき男に顔面をカウンターに押し付けらる前、頼んだやつ。変な指の刺し方だなぁ」
テオは、真剣に表情でハーブティーを見ていた。
「エールとか頼まないの?酒嫌いかい?」
エールとは、アリスランド王国の主流のビール。
「俺は、二十歳まで酒を飲まないって決めてるの」
「へぇ〜。変わってるね〜。というか二十歳以下なんだね。驚いた」
「別にいいだろうぅ〜」
クルーウは、ムッとした。
「まぁ、仲良くなろうよ。私がいつものを飲んでくれ!いつもの、二つッ!」
テオは、眼の前にいる、マスターらしき人にご機嫌なように声を上げて注文をし。さらに、カウンターチェアから降り、カウンターチェアを持ち上げてクルーウさらに急接近し、クルーウの真隣に座った。クルーウの鼻に爽やかな匂いが鼻に絡まっていく。
テオは、クルーウの前に置かれてる、ハーブティーを自分のところに移動させた。
「クルーウって、何歳なの?二十歳以下なの?旅してるの?私は、二十二だよ」
テオは、流れるようにクルーウに言葉を吐き出した。
「十七歳。旅してる。テオは、ここら辺に住んでるの?年上なんだね」
「うん。とういうか、なんで二十歳にならないと酒を飲めないの?酒に対する恐怖でもあるの?」
「酒って若いうちに飲むと脳がイカれるって言われて育ってきたからなぁ、だから、怖くて飲めないんだよ」
「へえ〜、そんな事、初めて聞いたよ。君の親?育てた人?変わってるんだねぇ」
テオと仲良くなる会話を続けていると、マスターらしき人が何かを砕いてできた黒い豆と水を、壺型の容器、陶器で作られた拾い底に注ぎ口が細長いティーポットらしい物に淹れていく、奥にある釜戸の上に置いた。スパイシーで微かに甘い匂いが店の中に漂っていく。
(なんか、嗅いだ事がある匂いだなぁ……)
クルーウがそう感じると、注ぎ口からモクモクと緩やかに湯気が上がっていく、さらに匂いが強まる。
マスターは、綺麗な模様があるティーカップをカウンターの下にある、二つ棚から出した。ティーポットを手に取り、ティーカップに注いでいく。黒い液体がダラダラと流れていく。
「コーヒーッ!」
クルーウは、この世界でコーヒーという物をまだ見たことがなかった。
「あれ、知ってるの?都市の方では、最近、コーヒーハウスなんてものもできたらしいよ」
テオは、少し驚いたという顔をした。
マスターは、何も言わずコーヒーを出していた。茶色の泡が満遍なく膜のように水面下を包んでおり、まるでターキッシュコーヒーのようだった。
クルーウは、それをジックリ見ていた。テオは、その光景を楽しそうにニヤニヤしながら見ていた。
「エェー、クルーウ、飲めないのー」
「はぁッ!飲めるしぃッ!」
クルーウは、思いっきりドバドバと口の中に放り込んだ。クルーウは、吐いた。
「オオゥオェッ!」
「アハハハハアハ!」
(なんでッ!こっちでもコーヒーを飲まなくちゃいけないんだよッ!こんなものをッ!眼を覚ましたないならッ!緑茶を飲めッ!緑茶をッ!健康管理ッ!)
テオは、まだ笑っている。
「強がったなー。可愛いやつめェー」
テオは、笑いながらクルーウの頭をゴシゴシと回した。クルーウは、不機嫌そうに顔を俯いた。
「それに初めてかい、飲み方が違うよ。まず、コーヒーを粉が沈んでから、上の泡が消えかかったら上だけを飲むだよ」
テオは、コーヒーと眉を下げ少し睨めっこし、意を決しコーヒーを柔らかい唇にあて、口の中に静かに流していく。
テオは、顔面に皺を寄せ、目の前のハーブティーを流星の如く流し込んだ。
「アハハハハアハ!」
クルーウは、口を大きく開けながら笑いテオを見た。
「コーヒー飲めじゃない。テオもッ!」
「五月蝿い」
テオは、眉を寄せ、クルーウを見たがすぐ笑った。
世界は、すっかり星達に囲まれており。星達は楽しく囁きあうように輝いていた。
テオとクルーウは、誰もいない淋しい静かな道を仲良く歩いていた。
「クルーウ。私は、本当はコーヒーが嫌いなの……」
テオは、分かりきっていたことを流星が消える寸前のような声で言ってきた。
「知ってるよ」
「クルーウ。私は、本当は青い眼がきらいなの……」
次にテオは、クルーウが分からなかったことを流星が消える寸前のような声で言ってきた。
「……嫌いなのにあんな見てきたの」
クルーウは、頭がモヤモヤとした感じになってきた。
「弟がいたんだよ。昔ね……」
テオは、淋しそうな声を吐き出しながら独りよがりを初めた。
「弟は、私の前で死んだんだ」
流星が消える寸前のような声で言った。
「どんな気持ちで死んだんだかわかんない。けれどねあの青い眼が頭から離れないんだ……」
テオの呼吸が荒くなっていく。
「……だからね。私は、苦しまなくちゃいけないんだ。い……生き延びてしまったんだから……」
ハアハアとテオは、呼吸を整える。
「……嫌いな事を率先してやんないと、生きている間に苦しまなくちゃいけないんだ……」
テオの話をクルーウは、黙って聴きテオの呼吸が整う寸前ぐらいに話初めた。
「俺の友人にすごい臆病でさらに卑怯な奴がいるんだけどね。そいつが言ってたんだけど死人には、耳がなければ口もないんだ。まぁ、少し理解はできる。だからねいくらテオが弟に対し贖罪を果たそうとしても、それは、結局テオの独りよがりだよ……」
テオは、豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
「この話をして、そんな事を言われたのは初めてだよ」
「テオが俺の眼を見た、お礼だよ気にすんな」
「……クルーウは、大事な人を失った事はあるの?……クルーウは、眼の前で誰か死ぬのを経験した事はあるの?」
クルーウとテオの間を気持ちいい夜風が吹いた。クルーウは、息を呑んだ。
「……俺は、生き延びるために親友を喰った」
「……っえ?」
「もちろん、罪悪感ってのがある。だが俺は、自由に生きる。生き延びたからな」
「……贖罪を果たそうとは?」
「俺は、自由だ」
クルーウの青い眼に星が光る。
クルーウは、独り暗い森の道を歩いている。土がザクザクと音を立て、クルーウは、手を前につき出し人差し指を燃やしている。テオと別れまた明日同じ酒場で会おうと約束した。クルーウの影からゾネが出てきた。
「あの眼帯がテオ。能力は、前にも言ったが最後に触ったところへ移動できる。能力名は、ブルースター。他にもあの酒場にいた奴らが全員シリウスだ。」
クルーウが静かに振り向く。
「俺には、シリウスを殺す道理がない。だから会って決めた」
ゾネは、影の世界からアッシェを持ち上げた。
「今は、リベラがいない。初めて会った時から理解してる。あいつは異常だ、絶対殺される」
両手が五月蝿く燃える。
「私から、二回勝てると思うのか」
「勝ち逃げってよくないよな」
アッシェが切り掛かる体制になる。
「シリウスを殺したら、キラの情報をあげる」
クルーウの耳元で甘ったるい声でリベラが囁いた。リベラの顔が見えない。
いつの間にかリベラがいた。クルーウは、全く気づかずにいた。冷や汗がダラダラと額を流れていく。
「わかった。全員殺す。アンの情報が絶対条件だ」
クルーウの両手が静かに鎮火した。
クルーウの喉仏に向けられた。白いナイフが静かに闇へと消えていった。
クルーウと別れた。テオは、独り酒場に戻った。
店の中では、マスターが砕けっちたカウンターのところを掃除していた。テオは、壊れてない綺麗なカウンターの場所に腰を落とした。顔をカウンターへ押し付けた。
「マスター、酒を一杯」
「……コーヒーは、いいのかい?」
砂利のようなガサガサとした声で聞いた。
「今日で苦しもうとするのやめようと思うの」
「ほほう……どうしてだい?あんなに頑固だったじゃないか?」
太陽の光を浴びたような声で嬉しそうに聞いた。
「私は、自由だ」
流星が消える寸前のような声で言った。
国の名前をアリスランド王国にしました。こっちの方が良い




