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生徒会室備品

「私、何か温かいの飲みますけど、中畑さん飲みます?」


「ありがとうございます。ココアが良いです」


 生徒会室の備品は中畑の予想を遥かに超えた充実ぶりだった。まず冷暖房に扇風機。冷蔵庫・電気ポット・電子レンジ・テレビ・パソコン。食器棚にはグラス・コップ・箸・フォーク。知らずに生徒会長になった中畑にはちょっと嬉しい特典だった。


 中畑は大した用がなくても昼休みや放課後に生徒会室に入り浸るようになって、呼ばなくても毎日顔を出してくる柏木と大体二人きりになり、自然にこうして柏木が中畑に飲み物を聞くようになった。特に中畑が気に入っているのは、家や学食で飲めないココアだった。


「はい、どうぞ」


「いただきます」


「今日、他の人達は来ないんですか?」


「今日やらなくちゃいけないのって、校内の見回りだけですよね? 庶務がやっても良いみたいだけど、一年生に一人で見回りさせるのって可哀想で、なんか嫌なんだよね」

 中畑はココアをチビチビ飲みながら話を続けた。

「部活でいじめみたいのがあった、トイレでタバコ吸ってたって時に、『お前、生徒会長にチクっただろ』ってなったら、生徒会やるの嫌になるでしょ。だったら、俺が一人で見回りした方が良いよ」


「でも私と二人の方が良くないですか? 女子トイレとか女子更衣室とか」


「そういえば男子更衣室とかどこにあるの? 俺この前の見回りで迷っちゃって、調べたふりしてプリントにマル付けちゃったんだけど」


「やっぱり私も行きます」


「なんか最近、柏木さんすごい仕事多くない? 最初は、副会長はやること少ないかもって言ってたのに」


「中畑さんが色々適当だし文字が汚いから、なんだかんだ私がやることになるんですよ!」


「ごめんなさい」

 と、怒られたと思った中畑が謝ったので、柏木は慌てて

「あ、大丈夫ですけど。嫌じゃないので」

 とフォローした。


「嫌じゃないなんてことある?」

 中畑は不思議そうな顔をして聞いた。


「なんか私、暇な副会長より忙しい副会長の方が楽しいみたいです」


「俺は暇な会長が良いなあ」


「そんな生徒会長、いないですよ。ほら、ココア飲んだのならそろそろ見回り行かないと。頑張りましょう」


「はーい」


「ちょっと、見回りに行くのにチェック用のプリントを忘れて出て行ってどうするんですか!」

 と言われた中畑はまた、

「ごめんなさい」

 と謝ったのだった。

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