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生徒会エピローグ・クリスマスイブ前夜祭

「お待たせー」


「おっせーよ」


 ある日の放課後、女子生徒六人が教室に集まっていた。


「ねえねえ、十二月二十三日にクリスマスイブ前夜祭なんてあるんだね?」

 暇つぶしに学校の予定表を見ていた女子が聞いた。


「あー、私も聞きたかったんだけどそれ何? イブイブ?」


「珍しいよね。なんか卒業した前の生徒会長が考えたみたいだよ」


「ウチら一年だからよく知らないけどなんか有名だよね前の生徒会長。男でしょ」


「その人に相談したおかげで付き合えたって先輩が言ってたわ」


「神じゃんそれ」


「学校でバレンタインをやれるようにしたんだよね」


「そのバレンタインに両想いになったカップルがこの十二月二十三日のクリスマス前夜祭まで初キス我慢して、屋上でキスしたらずっと好きでいられるんだって」

 と、噂が大好きな一人が言った。


「嘘くさー」


「でも、最初に初キスした二人はまだ付き合ってるらしいよ」


「誰それ?」


「だからその、前の生徒会長と今の生徒会長。キスするのバレちゃったんだって」


「それ怒られなかったの?」


「なんかー、今の生徒会長が職員室で屋上の開放頼んでる間に、前の生徒会長が職員室の前で号泣しちゃって。なにしろ初キスまで十ヶ月でしょ、もう気持ちが限界だったわけ」


「えーっ!」


「でも分かるわ、絶対にそうなるって」


「それでもう尋常じゃないって先生達が集まってきて職員室に連れ込まれちゃって。ワケわからないこと言ってるし、屋上開放したらこいつ屋上から飛び降りて自殺するんじゃないか、みたいになって。それで、本当のことを言いなさいってなって、他の生徒も廊下に集まってきて」


「そんでそんで」


「そしたら前の生徒会長が『屋上でキスさせて下さい! どうしても卒業まで我慢出来ないんです!』って職員室のど真ん中で泣きながら叫んだんだって」


「なにそれ!」

 全員が大笑いをした。


「いや、そんなの停学食らうでしょ」


「それがなんか、十ヶ月我慢してるの分かったら先生達の中にも感動しちゃった人がいて、結局そのまま屋上開放したらしいよ」


「うっそ!?」


「そんなんなる?」


「学校でキスしても良いの?」


「表向きは屋上開放しただけだし」


「てゆーか厳しい学校だったら、そもそもバレンタインの持ち込みなんて許さないしね」


「ええー、じゃあ今年も十二月二十三日に屋上行って夜景を見ながらキスする人がいるの?」


「いるでしょー」


「いやバレンタインからチューなしでしょ? そんなの全員、別れてるんじゃない?」


「それリコの願望ー」


「そもそも、性欲マックスの高校生が十ヶ月も我慢出来るわけないだろ」


「夢がないこと言うなよ」


「それが、今年も一組だけまだ我慢してるんだって。毎年一組だけ我慢出来る運命なわけよ。その年に最も純愛をしている二人しか見れない幻の夜景なの。部活の先輩が言ってた」


「ほんとかよ」


「はあー……。私タカくんにやっぱチョコ渡すわ。それで十ヶ月我慢して夜景見るわ」


「なんで告白成功するの前提なんだよ」


「それくらいの覚悟ってこと! もし付き合ってもらえたら十ヶ月我慢する」


「あっちからキスを迫ってきたら?」


「それでも我慢する」


「私は我慢出来ない方に賭けるわ」

「私も」

「私も」

「私もー」

「私も賭ける」


「言ったなお前ら! 私絶対にやるからな」


「キスしないなら別れるよって言われるでしょ」


「タカくんそんな人じゃないから」


「いやあいつ絶対ムッツリだよね」


「夜の体力ヤバそうだよね」


「それは否定出来ないけど」


「あはは」


「てか生徒会入ろうかなー、もうすぐ選挙でしょ? そうやって先生がちゃんと動いてくれたり譲歩してくれるならやってみたい。なんかびっくりしたわ」


「私も入りたい。バレンタインの手伝いだけでも良いんでしょ? 楽しそうだよね。普段はどんなことしてるんだろ」


「冷やかし大歓迎って書いてあったし、今行ってみれば良いじゃん」


「私もイブ前夜祭の屋上キスの話がマジなのか聞きたい」


「それ聞くと会長さんが顔を真っ赤にして謝るらしいよ」


「そんなん絶対聞くわ。ヨダレ出そう」


「大勢でいきなり行っても良いのかな」


「入り口で聞いてみれば?」


「じゃあ行ってみよー」




 ――生徒会室は、今日も笑い声でいっぱい。

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