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図書室・バレンタイン前勉強会

「会長さんと副会長さんは、好きな人いるんですか?」


 女子のその言葉に、図書室が一瞬だけ静かになった。中畑は、

「いや、ごめんなさい。今月の勉強会中はバレンタインや恋愛の話は禁止にしてるんですよ。ほら、モテる人なんてたくさんチョコもらうわけだから。勉強会の人同士であげる相手が同じって分かったりしたら、バレンタイン後の勉強会が気まずくなるじゃないですか。

 それに、恋の話ばかりになると男子が勉強会に来にくくなりそうだし」

 と、丁寧に説明した。


「チカってばもー、プリントに書いてあったでしょ!」

 質問した女子の友人らしき子が、非難した。


「忘れてました! ごめんなさい!」

 チカと呼ばれた女子が恥ずかしそうに謝る。


「帰りに仲良しになった人同士でお互い同意の上で聞いたりするのは構わないですからね。勉強会が終わるまで、あと三十分だけ頑張りましょう」


「分かりました。ありがとうございます」



 

「いやー、図書室に比べると生徒会室は良いですね」

 ホットココアを飲みながら、中畑はつぶやいた。


「今日もなんとか終わりましたね」

 柏木も、連日のバレンタインの準備に勉強会ときて、さすがに疲れた顔をしている。


「ちょっと空気が重いんだよな」


「まあ、よく知らない人同士ですからね」


「……恋愛の話を完全に禁止にしたのってちょっと神経質かな?」


「あの感じだと、禁止にしてなかったらみんな気が散ると思いますよ。普通の勉強会と違って、バレンタインに興味がある人がほとんどだろうし」


「それに、バレンタイン後の勉強会は失恋した人も来るわけだし、禁止にしないと気まずいよね」


「そうですよ。生徒会、全員一致の意見だったじゃないですか。誰かに文句でも言われたんですか?」


「いや、なんだか気になっちゃうんだよね。たくさんの人が失恋することになるけど、バレンタインやっちゃって良いのかなあとか」


「『俺はこれで良いと思うんだ!』ってタイプの人だって昔言ってませんでした?」


「そうなんだけど。寸前になると、どうもね」


「弱気だなあ。大丈夫、絶対に成功しますよ」


「強気だなあ。失敗しても怒られるのは俺だと思って」

 中畑はそう言い、二人で笑った。

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