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体育祭

「今年の体育祭は最終種目が『教師・生徒会対抗リレー』で、生徒会が勝てばクラス毎に打ち上げのお菓子や花火がもらえるということでしたが、残念ながら負けてしまいました。まずは生徒会長にインタビューをしてみたいと思います。

 ――放送部の渡辺です」


「はあ……はあ……。すみません、負けました」

 中畑は息を整えながら答えた。


「いやー残念でしたね。最後に生徒会長で逆転されてしまいましたが、どんなお気持ちですか」


「違うんですよ。僕は単純に早い順に選んだ方が良いって言ったんですよ。そしたら女子が、生徒会リレーなんだから会長も走らないとって言って。戦力外の僕を無理矢理、引っ張り出したんですよ。僕は全く悪くないですよ」


「生徒会は女子の方が運動が出来るんですね」


「人数自体も女子の方が数倍ですけど、皆さん元気ですね。練習でも僕が一番体力がなくて、一番愚痴が多かったです」

 中畑がそう言うと、生徒の笑い声が上がった。


「今年の生徒会は仲良しで面白そうですね。ありがとうございました」


「ありがとうございました。

 ある先生がひどく酔っぱらって、校長先生が警察に呼び出されてしまった。……という情報を握っているので、打ち上げグッズはちゃんともらいますよ。安心して下さい」


「グッズ獲得宣言が出ました! 次は見事勝利した先生チームにお話を伺ってみましょう。先生方はどう出るのでしょうか」




「生徒会まで花火とお菓子がもらえるなんて、今日はなんだか得しましたね」

 生徒会室の片付けも終わって、さてそろそろ帰ろうという頃には、柏木はその日一日に満足していた。


「あれくらいの糖分は当然だ、俺は疲れたよ。むしろケーキくらいよこせって話だ」

 運動が好きじゃない中畑は、柏木と対照的に不機嫌だった。


「ケーキ食べたいですね」


「チョコレートケーキが食べたいよ。けど、この辺りはどこも高いからなあ」


「体育祭だし、走って負けた方がおごりとかどうですか?」

 生徒会室の窓から校庭を見ながら、柏木が提案した。


「今日はそういう罰ゲーム的な感じじゃなくて、せっかくだから二人平等に打ち上げがしたいなあ。二人三脚で、無事に高速で一周出来たら帰りにファミレスでケーキを食べられるとか」


「それ良いですね、やりましょうよ」

 運動が好きな柏木は気軽に話に乗ったが、柏木は中畑の運動音痴を、まだ見くびっていた。


 思い付きで始めた二人三脚に小一時間かかり、先生達は職員室から二人だけの体育祭を不思議そうに見ていた。




 ファミレスに着いた頃にはもう、どちらもくたくたで、甘いケーキを食べながら二人は思わず苦笑いをした。

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