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【書籍化】空想力学少女とぼくの中二病 ~転校初日にキスした美少女は、アオハル大好きな人魚姫でした~【発売中】  作者: 雪車町地蔵
第七章 龍と英雄の物語

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終章 空想力学少女と青い海

 ――あの夏から、どれぐらい時間が経っただろうか?


 蝉の声がうるさい夏。

 とても暑い夏のこと。

 辰ヶ海島の一角で、ひとりの男が、幼い子どもに語りかけていた。


「こんな話をしたら、君は笑うだろうか」

「どんな話?」

「昔話さ。ずっと昔、この島の海がね、青くないときがあったのさ」

「うっそだー。お父さん、嘘ついてるー!」


 君はやはり、そうやって笑うだろう。

 けれど、愛しい子よ。

 これは、証明だから。


「本当さ。だからぼくらは、海が青いことを忘れないために。同じように青い海が大好きだったぼくらの恩人を想って、君に名前をつけたんだ」


 大切な君に。

 ぼくらの空想力学、願いの結晶に。

 〝青海(あおみ)〟という、名前を贈ったんだ。


「…………」


 とある幼馴染み同士が結婚する未来は、どんな希望よりもまばゆくやってきて。

 そして、それよりも輝く子どもが、ここに生まれた。


 それは昨日のことのようで。

 あるいは遠い昔のことのようでいて。


「真一は知らないでしょ? あのときあたし、乙姫ちゃんと、きちんとお別れをしたのよ? あんたのことを頼むって、危なっかしいからって、額に口づけされてさ」


 なんてことを妻は口にするが、別に疑いもしない。

 だって、ほら。


 しゃらら、しゃららら……


 聞こえてくる潮騒の音色は、まるで人魚姫の歌声のように。

 ぼくの大切な友人の、笑い声のように。

 こうやって、いつでも。


 ぼくらを見守り、祝福してくれているのだから。


「さあ、青海。楽しいことをしよう」

「たのしいこと?」

「そうだ、この夏の始まりに、すてきなことを。さあ――」




 ――青春(アオハル)っぽいこと、しようぜ?





















これにて完結です。

お気に召しましたら、ぜひ書籍版もご購入戴ければ幸いです。

特設サイトはこちら!

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