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裏路地占い師の探し物 ~勇者様のせいで占い師を続けられなかったんだ。~  作者: 61
第3章:遺跡になんて行きたくなかったんだ。
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探検

第3章 遺跡になんて行きたくなかったんだ。

--探検--


あらすじ:卵を手に入れて、二度寝した。

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目を覚ますと日は高く昇っていた。


大広間のガラスの無い窓から太陽の光が降り注いでいて、ボクは暑さに寝汗でびっしょりになった体に風の魔法をかけてやると水を飲んだ。


朝には賑やかだったチロルの声が消えて、虫の声が聞こえている。きっとお腹がいっぱいになったチロル達は日差しを避けて日影で涼んでいるんだろう。


(起きたか。相棒。)


ゆっくり眠れたからか、頭にひびくジルの声がはっきりと聞こえる。


(おはよう、じゃないね。)


(おそようだな。)


二度寝する前に木片を落として整えた踊り場は、体を伸ばして眠れるようになり少し寝心地がくなっていた。張り出した屋根が雨を防いでくれていたし、枯れ草を敷いたり、ハシゴをかけて昇り降りをしやすくしたら良い寝床になるだろう。


(村の様子はどうだった?)


荒れた畑には食べられそうな物が成っていたし、チロルも捕れるかもしれない。壺と言う調理器具も見つけたしね。食べ物の心配はしなくて良くなった。だからボクの関心は魔獣や危険な動物がいるかどうかという事になる。


チロルがあれだけ繁殖しているのだから危険は少ないとは思うのだけど。


(静かなモンだぜ。人間の居ない不気味な廃村ってこんなモンなのかな。)


ジルには、人工物の中で人の声も足音もせず、静かに風とチロルの騒めきだけが聞こえてくる事が怖かったみたいだ。たとえ話で、人の居ない真夜中の教会みたいに背筋がゾクゾクすると言われたけどピンとこない。教会は教会じゃないのかな。


ジルの感想を聞きながら顔を洗って浄化の魔法で体中をきれいにした。寝汗がきれいさっぱり飛んで気持ちが良い。大広間に降りてキレイに洗った壺でゆで卵を作って酸っぱいドンヤキをかじると、魔法の塩をかけたゆで卵のこってりとした味を酸味が流してくれる。


今度また採ってこよう。


(んじゃ、そろそろ行こうか。)


ジルを片手に立ち上がってボクは提案する。


(何から、するつもりだ?)


(とりあえず、村の探索と、寝床に使えそうな物を探すかな。)


体を伸ばして寝る事ができても硬い石でできた床はやっぱり体が痛くなるし、陽が当たらないように影を作れる物も欲しい。踊り場より安全な場所が有ればそこに移っても良いよね。


(ん、狼煙(のろし)を上げておくって手もあるが。)


アンクス様に見えるように焚火の煙で合図を送っておけば、合流できる可能性も高くなるし手っ取り早いとジルは狼煙の作り方を説明してくれた。


(ん~。もう少し周りを見てからにしようよ。)


普通の森で遭難したのならジルの言う通りにしていただろう。だけど、ここは魔王の森でボクを運べるくらいの空を飛ぶ魔獣も住んでいる。悩んだけれど、アンクス様も大雑把な位置は分かっているハズだし、勇者の剣があるから必ずここまで来てくれるだろう。


狼煙をあげるのは、せめて空飛ぶ魔獣から逃げる事ができる場所を見つけてからにしようね。


(それが無難かもな。)


結界の上の方に穴が開いていて入って来るかもしれないし、他にも何が起きるか分からない。それを胸に刻んでジルを片手に青い屋根の集会所を出た。


村は山の高台という位置にあり、周りを囲む石垣と結界のすぐそばまで魔王の森に飲み込まれていた。おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に住めないような小さな家が数十戸。ひとつの家に4人の家族が住んでいたとして300人に満たないだろう。


でも、それにしては畑が小さい。王宮では魔王の森に飲まれたと聞いたから、この村に人が居た頃には魔王の森も村の近く無かったんだよね。つまり、外にも畑が有ったんだと思う。


(どの家もボロボロだね。)


100年以上放置された家は雨が入り嵐に荒らされていた。屋根は崩れ、石でできた壁だけが辛うじて残っているような状態だ。中にあった家具は壊れて使い物にならない。


ベッドが残っていれば良かったんだけど、木でさえ腐っているのだから、中に敷かれている藁や綿はグズグズに崩れて無くなってしまっている。


(金属もダメだな。石以外に使える物は無いのかよ。)


外に置いてあったクワはともかく、家の中に置いてあったナイフに火箸も真っ赤っかに錆びている。人間が居なくなって油を差して手入れする人も居なかったんだからしょうがない。形が残っているだけでもすごいんじゃないかな。


石臼(いしうす)は残っているけど、肝心の取っ手が残っていないので回すことができない。小川の土手は崩れ、水車小屋に残った太い木の軸にはキノコが生えていた。


(お手上げだね。)


人が使っていた物で使えそうな物は壺くらいかな。これだって家に有った物は割れてしまっているから、食糧庫で見つけられたのが奇跡だったのかもしれない。


(まだ、チロル達の巣が見つかって無いぜ。あれだけの数がいるんだから、どこかに雨の入らない場所が有るはずだ。)


(チロルの巣が有っても入らないよ。)


ジルは諦め悪く言うけれど、数十羽のチロルに囲まれたくないからボクとしては巣が見つから無い方が嬉しい。怪我は治癒の魔法を使えば何とかなるけれど、気絶をしたら助けてくれる人がいないんだ。


(壺だってチロルの巣で見つけたんだ。何か有るかもしれないだろ?)


(どうせフンまみれで使えないよ。)


チロルが住んでいるなら雨風をしのげる場所で道具も残りやすいのかもしれない。


(ヤツ等がメシを食っている間に入り込めば大丈夫だ。)


(いやいやいや、入らないからね。)


(卵もあるぞ。)


(うっ…。)


ボクは言葉を詰まらせてしまう。畑の痩せ細った野菜だけで過ごすのは嫌だものね。だけどチロルにもみくちゃにされるのも嫌なんだよ。


(まぁ、巣が見つかってからだな。100羽も居る巣だったら、さすがにオレも無理にとは言わないさ。)


いや、10羽くらいでもう勘弁してほしいんだけど。


涙目でジルを睨む。目がある場所なんて分からないけど、何となくジルが(ひる)んでいるような気がする。気がするだけだけどね。


虫の音と風の声だけがする静かな村をぐるっと回って見てきた。結果はどこも同じで、ボロボロになった家しか見つける事ができなかった。チロルの巣も見つけられなかった。


そう、最後に残された村のいちばん奥、一番山に近い場所以外は。


最後に残ったのは教会。


屋根が残り尖塔が立っている。小さな教会だった。



チロルの巣もあそこにあるのだろうか。



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次回:神像の無い『教会』



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