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溺愛王子の許嫁  作者: まくのゆうき


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文通

お茶会の翌日。


「アリシア嬢とバラ園を見て回ったんだよな。どうだったんだよ」


お茶会の際、席から二人を見送ったアレクは聞いた。


「何って、庭を歩きながら庭を案内しながらバラの品種の説明をしたくだいだが……。そっちは何かあったのか?」


アレクは二人が席を立った後の話をフランツに伝えた。


「まあ、そうですね。おそらく外見の情報がないせいか、マリーはロビンソンがフランツ様なんじゃないかと感じたようで……」

「……。マリー嬢は……よく見ているのだな。だが、さすがに髪と目の色が違うと知ればその懸念はなくなるだろう」

「そうですね。きっとマリーはアリシア嬢にロビンソンのことを聞くでしょうから、そこで疑いは晴れるかもしれませんね。念のため余計なことは言わないよう釘を刺してはおきましたが」

「そうか。釘をさしたのか。……それは認めたも同義だと思うが、彼女は賢い人だから様子を見ることにするか」


マリーに甘い対応をするアレクに、どうしたものかと考えながら、フランツは執務を続けていた。



「それはそうと、順調に進んでいるのですか?」


アレクが思い出したかのように言った。


「こちらの準備は進めている。最終的に陛下から辺境伯に話が行くのは春になるだろうな」

「春ですか。彼女はまだ二年生ですよね?私とマリーの婚約とはわけが違いますよ?」

「わかっている……。だからこそだ」


フランツが婚約を表に出したい理由は単なる嫉妬だけではなかった。

アリシアが課題として提出した文章とともに提出した資料が王都の研究施設の目にとまったという情報が入ってきたためだ。

このまま婚約を公にしなければ、彼女を研究所に取られる可能性が出てきた。

研究所に一度入ってしまったら、手をつけた研究が終わるまで退職できないことがほとんどだ。

一般の研究者であれば、休職しながら仕事を続けるという選択肢もあるが、アリシアには王妃教育を受けてもらわなければならない。

その後は、研究者に戻ることなく、この国を支えてもらう必要がある。

それにいつ終わるか分からない研究が終わるまで結婚を待つことはできない。

この可能性がある以上、彼女が進路を決める前までに正式に婚約を成立させ、研究所入りを阻止する必要がある。

フランツはこの件をアレクに説明していなかった。

研究施設を総括しているのが第一王子のため、迂闊に手を出せない案件のためだ。


「とりあえず、アリシア嬢と親交を深めておいてはいかがですか?」


アレクの声に我に返ったフランツは、


「そうだな」


と答えると、彼女宛ての手紙を書くために筆を取ったのだった。



アリシアのもとにフランツからの手紙が届くようになったのは、お茶会から数日たった頃からだった。

招待状ではなく私的な手紙で、返事をせかされるようなものではなかったが、返事を出さないわけにはいかない。

手紙の中には招待ではないものの、お誘いととれる内容も含まれており、かなり困惑していた。

やり取りは一週間に一往復程度のペースとなっていた。


「なんだか大変なことになってるわね……」


授業を終えて一緒に寄宿舎に戻ったマリーが手紙を受け取るアリシアを見てつぶやいた。


「興味深い内容だし、いただいて読むのが大変ということはないのだけれど、こちらから書ける内容が少ないからお返事に困ってしまうわ」

「そう……」


夜会でのフランツとアリシアの様子を見て、二人を積極的に近づけてきたマリーだったが、アリシアの様子を見て気持ちが揺らいでいた。


「ねぇ、参考までに教えられる範囲でいいから、内容教えてもらってもいいかしら?」

「わかったわ。食事をしながらお話しましょう」


夕食の約束をしてから、二人は受付の前から移動して部屋に戻っていった。



「お茶会の後から、ご自身にあったことを報告してくださっているのよ……」


アリシアは食堂で合流したマリーに手紙の内容について説明した。

フランツが送ってきている内容の大半は一週間の自身の行動、公務のことなどが多かった。

詳しい内容は書かれていないが、この領地にはおいしい料理があった、騎士団の練習に参加している、お茶会や夜会に行く予定なども書かれている。


「夜会やお茶会は予定が書かれているのよ。招待状が届いているものもあるのだけれど、行かなければならないというものでもないと思うから、私は欠席しますとか、ご招待いただいていませんって返しているのだけれど……」

「よっぽどアリシアのこと気に入ったのね」

「え……?」

「そうじゃなかったら、わざわざ予定なんて書いてこないわよ。アリシアが参加するって返したら、自ら迎えに来るんじゃない?」

「……それはさすがにないんじゃないかしら?」


マリーの話を聞きながら、あまり現実味を感じない話だと、アリシアは思った。

手紙の相手はこの国の第二王子である。

夜会での出来事は事故に近いものだったし、お茶会はお詫びという私的なものだった。

仮にこれから先も手紙でのやり取りが続くとしても、気軽に会って話ができるような相手ではない。


「じゃあ、アリシアも自分の外出予定を書いてみたら?あとはこういうところに行ってみたいとか。もしかしたら、アリシアの予定を知りたいから自分の予定を書いてきているのかもしれないわ」

「ええ、それなら埋められそうだわ。行ったことがないところはたくさんあるもの」


アリシアはマリーの話を参考に手紙の内容を考えることにしたのだった。

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