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溺愛王子の許嫁  作者: まくのゆうき


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王都上級学校受験

十五歳の年、初等学校の無料期間最終年を迎えたアリシアは、希望していたのに取りそびれてしまった商学科目の外交を除き、貴族科目と進学科目を中心に授業を選択していた。

幸いにも貴族科目も進学科目も受験には大きく関係しているようで、王都上級学校でも貴族コースを選択予定のアリシアにとっては推薦に優位に働くことになった。

この長い期間、さまざまな教科を選択してきたアリシアにとって、進学科目は各授業の重要部分の復習を行う授業となっていた。

偏った知識では王都上級学校に入ることはできないのだ。

このクラスで苦しんでいたのは体を動かすことが中心となる、騎士科目や開拓科目を多く選択している人たちだった。

とにかく多くの知識を必要とする進学クラスだが、この授業では不明点は授業後の質問以外受け付けてもらえない。

なぜなら、他の受験生の足を引っ張ることになるからだ。

このクラスを取っている生徒は将来のことを考えている人が多いのか、授業にもまじめに取り組む人が多かった。

そのため、授業が終わると先生は教室を出る前に取り囲まれてなかなか大変なようだった。

他の授業の時はすぐに教室から逃げ出していたアリシアも、この授業の時だけは早く教室に行き、ゆっくりと教室から退出することができた。

これが本来の授業のあるべき姿なのだろうが、無料期間が多く設けられているせいもあって、なんとなく来ている人が多い学校では、だらけてしまう人が多いのは仕方がないだろう。

識字率をはじめとした基礎知識を最低水準に引き上げることを目的としたことの弊害でもある。



他の授業はというと、さすがに貴族科目は一番上のクラスのため、レベルの低いものはいなかった。

授業内容は高度なものだったが、もともとここまで残っている人たちは、今後、職としてこれらのことができなければならないと考えている人たちばかりのため、基本的なことは完璧にできる貴族ばかりが集まった形になった。

一部、王都で侍女や執務として仕事を探そうとしている平民も残っていたが、彼らは相当な努力をしてこの場に到達していた。

授業は先生の指導のもと、ほぼ毎回抜き打ちテストのような状態で粛々と進められた。

そして、外交の授業は二年目から選択可能な科目ではあるが、内容が大変難しいものだった。

四年目から外国語の授業を選択していたため、アリシアには理解することができたが、おそらくその知識がなかったら、用語を理解するのが困難だっただろう。

このクラスでは数ヶ月で多くの生徒がリタイアして教室から姿を消していった。

難易度の高い授業ばかりの年だったが、アリシアはこれらの授業も順調にこなしていった。



そうして迎えた受験当日の冬。

初等学校の一番大きな教室で試験は行われた。

いくら学校からの推薦があっても、王都上級学校が行っている共通試験に合格しなくては入学が認められない。

共通試験は試験当日、王都に足を運べない人たちのために複数の辺境領でも実施される。

試験問題は生徒たちに知られることなく、あらかじめ問題が学校に届けられ、同じ時間に一斉に試験が行われるのだ。

実は各辺境の学校の教職員は時期が近くなると共通試験の対応に追われることになる。

なお、中央の王都以外に辺境領が選ばれているのは外国の受験生が、国内の一番近い領土で受験できるよう配慮したことがきっかけだが、今では王都よりも辺境領の方が近い場所に住んでいる者も多く受験しにくる。

そのため、街は宿を中心に若者が多く集まって、さらに活気がよくなる。

受験前日の夜は静かなものだが、試験が終わる昼過ぎになると、受験生たちが街に繰り出してくるのだ。

森の辺境領は他の辺境領に比べて海外と接している部分が少ないため、領土内の受験生がほとんどで、海外からの受験生は少なめとされている。

つまり、この領内で最終学年を終えたもの、間もなく終える者が大半である。

この年も例外なく、受験生は領内の人間ばかりだった。


教室内の居心地の悪さは思ったほどではなかった。

試験中は私語ができないだけではなく、試験前後の休憩でも、そのほとんどが次の教科に向けて復習をしている人ばかりで、とても静かだったのだ。

いつもだったら教室に長くいると嫌な言葉を耳にするが、そのようなことがなかっただけでも心を乱されることが少なかった。

ただ、同じ空間にやはり数人は受験している人がいたので、多少気になってしまっていたところはある。

それでもアリシアは日頃の勉強の成果をいかんなく発揮し、問題を順調に解いていった。

そして、最終科目の試験が終わり、答案の提出と結果発表に関する説明を受けて、試験監督から解散が宣言されると、アリシアは真っ先に教室を飛び出していった。

私語が始まる前に、一刻も早く、その場から立ち去りたかったのだ。



王都上級学校の結果発表は王都上級学校内での掲示と郵送で行われる。

不合格者にはその旨を記載した通知が、合格者には入学手続きの書類を含めた通知が本人宛に届くのだ。

これは遠方で結果を見に来ることができない受験生に対する配慮でもあるが、直接個人に通知した方が間違いがないという学校側の都合もある。

王都上級学校の受験生はかなりの数いるが、合格するのはわずか数十人と、かなりの狭き門である。

合格者の通知を先に作成して、残りに不合格の通知を送る仕組みのため、合格した者の方が書類を早く受け取ることになる。



さすがに緊張していたアリシアは試験が終わった後、疲れを感じてその日はまっすぐに家に帰っていた。

帰宅の挨拶を家族に済ませると、まっすぐ自室に戻り、ベッドに横になった。

後は結果を待つだけだ。

仰向けになって目を閉じると、アリシアはそのまま意識を手放し、夕食のために起こされるまで目を覚まさなかった。

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