前世思い出しました。
《これにて第125期生入学式を終了致します。新入生の皆様は各教室へ移動してください。》
その放送と共に続々と人が出入り口へと向かって歩いていく。
私もこの会場から出ようと歩き出したが────────、
急な激しい頭痛で目の前が真っ暗になった。
「ん…」
次に目が覚めたのは白いベッドだった。
そして私は全てを思い出していた。前世の記憶とか。
ここは間違いなく『ヴァンパイアと私の危険な恋物語』っていう乙女ゲームの世界。だけど、私はヒロインでも悪役令嬢でもない留学中の隣国の姫だ。…ゲームとはなんの関係もない姫。
白い天井を見つめながらそんなことを思っていると、カーテンの近くから声が聞こえた。
「あら、目が覚めた?起き上がれる?」
柔らかい声がする方向に視線を向けると、そこには色気大量発生中の美女がいた。たぶん、保健室の先生だとおもう。
「…は、はい。」
「貴女は隣国のルナリス姫だったわよね。ここに来るなんて珍しいから気になってたのよ」
体を起こすのを手伝って貰いながら、先生の話に耳を傾ける。
珍しいとはどういうことだろう。
「そうなのですか?こちらの、平民も貴族も平等に通える学校というのが興味深かったので父王に頼み留学させてもらったのですけど…。」
「へぇ。ここはね王族も通う王立学園だけど例年わざわざ近隣国の者が来るってわけでもないの。だからここに来るって事は王子狙いなのかなーって思ったんだけど違ったのね」
あぁそういうことか。
「ち、違いますわ。たしかに私は婚約者がいませんけれど…」
「それは意外ね。あんな大国の第一王女なのに婚約者がいないなんて。」
「い、意外です「せんせー廊下で倒れてるやついたんだけどー!」」
「はーい!今行くわー!…ごめんなさいね、もっと話たいのだけど行かなくちゃ」
「どうぞお構いなく…」
一言告げると色気を辺りに振りまきながら優雅に先生は去っていった。私でもドキッとしたのだから男子生徒はあの先生にドキドキしっぱなしなのではないだろうか。
保健室の先生について思い耽っていると急にカーテンが開けられた。
「んー君もサボり?
てかかわいいね!名前教えてー!そして俺とあそぼー」
そこには貴方の方が可愛いですと言いたくなるくらいの満面笑顔の美少年がいた。どっかで見たことある様な…
その美少年はずいっと距離をつめてベットに上がってきた。いやいや大胆すぎるでしょ。
「あ、あの私…、教室へ戻らないと…いけなくて…」
「えーいいじゃん!俺とイイコトしよー」
断ろうとするけど、この子意外と力強くて握られた手が動かせない…!!
抵抗もままならない内に組み敷きられた!やばっ
「やめろ。その女性は流石に駄目だ。」
「……シュネール。止めないでくんないかな?いい所だったのに。」
突然現れたシュネールという男性が助けてくれた?のかな。そのおかげで美少年君は退いてくれたし。でも、留学中に純潔を奪われずにすんでよかった。大変なことになってたからね。
「その御方はあのエルアージュ王国のルナリス姫だぞ。その行為は大国を敵に回すことになるんだ。気を付けるように」
「え、そうだったんだーごめんねルナリス姫ー」
「い、いいえ。私は何もされておりません故大丈夫です。」
この国は大陸一の我が国に比べてたしかに小さいから慎重になっているのかしら。それでも充分な面積と産物持ってるけどね。
「私は我がアルタリア王国魔術団団長の息子、シュネール・オクリーです。2年です。以後お見知りおきを」
「俺はねー騎士団長の息子でメーア・ドラコーンだよー!2年!よろしくねお姫様!」
「ご、ご丁寧にありがとうございます。…私はエルアージュ王国第一王女ルナリス・エルアージュです。この国や学園のことをまだわからぬ故御教授宜しくお願いします。」
うわ、まさかの攻略対象キャラだったー!!!
どっちも美形だなあとは思ってたけど!こんなすぐに会うとは思わなくて思い出せなかったよ!
うぅ…もうホームルームも終わって教室には誰もいないだろうし、寮に帰ろ。
ルナリスちゃんはとても可愛いので色んな人の心を射止めちゃいます(笑)
(`・ω-)▄︻┻┳═一♡(*´□`*)




