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超魔法少女グレンオー  作者: 窓井来足
序章
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超魔法少女グレンオー 序章

とにかく特撮とアニメのパロディが多い作品の序章です。

何故か主題歌の歌詞まで登場していますが。


作品全体的にそういうノリの上に、メタ的な表現もかなり多いので。

まあ、そういうのが好きな人はよろしくお願いします。


 我々の住んでいるこの世界とは別の世界、いわゆる異世界の一つ〈虹華夢幻郷(こうかむげんきよう)〉。

 その治安を乱し、人々を不安と恐怖の底へと陥れようとする、怪人・〈ネガティヴハート)。


 そして。

 そんな無法なヤツらに挑む勇敢な者たちもまた虹華夢幻郷には存在した。


 日夜、世界の平和の為に闘う彼女たちは、人々の間で伝説の戦士として噂されていた。

 そう、〈超魔法少女〉という名の伝説の戦士として――!!

 

「『超魔法少女!グレンオー』――ッ!!」(タイトルコール)


 ☆ ☆ ☆


 さて、今日も虹華夢幻郷には懲りずに一人の怪人・ネガティヴハートが出現していた。

 その割れたカップや皿、茶碗や壺などを組み合わせて、鎧のようなものに仕立て直したかのような容姿から、おそらく彼が何か割れ物に関係する怪人だということはわかる。


 現段階ではまだそれ以上のこと――例えば、この怪人がどういう原理で出現するのかや、何故割れた陶磁器をモチーフにしているのかなど――は不明だが、この場面はあくまで怪人が出現するという世界観を示すための冒頭のシーンである。

「とりあえずこの世界には怪人がいます」程度に理解してくれれば構わない。


 で、その怪人は。


「何で割れたんだ! 気に入っていたのに……チクショー! こうなったら全てブチこわしてやるぅ……」


 などと呟きながら、焼き物屋を襲撃しようとし、店に向かって手にした剣を構えながら接近していた。


 容姿が容姿だけに、行動もそこから連想できるようなものな訳だが。

 これはもう、こういう作品の怪人にはよくあるパターンである。気にしてはならない。


 もし、どうしても「それがよくあるパターンなのか気になる」という方がいるのならば、怪人なんかが登場する子ども向け番組を実際に視聴して確かめていただきたい。

 特に「同じようなコスチュームを身につけた数人組のヒーローが活躍するタイプの作品」ではそういうのが定番のパターンなので、その辺りの作品のDVDなどを入手して確認するとよくわかっていただけると思う。


 さあ、今すぐこの小説を読むのをやめて、特撮作品を借りるなり、買うなりして、見ようではないか――っと。

 これでは、この先が全く読んでもらえなくなるので話を戻すと。


 この場面で大事だったのは、そう。

 怪人は己の鬱憤を晴らすこことと、人々の心を悲しみの色に染めるために、今日も破壊活動をしようとしていたということだ。


 そして。

 彼が手にした剣を振り下ろし、店頭に飾ってあった陶器製の狸の置物を破壊しようとした、その時だった。


「そこまでだッ!」


 という声が聞こえたのは。


 その声は明るく元気な女の子の、少なくとも、女の子に思える感じの声だった。

 何故はっきり「女の子の声」と断言できないかといえば、彼女(?)は、あるいはその左右にいる二人も含めた彼女達(?)三人は、顔をすっぽり覆うフルフェイスのヘルメットを被っており、胸のところもしっかりとした鎧で覆われていたからである。


 まあ、強いていうなら腰回りが女性的ではあるが……それだけで「女の子」と断言するのはちょっと気が引けるので一応、断言はしないでいるのだ。


 さて、この声を受けて、怪人は。

 何故か剣を狸の置物寸前でぴたりと停止させた。


 そこまで剣を振り下ろしていると「止めろといわれたからって気にしないで壊しちゃえばいいのに」とか思ってしまいがちだが。

 これもまた、こういう作品の怪人にはよくあるパターンだから剣を止めたのである。気にしてはならない。


 ついでに、このシーンを借りて断っておくと。

 この作品では今後、こういう「何故かこうした」だの「どういう訳かこうなった」だのといった表現が多々出てくるが、それらは多くの場合「お約束」だからそうなっているのである。

 以降も毎回「お約束である」「気にしてはいけない」などと断りを入れるとくどくなるので控えめにしておくが、特に注意が書いていない場合もそう思っていただきたい。


 またしても話題が逸れたが……話を戻すと。

 声を聞いて剣を止めた怪人は。その声の主達に向かって。


「貴様らが、噂の超魔法少女か!?」


 と訊ねたのだった。

 それに対して、登場した三人のうち、まず怪人に待ったをかけた人物が、


「その通り! あたしたちが噂の超魔法少女!」


 と返答。

 とりあえず、これにより彼女達は女性だと判明した。


 いや、まだ「男の()」とか、そういう疑惑もあるけれど。そこまで考えるときりがないのでもう「現われたのは少女」ということにしておこう。


 大体、いつまでも「彼女」と書いた後に括弧とクエスチョンマークを入れていると「文字数稼ぎをしている」と誤解されるかもしれないのだ。この辺りは別に引っ張る必要性もないので早めに決めておきたい。


 まあ、そういう筆者(わたし)の都合はともかく。その少女と判明した三人について書くと。

 彼女たちは中心の人物から、左、右の順で。


「グレンオー!」


「ストーム!」


「ガイスト!」


 と名乗りながらポーズを決めた。


 そして三人が名乗り終わった後に背後から爆発が起った。

 この爆発は彼女たちが自らの魔力を消費して演出のために起こしている爆発である。

 決して敵の怪人が彼女たちに先手を討って放った攻撃ではない。


 これ、普通に考えれば魔力の無駄な消費の気もするが。

 実のところ、こういう所に魔力を使った方が、かえって気分がノって戦闘中に精神エネルギーである魔力の運用がスムーズに行われるようになり、全体的に見ると魔力の消費が低く抑えられるようになったりするのだ。

 この現象を世間では「戦いはノリがいい方が勝つ」というのだが、彼女たちもそれを採用しているのである。


 さて、名乗りをあげられてしまった怪人は、超魔法少女達に対して武器を構えながら。


「丁度良い。噂になっている貴様らと戦ってみたいと思っていたんだ……さぁ、楽しませてくれよ」


 などと発言し、計画をさっきまでの焼き物の店襲撃から超魔法少女と戦うことに変更したことを示す。

 どうやらこの怪人は破壊より〈戦士との戦闘〉が好みだったらしい。


 破壊より〈少女との戦闘〉が好みだった可能性もあるが、それは彼の名誉のために考えないでおこう。


 この怪人の様子に。まずガイストと名乗った緑と紫のカラーリングの戦士が他の二人に向かって。


「どうします? 先輩たち? あいつ弱そうですよぉ?」


 とわざと臭いぐらいに首をかしげながら質問。

 そして先輩といわれた二人のうちストームと名乗った青と白のカラーリングの戦士が。


「確かに、僕が見た限り中の下ってところだろうね。あれなら新しい武器の練習に丁度良いんじゃないかな?」


 と返答する。


 筆者(わたし)としては「おいお前ら、序章の段階で新しい武器とか使っていいのかよ?」とツッコみたいが、彼女たちとしてはいつもの戦闘の一環なので、ここでいきなり新しい武器が登場するのだ。


「じゃあそれでいきますかっ!」


 と言ったのはグレンオーと名乗ったピンク(厳密にはピンクじゃない、マゼンタだ)と黒のカラーリングの戦士。

 そしてその言葉を言い終えるのに合わせるかのような頃合いで、それぞれが武器を取りした。


 グレンオーはやや大きめの十字剣。

 ストームはやや短めの十字槍。

 ガイストは両面に刃があり、上部には槍の穂先のようなものがついている斧である。


 どれも十字をしているが、デザインにはVの字も取り入れている。

 また、いわゆる普通の武器というよりは何かメカメカした雰囲気を漂わせており、まるでSFに出てくる宇宙や未来のアイテムか、あるいはそういうものを模した玩具を連想させる。

 武器のカラーは持ち主の着ている鎧のカラーに対応しており、これがおそらくそれぞれの専用武器なのだということもわかる。


 そんなものを手にして、そして構え終えた三人は。グレンオーの。


「では……超魔法少女、レディ――――・ゴオォォーッ!!」


 というかけ声で敵に向かって突っ込んでいった。


ちなみに、ここでタイトルロゴとともに、当作品のOPテーマ。「超魔法少女☆グレンオー」がBGMとして挿入される。

 では、とりあえずはその歌詞を見てみよう。


 ☆ ☆ ☆


 「超魔法少女☆グレンオー(TVサイズ仕様)」

 作詞・作曲:暮無(くれない) 桜


 邪悪なヤツらの魔の手が 平和な街に迫ってる

 君はどうする

 ヤツらは心の隙間に 絶望植え付けようとする

 一体、君ならどうするんだ

 

 それを黙って見ているならば、戦士としては失格だ

 胸のハートに火を付けて ヤツらをぶちのめせ


 「魔導填身(まどうてんしん)!」

 

 GO! GO! GOGO! グレンオー 熱い拳で闇を撃て!

 必殺一撃ぶちかませ! マジカルブレイク!

 GO! GO! GOGO! グレンオー 燃える闘志で明日照らせ!

 超絶疾走突っ走れ! マシングレーンハート!


 過去も未来も、そしてこの時も、絶対護るぜみんなの笑顔

 超魔法少女! グレンオー グレンオー


 ☆ ☆ ☆


 さて、OPテーマはともかく、怪人は、先ほどまでの一連の彼女たちの行動に。


「何が『レディー・ゴーッ!!』だ。どこかのヒーローの物まねじゃねぇか! 大体人のことを新しい武器の練習に使おうなんてしやがって!」


 とツッコんだが、そんな怪人に対してグレンオーは。


「あたし達の売りはパク……じゃなくてパロディなんだからこれでいいの!」


 と返答しながら一撃入れる。続いてストームが、


「ちょっと、『あたし達』って僕らまで巻き込まないでくれたまえ」


 と言いながら一撃。さらにガイストが、


「そんなこと言いながらストーム先輩だって結構パロディ多めな気がするんだけどねぇ……」


 と言ってまた一撃追加した。

 その後三人がほぼ一方的に怪人を攻撃し、たまに怪人が攻撃しても華麗に回避するといったシーンが、先のテーマソングが終了する辺りまで続く。


 そして、それらのアクションとテーマソングが終了したあたりで。


「よし、計画通り、あれをやるぞ!」


 とグレンオーが号令をかけると、他二人も集ってきて、お互いの新武器を変形合体させ、一つのバズーカを完成させた。

 この合体するとバズーカの武器になるのは、分かる人は分かると思うが、ヒーローものでは定番ネタである。


 だが実のところ、彼女たちの容姿を考慮すると「それは別の作品では?」という方向性のネタだったりする。


 この手のバズーカをよく使うのは先に挙げた「同じようなコスチュームを身につけた数人組――主に五人組が連想されやすい――のヒーロー」なのだが。

 彼女たちの着ている鎧のデザインはどちらかと言えば「個別に戦ったり、バイクに乗ったりするシーンが多いヒーロー」に近いデザインなのだ。。

 ぶっちゃけ平成なんとかシリーズっぽいデザインである。どちらかといえば一期よりの。


 ただ、彼女たちはあくまで「超魔法少女」という名称の戦士であり、先に例に出したヒーロー達とは関係がないから、その辺りはあまり気にせず新武器を使っているのだった。


 と、いうより。

 見た目と同じ路線のパロディばかりやっていたら完全にそういう作品になってしまうので、見た目とは別のヒーローのパロディも果敢に取り入れようという意思さえあったりする。


「完成、超魔法・マジカアァァァァァァ――ル☆バズーカアァァァァ――ッ!!」


 さて、グレンオー達三人はバズーカを組み立て終え、それを先に喰らわせた攻撃によるダメージでよろめいている怪人に向ける。

 怪人はその様子に、


「おい! お前ら! とりあえず『魔法』とか『マジカル』って言っていれば魔法少女で通るとか思っているだろ!?」


 と冷静にツッコんだ。


 その推測自体は非常に正しいのだが、この場はそんなことを言っている体力があったら逃げるべきだということと、さっきの「ヒーローの物まね」といってボコられたという経験から余計なことは言わないべきだと学んでおくべきだったという二つの点を考慮すると。


 発言内容は正しいが、発言したことは間違っていたという感じである。


 で、このツッコみに対して、グレンオーは。

「ちっ……」と舌打ちをした後。


「………………ファイア――ッ!!」


 と叫びながらバズーカを発射するという形で受け答えた。

 ちなみに、「ファイアー」の叫び声は末尾が下がるタイプのものであった。


 そんなバズーカの一撃を受けた怪人は、先のダメージもあって、


「本当のことなんていうべきじゃあなかったかあぁぁぁぁ?」


 という今更な反省を断末魔に挙げながら爆発四散した。


 ちなみに、爆発の時の炎は普通の炎ではなく、青白いものにところどころ紅いものが混ざったものであった。


 また攻撃が炸裂してから少しの間、バズーカから放出されたエネルギー弾が命中したところに、何やらハートと花びらを組み合わせてデザインされているが。

 そんなに可愛くは見えない……というよりどちらかといえばカッコよさを狙ったような感じのマークが浮かび上がっていた。


 ちなみに、このマーク。

 よく見ると超魔法少女三人の鎧の一部に入っていたりするし、そもそもOPテーマが流れた時に画面に映った、タイトルロゴの背後にもどでかく描かれていたので。

 おそらく「超魔法少女のシンボルマークなのだろうなあ」とは推測できるものであったのだが。


 シンボルマークがわかったところで、この「超」がついてはいるが、「魔法少女」を名乗っている連中が何者で、なんでこんな特撮ヒーローみたいな格好や戦い方をしているのかは初見の読者にはさっぱりわからないはずである。

 いや、ここまでの内容はそういうことはわからないことを前提に書いているので二回以上この作品を読んでいるような奇特な読者以外に「わかる」と言われても困るのだが……まあ、ともかく。


 彼女たちは果たして一体何者なのであろうか?


 それを知るために、我々はとりあえず時間を逆行して、彼女たちのうちグレンオーに変身する、暮無桜が戦士として目覚めた日に戻ってみようと思う。


 では、『超魔法少女グレンオー』本編、ここよりはじまり、はじまりー。

ちなみに。この小説のサブタイトルもパロディになっているのですが。

この章の〈序章〉というのもある意味パロディのつもりでつけていたりします。

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