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オタチート会長はいかが?  作者: とりモヤシ
3/6

オタチート会長、運動祭でズッコケルの巻

11.運動祭会長はいかが?


「ああ、運命とは何と皮肉なんだろう…神にちゃんと祈ったのに…」

雄は地面に伏せるようにかがんでいた。

「もう諦めてください。生徒会長。」

一方の彩月はまるでケガしてる鹿を見る女子小学生のような目で雄を見ていた。

「そーだぞ。諦めろ。オタ会長。」

冷たい言葉を放つ美久莉はまるで、決勝で負けて地面にうなだれるサッカー選手を見るサポーターのような目で雄を見ていた。

今日は何しろ体育万年評価3の人間からしたら地獄の一日、そう。運動祭である。

「なんでこんな日に限って晴れるんだよ…」

体育評価万年3の雄にはこれから来る苦痛はもう大体予想できていた。

「まぁ、もう始まることは仕方ありませんから頑張りましょう。生徒会長。」

そらぁ、体育評価万年5からしたら頑張ろうと思えるだろうな…

「さっさと取り掛かるぞー運動会長。」

なんか色々と不満はあったが敢えてここは言わないでおこう。

そんな時に放送部のやたら抑揚がついた連絡が放送された。

「これより、運動祭の準備に取り掛かります。各部の部長、実行委員会、生徒会の皆さんは体育倉庫前に集まってください。」

「しゃーない。行きますかー。」

「がんばりましょう。生徒会長。ふぁいと、おーです。」

「そういうのは美少女キャラがやるからいいんだよ。」

軽くからかうつもりで言ったら意外と本気で受け止めた。

その瞬間、覚えてるのは彩月の右ストレートが俺の頰に飛んできたことくらいか…

「べぁう!」

俺は無残な叫び声を上げて吹っ飛ばされた。さすが体育評価万年5の右ストレート。これは俺、相当飛ばされたな。

「グハァ!」

痛い。土が背中にチクチクくる。

「アハハハハ!ザマァ見ろ!」

美久莉は人の不幸を思いっきり笑った。いゃ、まぁ、種、撒いたの俺だけどさ…それよりも気になることがある。

「なぁ、美久莉。俺はどんくらいぶっ飛んだ?」

「んー。だいたい変身する力を手に入れる前のヒーローが怪人に投げられた時くらいかな。」

「とても分かりやすい例えをありがとう。でも、ということは彩月は?」

「「怪人だな!!」」

珍しく二人の考えが一致したところで察した。

ご本人のご登場でーす。

「ちょっと寝ててください。生徒会長。書記さん。」

こわい。その笑顔がこわい。しかもそれって漫画でめっちゃ強い奴が言う言葉やん。

「ンゴォ!」 「ベハゥ!」

美久莉には右アッパー、俺には立とうとした瞬間に肩にカカト落としが来た。

なぁ、これ、もう俺たち運動祭終わりでよくないか?

しかしっ!運動祭は続くっ!


12.くたびれ会長はいかが?


結局、雄たちが準備に向かった頃にはとっくに終わってて、案の定、顧問に叱られた。

そんな中、またわざとらしい抑揚の放送が鳴る。

「これより、開祭式を始めますので、関係者は壇上前に集合してください。」

当然、生徒会長は参加しなければならない。

「では、生徒会長挨拶お願いします。」

「はい。」

生徒会長だからしっかりやらねば。

そう思い、壇上へ向かう。

この学校のルールとして生徒会長は挨拶の最後に

「エイエイオー」をやらなければならないというのがある。

よし。心を落ち着かせていくぞ。

「生徒諸君!!日頃の鍛錬の成果をここにて(以下略

では、腕を拝借!


エイ!エイ!

さあ、行くぞ!

オー!

思いっきり腕を天に突き上げる!天に努力を約束するように!…しかし、この時すっかり忘れてた。

さっき彩月に肩にカカト落としくらったことを…

「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

この醜い叫び声の主は無論、俺だ。

美久莉は必死に笑いをこらえ、カカト落としを食らわした彩月はというと、

…さっさとやってください。生徒会長。という目でこっちを見てきた。

いや、原因アンタだから。

俺は惨めな思いのまま壇上を下りた。

…あとで泣くか。

もう俺のメンタルは始まる前にボロボロだ…


13.スポーツ会長はいかが?


さて、いよいよ魔の祭典、運動祭の幕開けだ。

もうこうなったら覚悟を決めよう。

なにしろ、3年が最初なのだから。

「では、3年生によります。600m走です。」

よーし…600…ん?

その瞬間、3年の男子たちがざわつき始める。

だってプログラムには250mって…

あっちも察したのか突然、放送は運動祭担当の体育教師、神田 三雄が出てきた。そして言う。

「えー…君たちはまだ若い!臨機応変に対応してくれ!ガッハッハッ!」

ちなみにだが、これは後から聞いたら90%の男子がその時思ってたことらしい。

それが…

「かぁぁぁぁぁぁぁあああんんんんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

結局、俺たちは600m走らされた。

え?結果はって?

いや、だって、同じ組が陸上部とサッカー部と野球部だし?

俺、帰宅部だし?

察してくれ。

そんなこんなで次に来たのが3年女子200m走だった…が!

女子は結局、500m走らされた。

これは、後に生徒会所属、Mさんから聞いた感想です。

「神田アホじゃないの?」

Me too.

しばらくして2年女子の出番が来た。

とりあえず心の中で思う。

「彩月行けーーーーーーー!」

そんなこんなで彩月の出番は来た。

結局、彩月さんは1位でした。

さて、そこからは別に何事もなく進んだからいいだろう。

問題はこれからだった…


14.不満会長はいかが?


そして、その時は来た。運動祭最大の種目、学年リレーである。

この競技はまさしく王道と言ってもいいだろう。

さて、みんなは盛り上がっているが、俺は違う

俺の至福の楽しみ方はみんながワイワイ盛り上がってる中、生徒会長としてしっかり復習するのだ。

「たしか…先週はキングマイザーパースを使った代わりにツィンが永遠の死を被って…」

あ、彩月の出番だ。

彩月の手にバトンが渡った瞬間、彼女の目が明らかに変わった。

そこからどんどん2位との差を広げて行き、最終的に半周以上差がついていた。

「いいぞ!さすがだ!」

俺は熱くなっていたが、アンカーを見てその情熱は冷めた。

「あいつか…」

それは3年の江見木 ウユカである。

別に何でもいいじゃないかと思うかもしれないがどうしてもアイツは負の感情を抱かずにはいられない。

バトンが渡った瞬間、一気に3年女子の歓声が響き渡る。

「ウユーーーー!!」 「いっちゃえーーー!」

ゴール直前になった瞬間、彼女の悪い癖が出た。

それは、勝利を確信した瞬間、力を抜いてしまうことだ。

「イエーーーイ!ゴールルー!」

ウユカは後ろ向きに走ってゴールへ向かっていた。

そうしてゴール直前になった瞬間、事件は起きてしまう。

レーン上にあった小石に躓いて…思いっきりコケた。

その瞬間に一気に歓声は途絶え、2位の人間がウユカを抜かし、ゴールする。

すると、ウユカに近寄ったのは教師でも生徒でもなかった。

「ウユカ!!大丈夫!?怪我はない!?」

それは…ウユカの親だった。


15.対処会長はいかが?


いやに大袈裟な母親はまだ大声をあげ続ける。

「こんな石のせいでこけたのね!!校長を呼びなさい!校長を!」

なんだろう。生まれて初めて校長に同情する。

「は、はい…校長は私ですが…」

あぁ、代わってあげたい。代わらないけど。

「あと、生徒会長も呼びなさい!」

えー…俺は顧問に目で聞いたら静かに顧問は頷いた。

「あ、あの…僕ですが…」

「あんたなのね!!どうしてくれるのよ!!!うちのウユカがコケて傷でもついたらどうするの!!」

さ、流石に娘は常識あるよな?と思い、チラッと見てみたら、

「はー!?マジダルゥ…この石キモいんだけど」

…俺、泣いていいかな。

しかも、

「ちょっと!?あんた何よそ見してんのよ!!」

あー…こりゃまずい…そしてモンスターペアレントの怒りの矛先は前ランナーだった彩月にまで来た。

「そもそもアンタが遅いせいでウユカが最下位になったんでしょ!!普通、先輩が余裕でゴールできるようにするのが後輩の役割でしょ!!」

あー…彩月よ。今回は哀れに思うぞ。

その時、明らかにわかった。流石に彩月も怒っていたのが。

だけど、何かおかしい。まるで、彩月の表情は冷酷な暗殺者そのものだった。

そして、彩月は言い放つ。

「消えてください。」

ん?彩月さんよ…それを言ったらさらにモンスターペアレントの怒りが増幅されるだけでは…

しかし、いやに静かだった。

どうしてもモンスターペアレントを確認したかったが何故か見る気になれない。

無性に嫌な予感がするからだ。

そして…

その予感は当たった。

聞こえる…

生徒たちのどよめく声

聞こえる…

何かに怯えるウユカの震えた息

聞こえる…

彩月の静かな笑い声…

ウユカは声を震わせながら言う。

「い、いや…どこ行ったの?ママ…」

俺はもう見なくても分かってしまった。

消されたのだ。

ウユカの母が…

その時、彩月はいきなり声を出した。

「江見木 真由、36歳、誕生日は1981年5月26日。旧姓 上田、出身学校は波田小学校、波田中学校、組期女子高等学校、海空大学、過去に勤めた職場はヘックマート波田南店、印刷会社エミア。夫は江見木 メヂホフ、ロシアと日本のハーフ。出会いは印刷会社エミア内で同僚同士で恋愛。間違いないですね?ウユカセン、パイ?」

「は、はい…」

どういうことだ。彩月はなぜ情報を手に入れたんだ。

しかし、ウユカは何かを許さなかったのだろう。いきなり開き直って彩月に言った。

「あのさ、勝手にうちのママ消さないでくれない?と言ったってどうせ聞かないんでしょ?じゃあいいよ。彼ピッピ呼ぶから。言っとくけどうちの彼ピッピまぢ強いから。」

すると、ポケットからスマホを取り出した。っというかそれ、校則違反。

しかし、彼氏は出なかったらしく、舌打ちをしながら電話を切る。

すると、生徒席から誰か歩いて来た。

「あー!ウユタン困ってるの!助けて?」

どうやら彼氏のようだ。

近くなり、誰だか見える。

そいつは…俺が前、30万円に変えてやった淵屋 政だった…ちなみに何で戻ってるかというと、1時間程度で戻してやった。流石に後処理が面倒だからな。しっかし、こんなとこで来るなんて…流石に二次災害を覚悟した俺は政の言動の意外性に驚いた。

「悪いけど、アンタの彼氏やめるから、んじゃ。っと生徒会長ではないか!先週のツィンの死はマジで泣いたな!あの仲間を思って己の命をいや、魂をかけて敵を倒して自分も消えるなんてよ!先週はマジで死ぬほど泣いたぜ!なあ!一緒に言おうぜ!ツィンの最後の言葉!」

意外すぎて俺はポカンとしてたが、

「「おい!!俺はお前たちと出会えてよかったぜ!言っとくがこんなとこで俺の仲間に死なれたら困るからな!俺の魂、無駄にするなよ!!そこの角野郎!お前の相手は俺だ!!俺の魂!あいつを倒してくれ!行くぞ!キングマザーパース!!!!!!!!!」」

俺たちはやり遂げた。久々に気持ちいい汗かいたぜ。

静まり返っていた生徒席は一瞬で湧き返し、ノリいいーwと騒ぐ女子、キングマザーパースを思い出して涙を流す同士、それぞれが違う盛り上がり方をしたが、まるでそれは一つのことで騒ぎ合う学生そのものだった。

…あ、やべ。顧問来た。

「ツィン!アンタの死は無駄にしないカラァ!」

アンタもか。…あとで語り合おう。

結局、呆然とするウユカはほっといて運動祭の準備は終わった。

みんなが帰って残ってるのはいつもの生徒会のメンバーだけだった。

「ねぇ、アイツは戻さないの?彩月。」

「ああ、そうですね。戻しましょう。美久莉さん。」

その瞬間、彩月は深呼吸をし、

「帰ってこい。愚者よ。」

そしてモンスターペアレントは帰って来てウユカと帰った。

さーて帰るか…の前に、

「なあ、その能力は何なんだ?」

「めんどくさいのでご想像にお任せします。生徒会長。」

「ふられてやんのーwマザーパース会長」

あ、ヤバイ。その言葉でツィンを思い出し涙が、

そんなムードは一言で消えた。

「おい。大駒。ちょっと来い。あ、二人は先帰ってろ。」

「「さよーならー」」

俺は顧問に呼び出された。とにかく、二人の裏切り者!


番外編.呼び出され会長はいかが?


結局、あの後、呼び出されて何を話したかというと…

「なあ、今日はなかなかよかったぞ。」

ん?

ところでだが…その後は3時間くらい語り合った。

そして、二人共涙目で帰ったのであった。

いい顧問をもったなぁ…

今回は…色んな人の意外な面を書いてて面白かったですw

ちなみにですが、キングマザーパースは己の信念をエネルギーに変える代わりに、相手を確実に倒せる技です。(誰が欲しい説明だ。)あと、ツィンは農村生まれの青年であり、まっすぐな心を持った剣士です。

キングマザーパース!!!

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