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Stellar  light―星の光  作者: バターしょうゆ味
アルス王国・ダーズ村編
5/31

04

家を出た俺はさっそく村に向けて歩き始めた。

村への道は、この家の前にある木を切り倒して作った、人が2人ほどが並んで通れるぐらいの道幅がある道を10分程歩いたところにある。



「はぁー、もう1度アルとしっかりと話し合おうと出てきたはいいけど気が重いな・・・。アルに会ったら何を言えばいいんだろ。昨日は急に村を出て行くって言ったから寂しくって泣いたのかと思ったけどなんか違う気がするし、どうしたものかな・・・」

俺は村へと歩きながらそんなことをつぶやき、うーんっと頭を悩ませながら10分程で到着するはずの道を15分程かけて村が見えるところに到着した。



俺の住んでいる村の名前はダーズ村と言い、アルス王国の北に位置し周りを森に囲まれた辺境にあるせいかモンスターの侵入や襲撃を防ぐ為に高さは3メートル程で人の胴体ほどの太さの丸太を縦に並べたような村と言うには少々立派な柵が村を一周取り囲んでいる。

そして出入り口は馬車が通っても平気な幅があり、2人の見張りと見張りの人が休憩できるように柵の近くにある。

見張りは村の狩人や戦える人たちが自警団を作り、持ち回りでやっている。



そんな見慣れた村の風景を横目に出入り口に近づくと、俺に気がついた見張りの男たちが

「よおトレース、おはようさん」

「トーレスくんおはよう、何か元気がないけど大丈夫かい?」

と言って片手を上げながら声をかけてきた。



最初に声をかけてきた男はガイアスと言い、歳は30代中盤、体格は筋肉隆々で身長は190センチと大柄で見た目が熊のような男だ。

次に声をかけてきて俺の体調を心配してくれた男はズールと言い、歳は30代前半、身長は182センチで体格はガイアスと対照的に細身で物腰の柔らかい人だ。



そんな2人に俺も片手を上げながら

「ガイアスさん、ズールさんおはようございます。まぁちょっとありまして」

と返事を返した。



返事を聞いたガイアスさんはズールさんが口を開く前に「ガハハ」と笑い

「悩め、悩め。若いうちはいっぱい悩むもんだ」

と言って俺の背中をバシバシ叩き、背中をバシバシ叩かれた俺は、あまりの衝撃にむせた。

そんなガイアスと俺を見たズールさんは

「僕もガイアスさんの意見に同意できるけど、とりあえずトーレスくんがむせてるので叩くのをやめてください」

と言い、ガイアスさんのある意味攻撃から助けてくれた。



「ゲホッ、ゲホッ・・・。ズールさんありがとうございます」

俺は助けてくれたズールさんにお礼を言うと、ズールさんは顔の前で手をヒラヒラ振りながら「気にしないで」といい、ガイアスさんは「まだまだだな」と言いながら笑っていた。

とりあえずこんなところに立っていても2人の仕事の邪魔になるし、アルに会いに行かなければならないので俺はこの場を後にし、村の中に歩みを進めた。



2人のところをあとにし、村の中に入った俺は、すれ違う村の住人に挨拶をしながらアルを探すことにした。

すると、村の中を歩き始めてすぐにアルをみつけた。

俺はアルに声をかけるべくアルに近づこうとしたがどうにも様子がおかしい。

普段なら、ポニーテールを尻尾のように揺らしてニコニコ歩いているのだが今日は、どこかどんよりしていて肩を落とし、ただでさえ小さな体はより小さく見えた。



「うわ・・・なんか声かけづらいな」

そんなアルの姿を見つけた俺はついそんな事を言ってしまったが、多分昨日のせいであんなふうになったんだしちゃんと声をかけるかと思い「はぁ」と1回ため息を吐きながら近づいて行った。



近づくにつれボソボソと声が聞こえてくる。

「はぁ、これ・・・トーレス・・・だろう」

何を言っているか上手く聞き取れないが、「トーレス」と聞こえたしどうやらアルが何か俺の事をブツブツつぶやいているらしい。



このまま何をつぶやいているか確かめてみようかと思ったが、俺は声をかけることにした。

「よおアル、おはよう。なんかどんよりしてるけど大丈夫か?」

そう声をかけるとアルはビクッと震えたあと、落としていた肩を上げ俺の方を向くと

「えっ?あれ?なんでトーレスがここに!?」

と言ってあたふたしはじめた。



そんなアルの様子が面白かったがこのままではいけないかなと思い、落ち着かせようと声をかけるが一向に落ち着く気配はなかった。

「とりあえず落ち着けって、とりあえず昨日家に来たとき持ってきてたバスケット忘れてっただろ?それを届けに来たのと、その・・・急に泣きながら飛び出して行ったからそれが心配になって・・・もう1度ちゃんと話し合った方が良いのかと思ってきたんだけど・・・」



その言って俺はアルに持ってきたバスケットをアルに手渡すと顔を真っ赤にしながら受け取り

「あ、ありがとう。き、昨日その・・・そう!急に目にゴミが入って涙がでちゃっただけで・・・えっと、その・・・ごめん!」

っと言って、昨日のようにまた走り去ってしまった。



そんなアルの様子を見て俺はまた何か失敗したかな?と思い、後頭部を手でかきながら走り去ってしまったアルを見送っていると

「なんだ?夫婦喧嘩か?」

っと言う声が後ろから聞こえた。








最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想、評価、ブックマークなどは作者のエネルギーになりますのでお気軽にしていただけると幸いです^^

ではまた次回に(。・д・。)ノシ"

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