第九話 「初授業」
色々考えてるうちに時間ばかり流れて・・・あれれ?と言う間に半年近く間を空けてしまいました。気を付けよう。うん。
流されてるよね、俺。
勢いで教師なんてものやる事になった。
今日が出勤初日。
習慣なのか朝は6時くらいに目が覚めた。
目覚まし時計ってこっちにも有るんだけど、鳴る前に目が覚める。
何故か隣にマナが寝ていた。
しかも男物のワイシャツ一枚で・・・
って、それ、俺のじゃん。寝てる間にこっち来たんだから何も持ってきてない筈なのに。
謎だ・・・
それにしても昨日の流血全裸よりはマシか・・・とも思ったが
寝返りをうたれた時の仕草、というかあわやポロリって状態には全裸以上のエロスを感じた。
チラリズム様さまだねぇ・・・ん?チラ?なのか?これって。
まぁ、それは良いんだけど・・・何か忘れてない?俺。
何か大切な事忘れてる様な・・・まぁいいか。
まぁそんな訳で今日から先生ですよ。
んで今は3時間目。
さすがに作り終わった後に「食べる」という都合もあってか
家庭科の・・・調理実習は3時間目4時間目と言うパターンが多い様だ。
今日のお題目は・・・まさかのカレーですよ。
こっちの世界にもあるのね、カレーって。
まぁ、ルーなんてものはないんで当然、一から作るわけなんですが・・・
今日のクラスはマナの居る2年B組。調理実習室に入るとすでに6つの班に分かれて準備していた。
マナの班は・・・まぁ、問題ないかな。
もともとマナは料理得意だし、見ていて安心感がある。
たまにこっち見ながらウインク連発するのはどうかと思うが・・・
「先生、あの〜・・・」
後ろから声をかけられる。確か、エリザとかいったっけ。
「どうした?」
「質問なんですが・・・」
「おう?」
「媚薬、睡眠薬等はどのタイミングで入れたら効果的ですか?」
「・・・・・」
「確実に仕留めるには・・・?」
「うん、君が作ったのは試食しない様にするわ。」
「・・・ちっ!」
舌打ちしてるし・・・
「そんな物に頼らなくても君なら十分モテると思うが?」
「そ、それじゃ、今夜私と・・・」
そこまで言いかけたところで背後にマナが・・・
「センセイニテヲダシタラコロス・・・・」
「ヒィィィ!!!」
さっきまで玉葱切ってた包丁でエリザの首筋、頸動脈付近を狙って構えてた。
マナさんや・・・それ、マジで怖いって・・・
とりあえず刃物の使い方を間違えそうなマナに注意して別の班の様子を見に行く事にした。
教室の中を見回すと一つだけ他の班と離れて作っている班を見つけた。
「なんでここの班だけ離れてるんだ?」
「お?センセ、味見してみる?」
たしかリルって言ったっけ?ちょっと・・・いや、かなり立派なおぱーいの持ち主様が気軽に話しかけてきた。
「どれどれ?」
まず鍋を見る。
うん、普通にカレーだね。いい匂いしてる。
・・・・ん?具はなんだ?これ。
白い・・・ツルツルした物が大量に浮かんでた。
なんだろう・・・これ。
それにちょっとルーが緩いような・・・
「なぁ、リル。これ、何カレー?」
「ん?見ての通り、タマゴカレーだよ?」
「・・・・タマゴ・・・」
浮いてるのはゆで卵らしい。
・・・・ありなのか?確かにたまにスライスされたのが乗っかってるの見た事有るけど。
「他の具は?」
「ん?ないよ?」
「・・・・」
「だって、タマゴカレーだもん。それよりも!味見!!どうぞ!!」
そう言って何故か大ジョッキを渡される。
「・・・・ん?」
そしてジョッキになみなみと・・・・カレーを注がれる。
「・・・・」
「ささ、センセ♪ググッと♪」
「・・・・なぁ、リル。・・・・なんでジョッキ?」
「ん?だってほら、『カレーは飲み物』って有名な言葉があるじゃん。」
あぁ、確かにそんな事言う奴がいるね。
「なるほど。でもこれ、味見って量じゃないな。腹いっぱいになりそうだ。」
「センセ、少食だねぇ」
いや、普通だと思うが・・・
味は悪くなかった。うん、結構美味かった。でも個人的にはタマゴとカレー、別々でも良いと思った。
んで次の班。
なんかね、鍋の中にイカが入ってた。
シーフード?いやいや、そんなレベルじゃない。
大きなイカが・・・・鍋から50cm位はみ出してた。
しかもこのイカ、自分の身体に自分でカレーをかけてる。
「ふぃ〜♪」
しかもなんか気持ちよさそうだ。なんて考えてたらイカと目があった。
「んぁ?何見てんだゴルあ!」
威嚇されました。ってか、鍋の中の食材、イカが喋った。
「クラちゃん、駄目だよ?先生にそんな言い方は。」
横から大人しそうな娘がイカに話しかけている・・・確か、ルーシーって言ったっけ?
「んと・・・ルーシー、このイカ、何?」
「誰がイカだゴルあ!!」
鍋の中から長めの触腕でこっちを指指しながら怒鳴っている。指じゃないけど。
いや、どう見てもイカじゃん。
「んで?ルーシー、これ、何?」
これと言われてカチンときたのか喚いているが放置。
「と、友達のクラちゃんです。ちょっとお出汁を分けて貰ってて・・・」
「・・・・」
「ふふん、俺様の出汁はそこらじゃ滅多に味わえない最高級なんだぞ?」
鍋の中でドヤ顔のイカ。
「・・・・うん、頑張れよ?」
そのままスルーする事にした。
そんな感じで4時間目もそろそろ終わり。
どうやら全ての班が無事?作り終えたようだった。
この後、みんなで試食する予定なんだけど・・・なんかめっちゃ不安。