第六話「学院」
「いやぁ、ほんとにうまかった。」
満足感に浸りながら萩原は食後のお茶を楽しんでいた。
こちらの世界に来たばかりで
ほとんど初めて見た食材、道具、調味料。
それでいて普通に普段から作っていたかのような味。
それも極上の。
よほどしっかりとした技術と知識がなければ不可能なことだ。
「こりゃ今後が楽しみだな。」
ひとりほくそ笑む萩原・・・ただの食いしん坊かもしれないが
「ちょっとひどくない!?」
ナレーションに突っ込んでも無駄である・・・
「・・・・・」
「へぇぇ、学生だったのか。」
制服姿に着替えたマナ。
「えぇ、ですが年齢的にはちゃんと結婚も出来ますよ?」
「・・・・・」
相変わらずのマナ。
好意を寄せてもらえるのはうれしいがなぜそこまで?と戸惑う拓人。
ただヘタレなだけのようにも思えるが
「ちょっ!ひどくない!?」
ナレーションに突っ込んでも(以下略)
「何してる人だか今まで知りませんでしたけど・・・」
向かい合ってコーヒーを飲む拓人と萩原。
「あぁ、そういえば言ったことなかったねぇ」
ここはマナの通う学校。私立水元高等学院。
水元と言うのは地名。確かあちらの世界にもあったっけ。
萩原はここの理事長兼、学院長とのことだ。
「まぁ、うちに残ってても誰もおらんし、暇だろうから。」
たしかに。することないしなぁ・・・
「それに、ここの図書館ならこちらの世界を知るのに丁度いい資料が沢山ある。」
なるほど。そいつは助かる。
「一応、ゲスト用の身分証を発行しておいたから自由に見て回るといい。」
そんなわけで学院内を色々見て回っていた。
共学校と言うことだったが女生徒の比率がかなり高かった。
ってか、女子高?って位、男子生徒を見かけない。
後で調べて分かったことだがこの世界事態が男性の比率が低い様だ。
そんなわけで独身男性と言うものは貴重で
つい最近にも男性の取り合いで戦争が起こったとか・・・
そこまでなのか・・・
女性の比率が高いことが影響しているのかどうかわからないが
先ほどの食堂。一応、学食らしいのだがおしゃれな感じで
「どこの有名カフェですか?」ってくらいだった。
はたして何日で然メニュー制覇出来るだろうか・・・
と一人思うただの食いしん坊だった。
「なんか恨みでもあるの!?」
ナレーションに(以下略)