第二話「ここ、何処?」
とりあえず、2話目ばらまいてみる。
起きると真っ暗だった。
いや、正確には真っ暗じゃない。床に魔法陣?のようなものが光ってる。
まるで生贄に捧げられたかのように中央に横たわる俺。
なんだよ、厨二か?俺。四十過ぎて厨二って・・・
しかも自分が生贄って・・・
「やった!成功!!」
ん?誰かいる?
目が慣れてきた。黒いローブ?のようなものを羽織ってる。
頭まですっぽりと覆われて顔はわからない。
もそもそと上半身を起こしたところで
目の前の誰かが抱きついてきた。
あまりの勢いでひっくり返る。
傍からみたら押し倒された格好。
なんか柔らかい。
思いっきり抱きしめられてる!ってか乳が!!乳!当たってる!!!
「だって押しつけてるんだもん♪」
「いやまてまてまて!やばいって色々!!」
「嫌でーーーす♪放しませーーーん♪」
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
たっぷり時間にして・・・二十分は抱きしめられてたかも。
やっと落ち着いたのか離れてくれた。
ゆっくりと立ち上がりローブ?の頭分をめくり顔が見えた。
「え?き、君は・・・」
昨日の飲み会でずっとそばにいた女の子。バイトの娘で。。。名前はたしか・・・
「真奈ちゃんっていったっけ?たしか・・・」
「はい♪マナです♪あなたの妻になる女です♪」
「・・・・・・はい?」
「妻です♪」
「・・・・刺身の下とかにひいてある大根とか?」
「それもつまですね♪でもそれじゃなくて」
「・・・・」
「あなたの妻、奥さん、伴侶、奥方、下僕、肉奴隷♪」
「後半二つがおかしい!!!」
「え?そうですか?たいした問題じゃないですよ?することは同じようなものですし♪」
「そうなの?いや、そんなことないでしょ?!」
「ワタシは拒みませんし♪」
・・・話が通じない・・・
「・・・そろそろ、良いかね?」
背後から落ち着いた感じの男性の声。自分の良く知る声・・・父の友人と言う割には少し若い・・・
「・・・萩原さん?」
「やぁ、久しぶり。いや、正確には・・・おかえり。タクト君」
「・・・・え?」
「まぁ、こんなところではなんだ、話もしづらいしリビングにでも行こうか。」
状況が良くつかめない。俺、家で寝てたよね?
三人でリビングへと移動する。
さっきの場所はどうやら地下室。
ここまでくる間、茉奈はずっと腕にしがみついて離れなかった。
まるで「逃がしませんよ?」とでも言わんばかりに・・・いや、逃げないよ?
逃げるって言っても何処行きゃいいかわからんし・・・
三人でソファに座る。
隣には当然のように茉奈が。
向かいには萩原氏。
「改めて、お帰り、タクト君」
「あの・・・・それです、そのお帰りって?」
「あぁ、そういえば君は・・・覚えてないか・・・」
・・・・
「まず、ここ。ここは君のいた世界とは少し違う。まぁ、地名とかなんだとか
ほとんど同じなんだけども・・・・一つだけ大きく違うところがある。」
・・・なに言ってるんだ?
「その違いとは・・・魔法・・・そう、魔法があるんだよ。この世界は。」
・・・五十過ぎて厨二?こんな人だっけ?
「もともと君の両親はこちらの世界出身でねぇ。結婚を反対されて駆け落ち。
逃げ回りつつ君を出産。その後何年かして別の世界、君のもといた世界に渡ったのだよ。」
・・・信じられん・・・駆け落ちってのは聞いてたけど・・・
「当時は奴の両親、君の祖父もえらく怒っていたんだが・・・自分の死期でも感じとったのかねぇ?いきなり探して呼び戻せと・・・」
・・・信じていいのか?この話・・・
「とはいってもとっくに亡くなってる。そのことを伝えると・・・孫の君をこちらに連れてこいと・・・年取るとわがままになるよねぇ」
「・・・・・その話を信じろと?」
「あぁ、疑うのも当然だな。まぁ、自分の目で確かめるのが一番か。窓の外、見てごらん?」
言われて窓際まで来て絶句した。
「・・・・島・・・浮いとるし・・・」
そう、島が浮いてる。某ファンタジーゲームで見たような光景。
竜が飛び交い、ふたつの太陽が昇る・・・・なんじゃこりゃ・・・
「あぁ、そうそう、君、自分のこと、鏡で見てみなさい」
「へ?鏡?」
茉奈が手鏡を差し出してくる。
そこに映っている自分。どう見ても二十歳そこそこだった。
(-。-)y-゜゜゜