第十話 「試食」その1
さて。
料理ってものは食べるもの、食べさせる物な訳で・・・
「と言う訳で・・・実食!!」
なんか美々さん張り切ってますね。
「まずはワタシから!!ワタシを食べて♪」
「あ〜、『の』が抜けてるぞ?」
「あらやだ、願望が・・・些細な問題です。さぁ、召し上がれ♪」
些細か?まるっきり別の意味になるけど。
まぁ、それは置いといて。
美々の作ったやつは・・・まぁ、普段、食べてるし問題なく美味いはす。
問題はそれ以外だ。
まず、一番ヤバそうなエリザのから。
・・・なんでこうなった?
もうね、見た目からカレーじゃないよ。
色からして紫、液体と言うより・・・スライム?
よくファンタジーチックなヤツで出てくる『魔女鍋』そのものだった。
「先生の為に一生懸命作ったの。食べて?」
食えるかよ・・・なんて言う訳にもいかんし、どうしたもんか・・・
そんな拓人を見つめるエリザ
(さぁ、食べなさい。一口でいいから。
見た目は置いといて、今回のカレーはうまくいった。
一口食べればもう私の虜。
他の女なんかめに入らなくなる。
美々なんかにもったいないのよ。
こんないい男。
・・・・
た、食べないわねぇ、じれったいわ。
こうなったら・・・)
「先生?」
「ん?」
「試食、していただけないのですか?」
「あ?あぁ・・・・」
こ、これを食べなきゃいかんのか?ってか、食って大丈夫か?これ。
「わかりました。食べさせてあげますね?」
すばやく取り出したスプーンでカレー?・・・自称カレー?を掬って差し出してくる。
ってか、湯気だと思ってたらこれ、スプーン解けてないですか?
「え?」
「はい、あ〜ん♪」
スプーンを差し出しながらにじり寄ってくる。
なんか目つきが怖い。
「はぁはぁ・・・さ、さぁ。・・・」
なんか、様子おかしくない?
からーん。
差し出されたスプーンがあと1cm?って位のところで床に落ちる。
「え?」
エリザが驚きに声を上げる。
そのまま両腕を背後から絡めとられる。
「ちょ?」
気がついたときには逆さまに担ぎ上げられていた。
「・・・おぉ、きれいなバックブリーカー・・・」
エリザを軽々と担ぎ上げる美々。
「ちょ!美々さん?何を?」
「恋する乙女の嗜みです♪」
そのまま肩の上でくるっと回し、逆さまの状態で抱え込む。
ぴょんと飛び跳ねると同時に頭を両膝でがっちりホールド・・・垂直落下式の・・・なんていったっけ?たしかプロレス技で。
どすん!という大きな音。
頭から地面に叩き付けられたエリザ。
足だけぴくぴく動いてる・・・・大丈夫なのか?あれ?
不安そうな俺の顔を見た美々がにっこり笑いながら一言。
「ご安心を♪峰打ちです♪」
いやまて!峰もへったくれもないだろ?それ!!




