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十七話 フラグが自動消滅したと思いきや、別のフラグが(前)

 ヴァリファルが唐突な思い付きを口にしてから、もう一週間も経過していた。

 この一週間は、説得しているのかセッティングしているのか、ヴァリファルがやってこなかったため、久しぶりに自由を謳歌していた。

 この間に戦局が動いた結果、人間の方の戦争も大分落ち着いたらしく。次々と停戦協定が結ばれている事を、チサちゃん経由の異世界ネット検索で知った。

 このままだと、また厄介ごとがやってくるのかなと陰鬱としてきて、いっその事結界で覆ってしまおうかと真剣に頭を悩ませる。

 俺がこんな風に真剣に取り組んだり悩んでいると、大体何かの邪魔が入るのが経験則だったりする。

 前世ではテスト勉強の際には、難問を解いているときに限って何故だか母親が部屋に乱入してくるし。

 大学受験試験時には、晴れの予報で傘を持たずに歩いたら、会場に着くほんの数分で大雨が降ってずぶ濡れになるし。

 自動車教習所の本免試験では、何故か信号無視の自転車が突っ込んでくるし。

 就職面接では、自己アピールをしていると、面接官の腹の虫が盛大に鳴って、噴出してしまったり。

 こんな心折設計で出来た人生で、ニートになるなと言う方がオカシイと、前世でも今世でもそう思っている。

 ちなみに、あの面接は落ちた。

 きっとあの面接官が、恥を言いふらされたくないから落としたと勝手に確信している。



 そんな風に在りし日の思い出に浸っていると、感知魔法になにやら団体さんの反応が。

 ヴァリファルの時に、やってくる生命体の種類が分からないという欠点があったけれど、いまはそれは改良済み。

 詳しい内容を知りたいと思えば、反応する生命体の大まかな種類が分かるようにしてある。

 なので何が来たのかと意識を向けてみれば、それは意外な――いやフラグ的には順当な相手だった。


「竜……って、何で十三体で編隊組んでこっちにくるの?」


 ヴァリファルの思いつきの所為でやってくるのだとしたら、彼女の父親かその兄弟辺り――せめて行って三体か四体がやってくるぐらいだろうと楽観していた。

 なのに十三って、十三って。

 何、ヴァリファルってそんなに重要なお嬢様だったの?

 それとも過保護な親バカか爺バカが、大事なヴァリファルを馬の骨が誑かして、って兵隊を差し向けたとか?


「うわぁ~……引くなぁ……」


 その光景を想像して、心の底からゲンナリする。

 それは俺が子供同士の事に付いて、親がでしゃばって来るのが、どうしても納得できないからだ。

 子供には子供の言い分があるし、出来た約束だってある。

 それを世代が違う価値観と、金に力を持った親が出てくると、色々と御破算になってしまう。

 親にしてみれば子供を保護した積りだろうが、子供社会では後にイジメの対象になるため悪手に他ならない。

 前世の中学時代、モンペの息子が「テメェの親の所為で――」って不良に標的にされてたっけ。

 イジメの時の決まり文句は「テメェ、親が居ねぇーと、ナニも出来ねーんだろう。オオゥ?」だった。

 最終的には不良の親まで巻き込んで、泥沼の民事裁判沙汰になって、和解金十数万円しか取れないという、双方の弁護士しか得しない結果になったし。

 その時俺は悟ったね。親が出ても悪い事しかなら無いって。

 つまりは人と余り係わらないニート最強という事に落ち着く。


「おい、おい貴様!」


 いやだいやだと現実逃避していると、誰かが誰かを呼ぶ声が。

 きっと俺の事じゃないさと、のんびりと溶岩浴を続ける事にした。


「き、貴様ァ。無視するとは良い度胸だ!」


 五月蝿いなと思っていると、何故だか展開していた防御結界に何かの攻撃が当たった。

 なにが当たったのだろうと見てみると、編隊を組んだ中で先頭に立つ竜が、竜の吐息を俺に向かって吐きかけていた。

 ああ、俺の事を呼んでいたのねと納得する傍らで。

 あれ、それが全力なのと言いたい威力の竜の吐息に、首を傾げてしまう。


「……気が付きませんでした。何かご用で?」


 竜の吐息を吐き終わり、失った魔力補填の為に魔素を呼気で取り込むため、ぜーぜーと肩で息をする竜。

 若いのに運動不足とはと、日頃寝てばっかりな自分を棚上げした感想を抱く。


「彼方がジョット殿ですね?」


 荒く息をしている先頭の竜に代わって、その直ぐ後ろに控えていた竜が話しかけてきた。


「どのジョットをお探しかは知りませんが、確かにジョットという名前ですよ」

「おま、オマエが、ひ、姫を誑かし、たジョットだろ、おお!」


 息を整えていれば良いのに、鶏冠に来たように大声を上げる先頭の竜。

 先頭だのその後ろだの面倒なので、適当な名前を付けよう。

 先頭は濃い青色なので、紺竜と。

 その後ろに居るのは普通の緑なので、緑竜と。

 その他大勢は色とりどりだが、全体的に黒に近いモブっぽいので、モブ竜という事にしようと思う。

 大きさ的には紺竜が十五メートルとヴァリファル級。

 緑竜がやや大きくて、二十メートルをやや越える。

 モブ竜は年齢も様々なのか、俺よりやや大きい八メートル級から十五メートル級まで様々。


「誑かしたって人聞きの悪い事を言わないで下さい。それに子竜相手に恫喝するなんて、恥ずかしいとは思わないんですか?」

「何を言うか、と思えば。力こそ全て、が竜の掟だ、ろうに」

「竜の吐息を放っただけで、まだ息切れしている方に、掟だのどうなどと言える資格があると思えませんけど?」

「ななな、何ぃ!? お、おれ、おれが、お前より弱いってのかぁ!?」

「いえ。彼方の弱さなんて、知りませんし。興味無いので」

「よ、よよよ、弱い。がが、眼中にも、無いって言いたいのか!?」

 

 純粋に疑問に思ったり思いついた事を言っただけなのに、何故か異様にエキサイトする紺竜に首を傾げる。

 その姿が何処かで見た感じがあると思って少し考える。

 無駄に騒ぐのは不良っぽいけど、不良の方がもっと違う価値観に生きている感じだし。

 幼稚園児って程、純粋な子供っぽさじゃ無いし。

 最終的に、前世の関西系のコント芸人な感じだと思い至った。

 無駄にオーバーリアクションで、サングラスの司会者に「五月蝿い」って怒られる様なタイプの芸人。

 ひな壇で周りから弄られて、会場内の賑やかす役目の、あんな感じ。

 そうなると相手の持ち味を生かせるように、積極的に煽っていく方向で相手にした方が良いのか。

 空気が読めると自負するニートな俺は、どうしたら正解かに悩んでしまう。


「このままでは話しが進みませんので、これからは当方――緑玉竜エメラルドドラゴンのグリバインが交渉のお相手を致します。御理解いただけますか?」

「……ええ、構いませんよ。なんだか、その紺色のは竜語が怪しいし」

「あや、怪しくなんか無い。ちゃんと喋れるぞ!」


 人間が聞いたら「ぎゃーぎゃー」と騒いでいるようにしか聞こえない竜語を喋る紺竜を無視し、緑竜こと緑玉竜のグリバインという竜へと顔を向ける。

 しかしエメラルドと言うほど、綺麗な鱗には見えないけどなと観察していると、段々とグリバインの魔力の高まりと共に鱗の透明性が上がっていく。

 やがてその名前に恥じないぐらいに、陽光を照り返す艶やかな宝石のような緑色の鱗へと変わる。

 どうやら俺が魔力を抑えると紅竜に見えるのと同じで、グリバインの方は魔力を抑えると普通の緑色の鱗に見える様になるらしい。


「騒いでいるのは無視して下さい。では何故、当方がこのような大所帯でジョット殿に面会しに来たのかを御説明いたします」

「はいな。どうぞどうぞ」

「おい、まだ話しは終わって――」

「事の発端は。ここ最近ヴァリファル様がお独りでいつの間にか何処かへと遊びに出かけ、そして楽しげな様子で帰ってくるのを、父親であらせられます青白色龍のヴェナリ様が理由をお尋ねになったのが始まりです」

「あーまー、何となくその後の展開は予想できますが、続きをどうぞ」

「はい。ヴェナリ様がお尋ねになり、ヴァリファル様が「運命のお相手に会ってきました」と、実に嬉しげにジョット殿の事を話し始めたのです。最初は出会った相手が子竜という事で、可愛らしい一過性のおままごとだろうと楽観していたのです。

 しかしながら嘆かわしい事に、先日ヴァリファル様はヴェナリ様へ「ジョットさんに会って欲しい」と仰せられた事で、漸くヴァリファル様が本気で伴侶にしたいと思っている事に気付かれたのです。

 そこからは、この状況を見れば想像出来るでしょう?」

「可愛い娘に悪い虫が付いた、とか。何処の馬の骨が娘を誑かしたのか、とか。気に入らないからちょっと懲らしめて来い、とかでしょうか?」


 肯定するように頷くグリバイン。

 物腰丁寧で、言葉遣いも実に様になっているが。ちょいちょい、此方を下に見る節が窺える。

 でもヴァリファルも初対面では威圧的だったし。

 チサちゃんに教えてもらった竜の常識では、竜は偉そうな態度を取るのがデフォであるらしいので。

 グリバインは俺相手に下手に出ている、と判断した方が良いだろう。


「付け加えて。娘を嫁に欲しいのらば、当方全てを瞬殺出来る程の力があれば認めると。だが無理だろう、と高笑いしておりました」

「というわけだ、観念しろ!」

「……何を観念するのか分かりませんけど。別にヴァリファルとは――」

「様です」

「ヴァリファル――」

「様を付けてください」


 俺が何かを言おうとする度に、グリバインはそう訂正してきた。

 従うのはなんだか癪だったので、様付けせずに行こうかと思ったが。話が進まないし意固地になるほどの事でも無いので、黙って従ってやる事にした。

 

「ヴァリファルさまーとは、別に将来を誓い合った仲という訳じゃ無いんですが?」

「そうですか。そう仰られるのなら、話は早い」


 事実を事実のまま言葉に変換して語って見せたら、何故かグリバインは後方に佇んでいたモブ竜たちに、首を振って何か指令を出した。

 すると無警告に、全ての竜から竜の吐息が発射され。俺の方へと飛んでくる。

 もちろん展開した防御結界で、その全てを楽に防いだ。

 なにせ一本一本の竜の吐息は、紺竜が放ったものよりも大分細くて弱々しい。

 一纏めにしても、ヴァリファルが放った吐息に匹敵しえない程なのだから、彼女のを防いだ実績がある以上防げるのは当たり前。

 仮に展開が間に合わなくても、ちょこっと体表に魔力を融通すれば弾ける程度だったので、なんとも思わなかったのだが。


「不意打ちとは随分ですが?」


 とりあえず展開的に空気を読んで、こちらは不意打ちに怒ってますよ、との格好だけはしておく。


「そうそう言い忘れておりましたが。ヴァリファル様の純情を弄んだ様だったら、即滅するよう仰せ付かっておりますので。あしからず」

「弄んだ覚えは無いんだけれど。向こうが一方的に言い寄って来て、迷惑したのはこっちなんだけどなぁ~」

「きさ、貴様ごときが策を労せずして、ヴァリファル様に取り入れる訳が無いだろうが!」


 すると少しだけ俺に感心した様子のグリバインが、随分と変な事を言ってきた。

 なので訂正しつつ事実を言ってみたら、何故か紺竜が怒り出した。

 なんか命令で討伐しに来たにしては、随分と私怨が入った物言いに、グリバインの方を窺うように視線を向けてみる。


「こちら濃青竜インディゴドラゴンのオルトブル。行く行くは、ヴァリファル様の許嫁の一候補になられるはずのお方です」


 俺の視線の意味に気が付いてくればグリバインの説明に、俺は首を傾げてしまう。

 せめて許嫁。もしくはその候補なら話は分かるし、俺を怒鳴る権利はあると思うけど。

 あくまで予定。

 しかも身内らしいグリバインに「はず」なんて付けられているのだから、有望株でも無さそう。

 何処からどう解釈しても、ヴァリファルの婿問題に対しては、モブ竜と同じ立場だろうとしか思えない。

 

「……それってつまり、今は無関係の部外者って言っているのと、同じですよね?」

「誰が無関係か! 誰が部外者か!」

「一応は、当方の後ろに居る方々も、許嫁候補予定の方々なので。無関係とは少し言い過ぎかと」


 ふーん、モブ竜たちもねぇ。

 でも、竜の吐息を発射した反動で、ぜーぜー言いながらホバリングするその姿。

 あの強者がお好きそうなお嬢様が、この誰か一人でも気に入るとは思えないんだけれどなぁ。


――ヴァリファルにしてみれば、魅力が皆無なお相手たち。との判断を下してます。

 チサちゃんの報告に、やっぱりかと納得する。

 そこでふと、これが許嫁候補だと見せられたヴァリファルは、どんな行動を取るかと考えてしまった。


――これは自分で伴侶を見つけなければ。この情けないモノたちの相手を自分がすると想像するだけで、虫唾が走る。との事でした。

 ああ、やっぱりそうなるよね。

 それで噂で俺の事を聞いた。

 つまりは人間の冒険者や勇者を試すような真似をして、尚且つ彼らを軽くあしらえる竜。

 丁度良い事に、誰かがそんな竜に釘を刺しに行かねばという意見があった。

 なので自分の目で真相を確かめて、あわよくばその竜を許嫁に。


――否。許嫁の基準を、ジョット様こと野良竜程度に負ける実力では自分には見合わない、と設定する。積りでした。

 ……あのお嬢様は、自分が負ける事なんて欠片程も思ってなかったんだね。

 確かに俺が生まれてから出合った生命体の中で、一番の強者だったし。

 まあ、まだ十年程しか今世は生きてないし、この火口から出た事の無いニートだから、俺の基準は物凄く曖昧だけどね。


「それで緑玉竜のグリバインさんも、実は許嫁候補――とか?」

「いいえ。当方、妻帯者ですので。そうでなくても、ヴァリファル様とは釣り合いません」

「ここに居る竜の中では、一番の実力者でしょ? 鱗は白くは無いけど良い艶と透明感あるし、身体もかなり大きいし」

「気質と立場の問題です。当方たち緑系の竜は温厚なので、基本的に子竜たちの教師を務める事が多く。当方も実戦とは無縁に生きてきましたので」

「つまりヴァリファル――さまーも、教え子の一人だったから、眼中に入れてもらえないし。グリバインさんとしても、立場と実力的に難しいと?」


 うっかり呼び捨てにしかけたのを目で制してきたグリバインは、俺の言葉に残念そうな素振りも無く、容易く頷いて返してきた。

 その態度は、諦めているというよりも、選択肢としてありえないと言っているように見えた。


「なんだか竜の社会も窮屈そうですね。まあ野良竜には、関係無さそうだけれど」

「そうですね。野良竜を相手にする事などあまり無いですね、無意味ですし。まあ基本的にはで、例外もありますが」

「そうだ、ありがたく思ってさっさと負けろ!」


 グリバインが目で、紺竜ことオルトブルが発言で、俺がその例外だと言われた。

 いや待て待て。

 そもそもこんな事になったのは、ヴァリファルの婚約者候補が全員、情けないからで。

 元々彼女の目に止まる程の実力者さえ婚約者候補に居れば、俺とヴァリファルが会う事も無かっただろうと思うのだけれど。

 せん無い事を考えてもしょうがないかと意識を変え、グリバインの『時間稼ぎ』に付き合った成果を確かめるため、モブ竜に視線を向ける。

 しかしそこに居るのは、翼でのホバリングをし続けているからか、相変わらず荒い息のままのモブ竜たちだった。


「あのー、そっちの竜たちですけど。飛ぶのも辛いのなら、地面に降りて休んだらどうです?」

「竜が休みたいからと地面に降りるなど、土竜に堕する行為です。勿論彼らの中には、そんな事を一瞬でも考える様な軟弱な竜は居ないと断言します」

「……それって、溶岩風呂に入っているこっちは、どういう括りなんですか?」

「自室で寛ぐ事に、何の不都合があるというのでしょう。自分のテリトリーで余裕を見せるのも、強者としては当然の行為です」


 あー、なんだ。

 つまり、ここは俺の領域だから俺がどんな横柄な態度を取っても許される。

 地面に降りていようが。大欠伸してようが。今のように溶岩風呂に浸かって相対しても。

 ただし領域外から来た竜は挑戦者だから、自分の力を示すように、常に強者らしく振舞う必要がある。

 それが竜の社会の常識。

 って事で良いのかな、チサちゃん?


――付け加えるならば。領域持ちの竜の余裕な態度を終始崩せないと、侵入した竜の面目が丸つぶれになります。なのでジョット様に優しい言葉を掛けられたという今が、まさに面目丸つぶれ中です。

 おおぅ。なにやら知らない間に、相手の面子潰してたんだ、俺。

 あと、だからグリバインがモブ竜を鼓舞するように、キツイ口調で一喝したのかと納得した。

 前世でいう所の、アウェーで試合中の部活の顧問の先生が、立場的にグリバイン。

 その部員がモブ竜で、部長がオルトブルな訳だな。

 差し詰め俺は、相手のエース選手と言うところかな。

 ニートがなに調子に乗っているんだって、自分ながら言いたくなるけれど。


「ふーむ。で、どうしたら良いんでしょう。この状況?」

「……それを当方に聞きますか?」

「こちらの防御が抜けそうに無いって分かっているでしょうに。このまま面目が潰れすぎて復元不可能な状態になるまで、無駄な攻撃続ける積りですか?」

「防御が硬い事に何の意味がある。俺らはまだ、全然元気だぜ!」


 オルトブルが声を上げた瞬間、モブ竜たちも「そうだそうだ」と声を上げる。

 そのぎゃーぎゃー五月蝿い様子に、思わず俺は苛立って目を細めて彼らを眺めてしまう。


「迷惑そうに、こちらを見ないで頂きたい」

「実際に、滅茶苦茶迷惑なんですが?」

「なら力を見せ、この方たちを納得無いし屈服させる事です」

「えぇ~、なんでそんな面倒な事を。諦めて帰ってくださいよ」

「……ごにょごにょ……俺が合図したら……」


 引率のグリバインと交渉していたら、モブ竜とオルトブルが何やら悪巧みをし始めた。

 何を話し合っているのだろうと、興味深く眺めていると、何故だろうオルトブルが勝ち誇った表情を浮べている。


「ふんッ。その余裕面が何時まで続くかな。やれ!」


 俺が見ている事にようやく気が付いたらしオルトブルが、モブ竜へと掛け声を発した。

 モブ竜は何故か律儀に従い、魔力を節約するためか、竜の吐息ではなく魔法を準備し始めた。

 竜の吐息でも効かなかったのに、それに劣る威力の魔法を使うなんて無駄な事をするなと、俺の体にそって防御魔法を展開した。

 しかしそれが悪手になるとは、俺は思ってもみなかった。




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