まさかの依頼で地獄体験!俺たちの夏はまだ始まったばかりだ!
翌朝、俺は決めた。
ウナーシャはまた例の水場で浸かってるし、柚花は書店へ行って本を見るらしい。
俺は――今日はそいつらと一緒に行かない。
別に根暗だからでも、熱い湯に浸かって“俺のイケメン骨格”が軟化するのを恐れてるからでもない。
……むしろ単純に、少しでもフレッシュさを残したいからだ。
だってさ、ウナーシャとおんなじ地味な水場ライフを毎日繰り返すなら、飽きるってもんだろ?
それに、昨日あんなに浸かったあと、頭がふらふらしてたんだぜ。
今日もまた水場で寝落ちとかマジ勘弁。
それより――暇すぎるから、仕方なくストリートをぶらつく。
「スマホとPC、マジ恋しいわ…もう一回でいいから触らせてくれ…」
心の底から呟いた。
踏むのは手入れされた石畳、陽光がほんのり暖かく反射してる。
空は相変わらず晴れ渡り、綿菓子みたいな分厚い雲がもこもこ浮かんでる。
この世界に来てからずっとこんな天気だが――正直、若干飽き始めてた。
スマホ一台あれば、ショート動画で猫見たり、スマホゲーやったり、小説読み返したりできるのになぁ…
Wi‑Fiでも繋げれば、ウェブページ見ながらだらだらできるのに…
まあ、まだ朝だからそんなに暑くないのが救いだ。
街には二本の川が流れてる。
一つは街の中心近くで水運&観光スポット、もう一つは郊外で釣りや子供たちの遊び場だ。
風情もあるし、人間観察にも面白い。
メインストリート沿いには、狼の頭や炎、キノコ型に刈り込まれた珍妙な生垣があって、
これが職人のセンスなのか、土地の風習なのか謎だった。
ちょっと散歩した後、公会に寄って朝食ついでに冷房(正しくは「氷属性+風属性魔石式空気循環魔道具」)を拝借する。
ここは冷房機の設置が高価なせいで、公会・宿・ジョンおじさんのバーだけにしかない。
ちなみにバーは今休業中だった。
公会に入ると、ドリンク頼んで居座ってる輩がいたり、既にぐでんぐでんに酔って寝てる人がいたりして、
雰囲気が昨日とは段違いに明るい。
で、取りあえず依頼掲示板へ。
依頼欄を見ると、そこには一枚の手書き告知が貼ってあった。
「なんだこれ…?」
掲示されていた内容は――
【ヴァルゼグラード王国冒険者公会 レッセニア支部告知】
【列セニアウサギ魔物 緊急保護通達】
“草原に広く分布する列セニアウサギ魔物が、異常な速度で激減しています。公会の魔獣エコチームが調査した結果、この種は絶滅寸前と判断されました。”
“原因は安易な『ウサギ燻し作戦』によるもの。刺激性ハーブ(爆鼻草、獣芥、涙葉草など)を燃やしてウサギを巣穴から追い出し、一網打尽に狩る方法。効率は高いが、生態系に以下の影響が出ています:”
“・種の継続的な非自然淘汰 ・巣穴が放棄・移動 ・食物連鎖の破壊初期段階”
“ゆえに、当支部は全ての列セニアウサギ魔物依頼を停止します。討伐・誘導・囲い込み・取引・購入行為を凍結。
回復可能な個体数に戻るまで解除しません。”
1573年7月23日付
――ちょ、マジかよ。
俺がこの方法を使い始めて、まだ二日も経ってないよな?
昨日の“燻しサバゲ”って一体何が起きたんだよ?!
「びっくりだろ、兄弟?」
混じってた傭兵戦士風の男が肩を叩いて笑ってきた。
「俺ら、昨日その方法聞いて、草原直行したんだ。そしたらね、洞窟からウサギがドバーッて出てきて、全滅。あの光景、マジで収穫祭だったぜ。全員が集まった」
「マジで儲かった、俺らのチーム、一人5000ルカ超だった。しばらく豪遊するわ」
俺も思わず素直な顔になってたんだろうな
「なんかさ、妙に親近感あると思ったら兄弟だったんだな!出会いに乾杯!」
「ほんとそれーーー!」と大声上げて笑ってたら、受付嬢までこっち見てた。
「じゃあ俺行くわ。俺は佐藤涼介、よろしく」
「俺はカールスな、じゃあな~」と言い残し、そいつらと別れて、俺は冷房のある席に腰掛けた。
濃厚スープと氷ビールを頼んで、天気も良いし、涼しいし、今日はここで夜までゆっくりしよう――と決め込む。
「なあ、兄弟、ちょっと時間あるか?」
のんびりとビールを飲んでいた俺の前に、カルスが頭をかきながら近づいてきた。
「ん?どうした?」
「そのさ……昨日受けた依頼のことなんだけどさ。」
そう言って、カルスはくしゃくしゃになった依頼書を懐から取り出して、俺に差し出した。
「実はな、昨日まではちゃんとメンバー揃ってたんだけど、あいつ……昨日の稼ぎが良すぎて、今日はあっさりドタキャンしやがってさ。で、今ちょっと人数足りないんだ。兄弟、悪いけど代わりに入ってくれないか? 報酬はそのまま出るし、終わったらうまいもん奢るからさ。どうだ?」
依頼内容は――
> 「カーン村・地下鉱洞 異音多発・村人数名行方不明。5名必須。報酬:一人4500ルカ」
俺は「まあヒマだし…装備替える時間だけちょうだい」と言って、スープ&ビールを片付けて公会を出た。
そこへ――
「ちょっと待って、その人――」
重装備の槍手が追いかけてきて名乗った。
「俺はミーアス。カールスの槍手」
「俺は佐藤涼介。よろしく」
なんか唐突にチームっぽくなって、
「槍を替えるの?」
「そう、鉱洞用に斬槍に替える」
「スキルは?」
「片手剣だけ」
「ぞろっと数字としては低いけど、せめて盗賊スキルとか覚えとけば?」
「まあ考えておくわ…あ!…美女だ!」
「ほんと…スタイルいいな!」
夜も明けぬうちからストーリー展開豊かすぎィ!
隊装に着替えた俺らは、ミーアスと3人で馬車乗り場へ。
カーン村までは30分――ここから本番の依頼の幕開けだ……。
馬車に揺られること30分、カーン村に到着した俺たちは簡単な依頼の引き継ぎのあと、案内人の村人と一緒に地下鉱洞へ向かった。
坑道の入口は思ったよりも広くて、レールが敷かれており、鉱石を運ぶ設備が整っている。
出発前に装備を最終確認し、俺は片手剣と火把を用意。
カールスは盾と片手剣、ミーアスは斬槍で先導、俺の後ろにランサー、最後尾が魔法使いのイリーナだった。
みんな準備万端で、俺は少し緊張しつつもワクワクしていた。
坑道は暗く湿気が漂い、俺とイリーナが火把を掲げて先導。
カールスは盾を構え、ミーアスは先端を探るように斬槍を前に突き出して進む。
ランサーは弓を構え、いつでも射てる状態。
イリーナは後方から魔法と光を支えていた。
しばらく歩いても異変はなく、俺たちは声を潜めながら進む。
「イリーナ、これまで何もなかったな」
「そうですね……このまま進むべきでしょうか?」
さらに進むと、坑道の温度が急激に下がってきた。
俺は冷気に羽織を引き締めながら言った。
「なんか一気に寒くなってる……おかしいぞ」
ミーアスも顔を近づけてうなった。
「確かに、急変してる」
ランサーも夜間視覚を使って、暗がりに何かの輪郭を捉えたらしい。
「俺、見えた……薄暗い、何かの形が」
ランサーが慎重に矢を構える。
その時、火把の光に――恐ろしい影が浮かび上がった。
無数の白い顔がギラッとこちらを見ている。
「うおっ、ゾンビだ!」
カールスが大声で叫び、盾を振りかぶって飛びかかった。
ミーアスも斬槍を一突き、ゾンビの頭を粉砕。
だが彼らの奥から、さらにゾンビたちの腕や顔がうねり出してきた。
「ぎゃあああああ!」
俺は予備の火把に火を灯しつつ、遠くへ投げて火の壁を作った。
火把が着弾した場所では、ゾンビの群れが密集し、まるでホラー映画だった。
「くそ、なんでこんなにいるんだ!?ただの依頼じゃないぞ!逃げろ!全力で逃げよう!」
俺は叫びながら仲間に知らせた!
カールスとミーアス、ランサーは後退しながら敵を押さえ、イリーナも魔法で援護。
そこからは生き馬の目を抜く逃走劇。
坑道をダッシュし、光の見える地点まで必死に走った。
ゾンビは追いかけてこなかったが、叫び声と影が迫ってきて心底ビビる。
「逃げろ!」
「やべぇ、こんな数初めて見た!」
「死ぬ死ぬ!どうすんだこれ!?俺死ぬ!??」
立ち位置や息遣いがバラバラになりながらも、俺たちは村外まで脱出できた。
村門前で膝をつきながら息を整える俺たち。
「……マジで死ぬかと思った」
イリーナも震えながら呟いていた。
「俺とミーアスはマジでやばかった、ゾンビが腕かかりそうだった」
「言ってよ……私、死ぬかと思った」
カールスとミーアスは、ユンユン震えている。
「完全に予想外だった……」
最後に俺がまとめると、全員がだんまりになった。
俺たちは急いで村に戻り、村人に注意を促してから公会へ駆け込んで報告。
公会職員もゾッとした顔で聞き取り、すぐに報酬を渡された。
俺たちは精神的ダメージを癒すため、ご褒美にご馳走を頼んだ。
「やべぇ……死ぬかと思った」 「俺も!マジ、死ぬかと思った!」 「もう、あの匂いが、体から離れない……」 飯を頬張りながら震える声で皆がつぶやいた。
その後、カールスとミーアスが風呂屋行き、俺とイリーナとランサーは宿舎へ直帰。
…俺はベッドに倒れ込むと、柚花に笑顔で迎えられた。
「おかえり、どうだった?」
「いや、命からがら帰ってきたよ……」
「そ、そっか……」
柚花は心配そうに近づくが、俺は即答せず、疲れて眠りについた。
結局、俺はあの夜、眠れる気がしなかった――恐怖と緊張が抜けなかったから。
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