着信アリ One Missed Call
如月久幸。
霊能一家如月家の当主で、鮫島と契約関係にあり、かつ寺生とはライバルであった派手で自信家の霊能力者――だった。
山頂に辿り着いた俺たちの前に鮫島、愛理、古賀と共に現れ、半魚人や透明人間を召喚させて戦ったが連敗し、仕込み銃を使って直接攻撃を試みたがそれも失敗し、最終的におタカさんの呪力無効というスキルを持っているのを見込まれて古賀のスキルを奪うサメに飲み込まれる最期を辿った男である。
その彼から、着信だと言う。
「何ですかァ? 『ホラーな着信をさせて友達を怖がらせましょう!』ってヤツですかァ!?」
「……何だろうね。ビデオ通話だな、取り敢えず出て見るよ。スピーカーにするし、君たちも一緒に見るといい。一旦休戦だ」
その言葉と共に群がっていた蝙蝠はいなくなるが、代わりにいつの間にか現れた愛理が利人の首に爪を回す。
「下手な真似したら首から上がミンチにナリマスカラネ♪」
「……全く信用されてないね」
「あくまで保険です。悪く思わないでください――出ます」
通話ボタンを押す。
しかし、画面は暗くて何も見えない。
「もしもし? どなたですか? 如月さんのスマホですよね?」
『ああ、オレオレ』
往年の詐欺師みたいな返答の後で、カチリと音がして画面の向こうで無精髭を生やした長髪の男の顔が真下から照らされる。懐中電灯をつけたらしい。
「寺生さんじゃないですか。逃げたんじゃなかったんですか」
『だからオレは逃げねえって言ってンだろうが。これ、如月のバカが腰を抜かした拍子に落としたみたいでさ、何かに使えるかと思って拝借しといたんだヨ。良かったわ。オレ、オメェの連絡先なんて知らねェしな。ちなみにこの懐中電灯はここに来る途中の山小屋から持ってきたやつな。鍵かかってないってことは、自由に使っていいってことだもんな』
「……貴方は手癖が悪すぎる。それで、なんですか? 大して用がないなら、これで。生憎こちらも取り込んでいるものでね」
『大した用があるからかけてンだろ。じゃあ本題に入るゼ――うえ~い! 村長サン、見ってる~?』
寺生の口調がガラリと変わる。
「唐突に何ですか。さっきまで普通に話していましたよね」
極めて冷静に返す鮫島だが、寺生は構わずに続ける。
『今回は、村長サンが大事にしてる祠に関して重大発表がありま~す! ここ、どこだと思う~!?』
寺生が画面奥に懐中電灯を向ける――
そこに、祠があった。
相当な年代物らしく、半分ほど朽ちてしまっている。
今まで俺たちが見てきた祠とは、明らかに趣が違う。
「そ、それ……」
鮫島が目を剥く。
俺は初めてこの男が目を開いたのを見た。
『そう! この山で一番最初に作られた、オリジンの祠で~す! つまり、元々この山を支配してた『存在』を封じた、とっても古い祠! 迷彩シートで巧妙に隠されてたけど、全部剥がして晒しちゃいました~!』
続いて懐中電灯は寺生が手に取った迷彩柄のシートを照らす。
かつて古賀がそうしたように、鮫島もこの古い祠のことは隠していたらしい。
しかし寺生は全ての祠の場所を暗記している。
その祠に何が封印されているのかも含めて。
「き、君、それが何なのか――いや、自分が何をやっているのか分かっているのか!」
『今回は、村長サンが大事に大事に隠していたこの祠――破壊していきたいと思いま~す!』
「やめろ馬鹿!」
叫ぶ鮫島。
今まで冷静で余裕だったのに、今はその両方ともなくしてしまっている。
「それは駄目だ! 駄目なんだよ! お前、そんなことしたら全員死ぬんだぞ!」
『――今さら何言ってンだよ馬鹿野郎』
寺生の声のトーンがグッと低くなる。
今の今まで軽薄なチャラ男の芝居をしていたのが、素に戻ったらしい。
『全員死ぬだあ? そうだよ。ずっとその状況でオレたちは戦ってきたンだよ。オメェが始めた物語だろ。こっちはなァ、いつ死んでもおかしくない、殺るか殺られるかって状況を何時間も搔い潜ってきたんだ。唯一違ったのはオメェだけだ。召喚モンスターが絶対に自分を傷つけないって分かってるからって、安全圏からヘラヘラと人の命を弄びやがって――それでいざ自分の身が危険に晒されそうになったらそれは駄目って、我儘が過ぎんだろうが!』
寺生の啖呵が夜の静寂に響く。
「い、嫌だ! 死にたくない死にたくない死にたくない!」
『言えたじゃねェか。そりゃ死にたくねェだろうよ』
それから数秒とせず、寺生は件の祠を蹴り壊す。
「ああああああああああああああーーーーーーーーっ!」
両手で頭を抱え、その場で膝を付く鮫島村長。
「もう駄目だ! お終いだあああ!」
鮫島はスマホをその場に投げ出して脱兎の如く逃げ出す。
『――って、オイ! 逃げるな卑怯者! 逃げるなァー! 人と化け物をオモチャにした責任をとれ! どれだけ凶暴で人の命を奪った存在だってな、弄んでいい命なんてこの世に一つもねェんだよ! 神の真似して烏滸がましいのはオメェの方だろうがーッ!』
寺生の魂の叫びは、恐らく逃げ出した鮫島には届かない。
『あとその『存在』は瞬間移動するから、逃げ場なんてないぞ』
最後にポツリと呟く。
数秒後、鮫島の叫びが数メートル先から聞こえてきた。
着信アリ(2004) 原作:秋元康 監督:三池崇史 主演:柴咲コウ
#イルカ「家でもパーティでもエッチな服を着て友達や家族を怖がらせましょう!」
#NTRビデオレター
#進撃の巨人(お前が始めた物語だろ)
#ファイナルファンタジーXV(言えたじゃねえか)
#ドラゴンボール(もうダメだ……おしまいだぁ……)
#鬼滅の刃(逃げるな卑怯者!!)




