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6.「男女はダメでも男男ならなにも問題ありませんわジュルッ」「「ごぱっ」」←追い打ち

「そろそろコタツ出そうかな……」

「今は五月ですが」

遊戯部部室。ある日の放課後に、私は部室棟二階にある遊戯部(ゆうぎぶ)という部活の部室で鳥せんぱい&こみちくんと七並べで遊んでいる時、部長であるともせんぱいから衝撃てきな発言が飛び出したことで思わずツッコミを入れてしまった。


「次はみかんの番だぞ」

「ああはいわかりましたって違いますよ!続けないでください鳥せんぱい、今現在ともせんぱいの脳ミソが半分溶けてるんですよ!?」

「みかんさんって時々けっこうヒドイこと言うよね」

いやいやこみちくんよ。そうでもなきゃこの時期にコタツを出そうなんて言わないでしょうに。

五月ですよ?


「ふふ、みかんさん。そんなにビックリしないでくださいまし。ともちゃんがおかしいのは今更ですわ」

「それもそうか」

気にしたら負けってことですね分かります。


「まあ待て、私も錯乱したわけじゃないんだ。みかん、コタツとはどのように使うのが正しいのか言ってみろ」

「冬に暖を取るものでは」

「甘いな。それでは半分正解といったところだ」

何を言ってるんだろうこの人は。


「残りの半分はな、我慢大会をするために使うべきだろう!」

「錯乱してるじゃん!」

うっすら汗ばんで来るこの時期に我慢大会なんて嫌です。更に夏が嫌いになります!

というか冷静になんで五月?


普通夏真っ盛りにやって、暑い暑い言って死にかけるのが恒例では?

「みかんさんもトチ狂い具合ではともちゃんに引けをとりませんわよね」

なんてことを。

それとななせんぱい、多分お嬢様はトチ狂うとか言っちゃいけないと思いますわ!


「みかん、よく聞け」

「な、なんでしょう」

「夏真っ盛りに我慢大会なんてしたら危ないだろ」

うわっ、まともな事言いましたね。私が間違った認識を持ってるみたいに言わないで下さい!


「みかんさん、七並べ……」

「こみくんしゃらっぷ!」

「はい」

素直でよろしい。


「ともせんぱいが私をかわいそうな人を見る目で見てるーっ!?」

「危険じゃない我慢大会をするからコタツを出すんだぞ」

改めて説明されてしまった。

危険じゃない我慢大会なんてスリルもなく勝敗もつきにくいのでは。


そんなことを思っていたら、いつの間にか机の上のトランプを片付けて鳥せんぱいまでもコタツの設置に取り掛かり始めてしまった。

え、今やるの?そろそろって今日のそろそろ?時期的なそろそろではないの?うーん、そろそろうるさいなソロじゃないやい友達いるもん!


設置に慣れているのか、今まで使っていたちゃぶ台をひっくり返してコタツ机を設置、こたつ布団をかぶせてコードをつなげて、気づけばそこは冬のリビングとなった。

はっや!


「うむ、よくやったぞ。ななえ、カラス。貴様らには後で柿ピー(わさび)を進呈しよう」

「わが主君の仰せのままに!」

ああ、柿ピー(わさび)で鳥せんぱいが下僕に……。それ(貧乏)さえなければイケメンなのに。


「あとは、君たち一年ズであるみかんとこみちは初参加だったな。あとは……りんかは来ていないようだから先に進めよう」

こういう時を見越してたまにしか来ないのかなりんかちゃん。

「恒例行事と言っても差し支えない、我々[時計館]の伝統行事でな。昔は火あぶりや生前火葬(婉曲表現)に耐えるための訓練だったものが、この我慢大会として受け継がれている」

マジで何言ってんだこの人。


ちなみに[時計館]とはこの遊戯部の別称です。部長であるともせんぱいしか使ってないし、中二病モードの時はリーダーと呼べとか言ってくる。メンドイ。


「つまり!尋問や拷問に耐え、この[時計館]という秘密組織を裏で支えた工作員たちの訓練がこの我慢大会である!」

「はい、リーダー」

「なんだこみち!」

中二病モードのルールが守られてしまった……。


「優勝賞品はあるのでしょうか」

「あるぞ」

あるんかい。

尋問や拷問に耐える訓練はどうしたんですか。

「現代日本にそんなのあるわけないだろう。大丈夫かみかん」

うがぁーっ!

粟田みかんは いかりによって 全ての力を 解放した! マダンテ!


「よしよしみかんさん」

「うわーんななせんぱいー!」

ななせんぱいの豊満なお胸が私の怒りと涙を溶かしていく……。これが至福か。

私のMP(メンタルポイント)が回復しきるまでかわいそうな人も見る目をやめてくれなかった。ひどすぎる。

ちなみにマダンテで吹っ飛んだのは近場のこみちくんだけでした。ご、ごめん足あたっちゃった……。


「ともかく、開始から三十分間耐えられたら商品をあげよう。参加賞だ。だが、優勝すれば一応参加賞とは別物の"イイモノ"をあがえよう」

ええー、やる気起きないなぁ……。

「こほん、えーこれは独り言だが……。スポンサード・バイ・一番ヶ瀬(いちばかぜ)

「やったらぁ!」

せっかく愛すべきともせんぱいが企画した遊びだし、やらないわけないよね。冷静に考えて。


ななせんぱいはガチお嬢様、優勝賞品は豪華に違いない!

本人もドヤってるし!


って鳥せんぱいがエアコンつけた……暖房もあるの?

「もちろんだ。……おいみかん、そこの席は俺のところだ」

「場所決まってるんですか?」

去年もここに座ったのかな。


「ヒーターが一番遠い」

外道じゃん。


「ってあれ、そういえばここ四面だよカラス」

「さすがはこみち、いいところに気づく。今我々は五人、コタツは四面。ならどうするか。敗者を二人決め、その二人は一面に隣同士または膝乗りで実行してもらうぜ」

えヤダ。男とそんなに密着したくない。


「「ガハッ」」

もしもし救急車?死亡者二名です、搬送ヨロでーす。

「まって下さいましみかんさん。確かに男女でそういうことになるのは大変いかがわしく、ダメですわ」

ほうほう、何か他に方法があるので?


「男女はダメでも男男ならなにも問題ありませんわジュルッ」

「「ごぱっ」」←追い打ち

もしもし救急車?霊柩車に変更は可能ですか?


ななせんぱいは()の面を持ち合わせているだけの普通の量産型お嬢様です。

「みかんには悪いが、ここはこの割り箸クジで決める。先端が赤く塗られた割り箸が二本入っているから、それを引いたペアが残念ながら同じ面で耐えてもらう」

ぐぐぐ、嫌だ。けど参加しないってことはできない。なんたってスポンサード・バイ・一番ヶ瀬だから……!


「では全員せーので引くんだぞ。せーのっ」

私のこの手が黄色に光る!勝利(ひとり)を掴めとちょっとだけ叫ぶ!ばぁぁぁぁくねつっ!みかんフィンガーァァァアアァッ!

キラリ。ほんの少しだけ、道筋が見えた気がする。


勢いと共に引き抜かれたその割り箸には、私の熱意に反応したかのように赤色が塗られていなかった。

つまり、こういうことだ。

「ヒイィィィト、エンド!」

私は今、最高に輝いてる……!嵐の中で輝いている!


さて、被害者は誰かな?

「ふむ、私か……」

「俺か……」


………………む?なんか一番怪しい組み合わせになった……?

「ではカラス。私が行くから横を空けてくれ」

「あいよ。どうだ、入れそうか」

「ああ、私はこれでも結構細身だぞ」

「にしてもまだ暖房だけだがかなり暑いな」

「そうだな」

ガチャーン、セット、イン。


あれ、なんかすごい二人とも全然抵抗ないの……?

その様子にびっくりした私にこみちくんがこしょこしょと小声で教えてくれる。


「実はカラスはかなり女慣れしてるんだよ。顔立ちだけは立派だから、告白もされ慣れているんだ」

なーるほどね。

で、ともせんぱいの方は普通にちょっとアタマが残念だから奇跡的に問題が何も起こらないペアになったわけだね。


そういえばこみちくんは鳥せんぱいと幼馴染ってヤツなんだそうで。一年生と二年生だけど、どっちも遠慮なくため口なのはそういうことです。説明不足はギルティ。


そんなわけで残り空いた三面に、私とこみちくんとななせんぱいが着席した。

「開始前最後の確認だ。各々、飲み物は持ったな?」

さっき配られたポカリを卓上に置き、準備万端とばかりにサムズアップしてみる。

「それではスタート(カチッ)」

「一応言っておくが、具合が悪くなったら直ぐに出て水をがぶ飲みしろよ。安全第一だ」

流石は常識人枠。言うことが正確です。


段々と熱くなる足元、段々と暑くなる室温。

五分少々しか経っていないながらもつらくなり始めた。

「暑いな」

「暑いですわ」

「暑い」

「暑いねー」

「暑い―」


さてゲシュタルト崩壊のお時間です。

誰がどの順番で言ったか分かるかな?……はい、正解。

鳥せんぱい→ななせんぱい→ともせんぱい→私→こみちくん。全問正解したあなたには五みかんポイントが入ります、おめでとう!

え、ポイントがたまったら何が出来るかって?

えと…………………魚の捌き方教えてあげる。


十分を過ぎ、みんながみんな額に汗し始めた。使い方が違うかもだけど、実際に汗の玉が顔についている。

室温計を見るに部屋の温度は三十五度を超えていた。華氏で言うなら九十五です。


「カラス、最近はご飯食べれてるか?」

「ともかに心配されるほど俺は切羽詰まっているかに見えたか」

「それはそうだろう。なんで柿ピーあげるって言っただけで主君呼ばわりされなきゃいけないのか」

「貴重な栄養源をくれる主様(あるじさま)だからだろ」

「そういう性癖なのか?」

「俺に性癖を聞きたいならせめて恋人になってから言え」

「ハイハイワカリマシタ」

「適当だな。ともかは俺の事嫌いなのか?」

「好きか嫌いかで言えば嫌いではないな」

「答え方が詐欺師だな。正確に答えも出さずに曖昧な部分で留めておく、そんな手法が」

「カラスを好きになれる女の子は幸せ者だな。中身も知らずにツラだけで恋できるんだから」


うぅぅぅぅううぅん……。

仲がいいのか悪いのか私には判別できない……。険悪ムードではないことは分かるけど、なんかこう、夫婦感がある……。二十年目あたりの、子供が反抗期終えたくらいの……。


「ムカつきますわね」

ムカっ……!?え、どうしたのななせんぱい?怖い。

「そう思いませんこと?なにやら知的でインテリジェンスな会話を繰り広げられると、わたくしもその舌戦に飛び込みたいと思いますの」

ちてき?いんてりじぇんす?

え、ただ性癖を暴露しかけたイケメンと中身を侮辱した美女の構図ですが?


「なんかこう、やり取りがアメリカンな感じでズルいですわ」

やだなにこの人。昨日アメリカンな映画でも見てしまいましたの?

「最近わたくし、少々『マッドマックス』にハマっておりまして……」

このお嬢様、趣味が男過ぎる。


結構守備範囲の広い私でもマッドマックスには手が届いていないのに。

……ななせんぱいのことだ、家にプロジェクターでもあるんだろうなぁ。

「ただのテレビですわよ」

テレビ!?お嬢様ですよね?

「三十二インチの」

三十二インチ!?ナンデ!?ニンジャナンデ!?


「わたくしは本家から離れて一人暮らしをしておりますの。初期費用はお父様から少々頂いていますが、他は毎月仕送りの十五万円の中から家賃を除いたすべての費用を賄っておりますの」

なんてこった。

詳しく聞けば社会経験であり、庶民的金銭感覚を失わないようにするためだとか。

これは大ニュースです。クラスのみんなが聞いたらどういう反応をするのか。


私、気になります!

瞬間、私の目は光輝き世界には私と少年だけになり、バイオリンは鳴り響いて私たちを色とりどりの植物が取り囲んだ!

「世界には人がいますし、バイオリンの音色の代わりに空調の音が響いてますし、植物は部室にありませんわ。ついでのみかんさんの目は濁っています」

「ひどい!」

確かにちょっとだけ悪いことは考えましたけど……。でもななせんぱいの秘密はこの学校をひっくり返せる秘密です。


そんなやりとりにヒートアップした体は熱を持つ。

てかあっつ!気づいたらあっつい!


「誰だこの足」

「すみません、ぶつかりました」

「男なら胡坐で座れ」


そんなあついやり取りがともせんぱいとこみちくんの間で交わされる。

残念系とはいえ美少女と同じ空間に足入れて、その上ぶつかっちゃった☆イベントを挟むこみくんは、結構主人公体質なのではないだろうか。影薄いけど。


「胡坐は暑いんですよ」

「私の柔肌に触れるなど十年は早いぞ」

「まあまあリアルな数字ですね。十年先は二十五歳と二十六歳ですよ」

「ふむ……。その頃には結婚していたいな。では今のうちにツバつけておこう」

「今日中にはもうシャワーで洗い流しておきますね」


こみくんつよい!

私が男の子だったらここまでの美人にツバつけとく、なんて言われたらグラリと傾くけどな。

でも中身知っちゃってるしね。しょうがないね。


「おいななえ。もうボトルが空じゃないか。俺が水を取ってきてやろう」

「いえいえ、お気遣いなく。()()()取りに行けますわ。なんならカラスくんの分も取ってきましょうか?」

「いやいや、淑女にパシリみたいなことはさせられないさ。()()パシリになってやろう。ボトルを寄越せ」

「あーら。カラスくんはわたくしに何度か買い物(パシリ)を頼んだことありますわよね?どの口が言いますの?」

「その時の俺とは違うんだ、改心した。だからこそ誠意の見せ所なんだ恥をかかせてくれるな」

「それで言うなら既に恥まみれですわよ」


殺伐とした会話に部長(リーダー)※中二病 が!

「しずまれぃ!」

お腹から出したであろう、よく通って響き渡る声だった。

ライブ会場でアーティストから受けるあの体を突き抜ける衝撃、音。それがいま響いた。


「私がみんなの分を取ってこよう」

「お前はもう黙れ!」

「見損ないましたわ!」

「うるさい!リーダーとして、ここは私が行ってやると言ってるのが分からんか!」

駄目だこの人。早く何とかしないと。


ぎゃいぎゃいぎゃいぎゃい。


大人げない。

大人げない、なんていっても一つしか歳が変わらないんだけどね。誕生日によっては同い年になることだってあるし。


「みかんさん、そこのお菓子ください」

「これ鳥せんぱいのだよ?」

「いいんじゃない?」

「たしかに。この熱気じゃ溶けちゃうしね」


ポキッ、パキパキ、もぐもぐ。

なんで細長いクッキーにチョコを纏わせただけのこんなものが美味しいのか。謎だわー。

自然に手が進む。

二本、三本と私とこみくんの口の中に放り込まれるお菓子を他所に、先輩方三人は円陣を組む様に手と手を繋いで押し合いをしていた。

視方を変えれば恋人つなぎってやつですぁ。

でもそんなの気にしてないどころかヒートアップなう。


「くははははは!哀れだなカラス!女である私を突き放す事すらできぬか!」

「お前魔王みたいだな!?ってかマジで強ええ!なんだお前ら!」

「淑女たるもの筋トレはしておりますわ!あなたたち鍛え方が生ぬるいのではなくって?」

「やべぇ!ななえに握られた右手が粉砕される直前だッ!」


バトル漫画かな?

カカロットとベジータの掴み合いでも粉砕はしてなかったよ。……例えが古いかな。

なんて考えていたらもうお菓子がなくなった。

私が目くばせをすると、こみくんはコクリと頷いてスーっと静かに消えて(去って)いった。

すごい、既に気配がない……。これが影の薄さたる所以か……。


あえて能力の名前を付けるとしたら、神様の不在宣言パーフェクトプランニングと言ったところか。うん、しっくり来た。なんだか本物の漫画で人間サイズのカメレオンが使いそうな能力だなぁ。


前方と左側で行われる醜い争いを見て、私はポカリをごくりと飲み干した。

うまいわー。

ところで、取っ組み合いしてる三人はめっちゃ汗だく。

例えるなら、夏なのに暖房つけてコタツに入っているかのような…………今まさにその瞬間、だと?改めてイカれてますよ、ともせんぱい。


「みなさん、あたらしいお菓子と飲み物ですよー」

なんて言っていたらこみくんがお盆に乗せて運んできた。

やったー、新しいポカリだ!


「「「………………あざっす」」」


大人げない戦いはここに幕を閉じた。





「と、いう訳で。優勝は天ヶ谷(あまがや)こみち選手です」

「えへへ、どーも」

どうしてこうなった。


いや、ここは私が主人公補正で勝つところでしょうよ。

ともせんぱいは伝統行事を行えて満足そう。

ななせんぱいは力を証明出来て自慢げ。

鳥せんぱいは開始前にもらった柿ピー(わさび)を大事そうに鞄にしまっていた。

こみくんは優勝賞品もらってるし。

私だけなんも得してなくない?


「さて、開けてみなさい。ななえが用意したもので私も中身を知らないんだ」

「ふふふ!びっくりしすぎて腰を抜かさないでくださいまし、こみちくん!」


うん、箱の大きさを見るかぎりだと教科書よりもちょっと大きいサイズ……。B5よりも二回りくらい大きい感じかな?

薄さは30cmくらい。こみちくんが持ってるのを見る限りそこまで重くもなさそう。


しゅるしゅると紐を解いて、箱を空けるこみちくんをななせんぱい以外が見つめる。

「じゃ、開けます。おーぷん!」


バッ。

"熱☆裂!白い天使VS赤い流星、禁断の交わい。~ぼうやだからさ~"

パタン。


……部屋に訪れる空気。

世界よ、どうか時を動かさないでください。このままだと最初に発言者がいたたまれなくなる!


「どうですかこみちくん。それはC82で発売され、たった五十部しか刷られていないにも関わらず世界中のファンが熱狂して急遽増刷したほどの超超超超レアものですわ!」

なにそれぇ。

そして熱量がヤバイ。さっきの部屋の中みたい。いまはクーラーで元の温度に戻ってきてるけど。


「ほお、初版はプレミア価格で五百万越え………………ん?」

「へえ。そんなレアモノなん…………だ」

恐る恐る箱を空けて"熱☆裂(以下略)"を取り出し、裏表紙にある版数を除くこみちくん。


確認。……あ、もどした。で、紐かけなおした。

そのままテクテクと歩いて、ほぼ使われていない金庫に近づき箱をそっと入れて鍵をかけた。


「遊戯部の家宝にしましょう」

「こみちくんは心が清らかで素晴らしい人間ですわ!実はちょっとだけ手放すことをためらっておりまして……!」

「おいおいおいおいなんだその反応!まさかガチなのか!?」

「まてこみち。遊戯部ではなく[時計館]だと何度も……」



こんなことばっかりやってる毎日です。

我慢大会は、終わった後にやってきたりんかちゃんの「……くさい」の一言で各々の心を砕き、ファブとリセッシュを完備のうえ実施する運びとなった。

参加賞であるちょっとだけ高いアイス(ハーゲン)を貰ったから私的にはほんのり満足でした。


金庫に保管されたブラックリスト(BL)本は生活が困窮した際に支援する物資だ!とかなんとかともせんぱいが叫んでた。

いつかあれが売られることはほぼ確定なのか……。


今日も遊戯部は平和です。

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