第15話 『 Back to the meat 』
※注意※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、事象とは無関係です。
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「━━━━━!!!」
水中から大気へ顔を出すようにして突然目が覚めた。
顔面から足先まで意識が通って巡り、自分の物だと感じる。
目も耳も鼻も口も、身体中が新鮮に空気に触れる感触が気持ち良くて、動かしたくて、ワタルリは確かめるようにして自分の声を聞いた。
「…死ん…だ…? ……死んでる……あれ?……」
死んでるのに死んだとはどういう事だろうと変に思ったがどうでもいい。
いや、自分は死んでいるのか? 今自分は自分として存在している。
夢を見ていたのか。
いや、今そんな状況だろうか。
「なんだ今の……何を見た……?」
辺りは真っ暗だ。
ここはどこだろう。
━━━━━俺は学校の帰り道で、夕暮れが暗くて
いや、違う。思い出した
石造りの建物の中だ
ここで魔法少女っぽい3人に会って。で、━━━━━━━━━━思い出したくない
とにかく殺された
「……地下室…」
手足に感じる、冷たく硬い岩の感覚。塞がれた空気感。
真っ暗闇で分からないが、「あの時」の地下室と同じだ。
意識がオカシクなる前と同じ状況だと認識を再構築する。
だがここまで周囲の状況が分からないのは何かおかしい。
死んだ状態のあの時、いわゆる幽霊として自分はあの時存在していて、なぜか真っ暗なはずの地下室の状況が視覚的に認識できていたはずで━━━━━
「…あ、…あれ? ……おーい。……ネコミミくん……?」
ネコミミの子供がいたはずだ。日本語が話せて、なんかほっとするような、不気味なような、可愛いような、変な子供が。
だがワタルリの呼びかけに返事はない。
他にも見たはずだ。黒い髪の、白い肌の、少女。たぶんもう生きていない、死霊の少女。あの子はやはり幽霊だろう。この地下室で虐殺されて死んだ少女かもしれない。
「━━━━━……あ? 」
ワタルリは微かな微振動を感じて視線を泳がせた。
溜まった大気が微かにるる得たような、岩の地面が少し揺れたような、あまりに微かな振動。
それに音も聞こえる気がする。遠くで嵐の風が吹くような、遥かに波の音が聞こえるような、何ともいえない微かな音が。
━━━━━どこから聞こえるんだこれ……なに……? ……………
音はどの方向からということもなく聞こえるが、特に大きく聞こえる方向へ向けて這うように暗闇を移動する。ハイハイなんて久しぶりにやったわとかどうでもいい感慨が湧いてくる。
手を突き出して探っていると壁に当たった。いや、ドアだろう。触ったり叩いたりするうちに質感でわかる。金属の扉だ。
取手らしい物を掴んで捻ると外側に開いて、遠くから聞こえる何かの音がはっきり聞こえてきた。急に空間が遠くまで広がるのを感じる。音の反響や空気でわかるのだ。辺りは真っ暗だが、通路だと思った。
「……? ━━━━━ッ!」
ワタルリは地下室から出れたのだ。その事実に遅れて気付いて驚いた。
なぜ出れたのだろう。━━と、思うのとは別に引っかかる違和感があるが、何か分からない。いろいろと訳が分からなすぎた。
「…えーっと…たしか、なんか出れなかったはず……出れなくなるお札? か何かが貼ってあって……てゆうか…?……… 」
━━━━━出れたんだからもういいか
とにかくどっか行こう。もうここは嫌だ
ワタルリは一度振り返り地下室の中の気配を確かめたが、ネコミミくんは居ないみたいだ。
彼は一体何だったんだろうと、ワタルリの心に残るものがある。
全部、夢か何かだろうか?
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暗闇の通路を四つん這いで進み、その先も真っ暗な長い階段をハイハイして登る。
「なんか情けないなこれ…」
しかも意外と膝が痛い。でも真っ暗闇で立ち上がるとグラグラするから這うしかないのだ。
上へ行くにつれてなんだか喧騒が大きく聞こえてきた。
不穏な予感で足取りが重くなるがこのままここには居たくない。
暗闇の中で遠く通路の先から聞こえてくる微かな騒音に聞き耳を立てながら、ワタルリは神妙な顔をして慎重に一歩一歩の歩みを進める。
━━━━━…
━━━━━………
━━━━━…これって…………
爆発音や建物が崩れるようなイメージの音や揺れ。
ワタルリが今までの人生で感じたことの無い質感の騒ぎだが、少しづつそれが大きくなる。震度3〜4くらいの地震に近い揺れと音を感じると、けっこう危険な感じがしてきて心臓がバクバクしてきた。
ヤバイと感じる。どこかで危ないことが起きているとしか思えない。物音だけならまだしも、大勢の大声らしき喧騒が間断なく聞こえるのだ。 耳をすませて集中すると、どうも大勢の人の声や物音のようだと思える。争うような声や、物がぶつかり壊されるような物音。そうすると真っ先に戦争のイメージが湧いた。
━━━━━ここに居たらマズイんじゃあ…ーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!
━━━━━〜〜〜〜〜………ーーー━━━━━ーー
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一瞬、自分がどうなったかわからない。気がついたら仰向けに倒れて動けないでいる。
途方もない重量を感じさせる轟音を轟かせて壁か何かが崩れ落ちた。腹の底が冷えるような重量の音とともに暗闇が爆ぜて破られ、赤々と差し込んだ光の明滅にワタルリは目がおかしくなってバランスを崩し、床がズルンズルン縦横に揺れて天地が分からなくなるほど何度もひっくり返ったのだ。
「━━ッッ!!!!!???」
仰向けに倒れたまま頭をもたげたワタルリは周囲を見るが、状況がよく分からない。
視界が明るくなって土埃か何かモヤモヤしているのが見えるとともに、運動会の殺し合いバージョンような大歓声が頭上を一瞬で満たした。背骨まで響く騒音で思考が吹き飛んだワタルリは縮こまっているしかない。
意味不明な万雷の爆音と大勢が吠え叫ぶ喚声。
身の危険を感じる音々が支配する空間が闇の開けた先にある、そうワタルリは察することができているが、しかしそれを覗かずにはいれなかった。
崩れた岩壁から身を乗り出して見ると、瓦礫の粉塵が過ぎ去って視界が開け、視界に満ちた炎の明かりがワタルリの目に滲むようにして景色を広げた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━外だ。
…あ〜なんか…なんか、すぐ下にこれ…
いいねとか何とか…あ〜なんだろこれ
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