高木 瀾(らん) (6)
「だから、対象は、どこだ? はぁっ?」
「寛永寺僧伽」の「護國院」とやらのリーダーが無線通話でどなり散らしていた。
携帯電話の画面を観ると……。
『対象の位置は判りますが、そちらの位置が不明です』
しまった……。
今使っている通信アプリのMeaveは、あくまで一般向けの携帯電話アプリだ。
当然ながら、プライバシー保護その他の観点から、こちらの携帯電話に搭載されてるGPSの情報が他人に送信される訳じゃない。
『俺の携帯のGPSは登録されてる筈だ。それで俺達の位置を特定しろ』
続いて「入谷七福神」の御老体の片方からのメッセージが表示される。
『すいません。私ら、元々は、イベントの撮影チームなんで、その手の機密情報を知らないんです』
ドローン操作チームから更に返信。
「何で、こうなった……?」
「自警団を始めた頃を思い出すな、兄弟……」
「御徒町は、3つの『自警団』が共同で治安維持活動をやってる区域だって聞いたが……」
私は、ある疑問を口に出した。
「それが、どうした?」
「御徒町を管轄してる共同チームだったら、他の『自警団』のメンバーとの連絡網を持ってんじゃないのか?」
「俺達が出しゃばってきたから話がややこしくなった、とでも言いたいのか?」
また、デカブツがブチ切れる。
「ああ、その通りだ」
「ブチのめすぞ、チビ」
「またブチのめされたいか、デカブツ?」
「やっぱり、てめえ、あの時の……」
「とっくに気付いてると思ったが……」
「うるせえぞ、チビ。相手の言ってる事を鸚鵡返しにして論破した気になるのは阿呆の証拠だ」
「なら、事実だけを指摘させてもらおう。あんた達は私達をブチす事が出来なかった。私達はあんた達をブチのめすのに成功した。あと何回、あんた達をブチのめせば、この事実を御理解していただけるのかな?」
「もういい。『護法』を使える奴は、全員、飛ばして、対象を探せ」
先行きには不安しか無かった。




