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君が僕を見つけた。  作者: 長月
10/18

夏休み〈3〉

今回も短いと思います。



 翌日、僕は9時半頃には用意を終えて家を出ることにした。今日の僕の服装はブラウンに裾が白いアンサンブルTシャツに、黒のパンツを履き、黒の斜めがけバックを肩からかけた。2階から降りてリビングの前を通る時に、母さんに声を掛ける。


「じゃあ行って来ます」

「行ってらっしゃーい」


 そのまま家を出て、駅に向かう。自宅から二条院と待ち合わせしている最寄り駅までは歩いて20分の距離だ。

 黙々と歩いて駅へと着くと、待ち合わせ場所であるロータリー前で立ち止まる。腕時計を見ると計算通り待ち合わせの10時10分前だった。そして時計から視線を下ろすと、遠くからちょうど二条院が歩いてくるところだった。二条院はカーキ色の細身のパンツに白のTシャツ、黒のシャツを上から羽織り、僕と似た黒の斜めがけバックを肩からかけている。まるでモデルのような着こなしで、シンプルな装いにも関わらず美形が際立っていた。


「ごめん、お待たせ」

「僕も今来たところだから大丈夫だよ」

「そっか」


 安心したように微笑む二条院に僕も笑い返す。そのまま横に並ぶ二条院と連れ立って、駅の方に身体の向きを変えた。


「じゃあ行こっか」

「あぁ」


 横並びで歩いていると、二条院の方が少しだけ身長が高いことに今更ながら気づく。


「あれ、そういえば二条院って身長いくつ?」

「俺は178。鷹司は175くらい?」

「正解!」

「なんか遠くから見るともっと高く見えるけど」

「そう?」


 スタイルがいいからかな、と言う二条院に思わず笑う。二条院にそっくりそのまま返したい言葉だったからだ。

 ともあれ改札口に着いて切符を買う。電車に乗ると、ショッピングモールまでは3駅あるので隣り合って座った。


「今日は何買うか決めてるの」

「うーん、悩んだけどネクタイにでもしようかなって」

「いいんじゃない」


 頷いて肯定してくれる二条院に微笑む。そうかな、と呟く。


「今更だけど、今日は付き合ってくれてありがとね」

「こちらこそ。夏休みは暇だから助かった」

「暇なの?」


 意外な返答に思わず聞くと、二条院はこくりと頷いて、


「まぁピアノの稽古とかはあるけどね」

「二条院、ピアノやってるの!?」

「あぁ」

「似合いすぎる……」

「何それ」


 ふっ、と静かに笑う二条院。笑われようが、二条院がピアノを弾く姿を想像したら彼のどこか儚い雰囲気にピッタリだと思ったのだ。


「今度ピアノ弾いてみせてよ」

「……いいよ。次は(うち)に来たらいいし」

「いいの!?」

「あぁ、俺も今日友達と遊ぶって言ったら両親に今度家に呼ぶよう言われた」

「僕と一緒だね」

「あぁ」


 思いがけず今度二条院の家に呼んでもらえることになったところで、ショッピングモールがある駅に着いた。2人でホームに降りて、駅から出る。ショッピングモールは駅の目の前、出てすぐだ。ショッピングモールに入ると、ひんやりと涼しい空気が身体を満たした。


「じゃあまずはどこの店見る?」

「1階から順番に見ていってもいいかな」

「もちろんいいよ」

「ありがとう」


 1階から順に紳士物が売っている店を回っていく。ところどころで商品を手に取って見ながら、ぐるりと一周回り、二条院とあーだこーだと言いながら2階と3階も回った。いくつかめぼしい物はあったけれど、いまいち悩んで決められない。 


「うーん、どれが良かったかなぁ」

「2階のあそこの店で手に取ってたネクタイとか、カッコよくて良かったんじゃない」

「そうだね。……あれにしようかな」


 ということで再び2階へと降りて、目的の店へと向かう。先ほど手に取ったネクタイを会計して、僕は店の外で待っていた二条院のところに歩み寄った。


「ありがとう、無事買えたよ」

「どういたしまして」


 時計を見ると、すでにお昼近くになっていた。そろそろお昼でも食べようということになり、僕たちはフードコートへと向かった。






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