決意
光さんのネット小説に投稿した小説を読んでみると、それはもう、凄い物だった。ハラハラもするし、それに何てみずみずしい文章などと僕は思った。これでは僕達が勝てない理由が分かった。さすがは図書館の女神様事光さんだ。
でも光さんのように小説を書こうとすると書けなくなるため、光さんの小説を読むのはこれぐらいにして置いた方が良いだろう。
季節は春から夏へと変わっていき、今は七月になって僕達は夏休みに入った。
そんなこんなで新聞配達の仕事が終わって、僕達は汗だくだった。僕と涼子さんの部屋にはエアコンはなく扇風機しかなくて、これでは熱いのでエアコンの効いている図書館に出かけることにした。
「あーエアコンの効いている図書館は良いねえ。私とあっ君の部屋にはエアコンはないからね」
「経済上仕方がないでしょ。エアコンの光熱費だってバカにならないんだから」
本当に涼子さんの言うとおり図書館はエアコンが効いていて快適な場所だ。早速僕達は受験生なので図書館に行き勉強を三十分小説を三十分やったら、バンドの練習をする事になった。今度やることになった曲はオリジナルを含めてミスチルのトゥモロウネバーノウズやクロスロードを完コピした。
ちなみに勉強には光さんや桃子も燃え上がるように勉強を共にする事となった。小説のアクセス回数は僕が二千で、涼子さんも二千ぐらいで、奈々子さんは千五百ぐらいで、斎藤さんは相変わらず凄く三千を超していた。本当に斎藤さんは凄いな。それよりも光さんのアクセス回数は七千を超えていた。図書館の女神様事光さんは本当に小説家になれるんじゃないかと僕は思った。
でも今は僕達は夏休みを利用して、バンドの活動に勤しんでいた。
「あんた達は受験生だけれども、あなた達の能力ならどこの高校にも行ける力を持っているわ。でも油断は大敵よ。だから、バンドの練習が終わったらまた勉強を再開するわよ」
光さんは言う。
それよりも僕は迷っていた。高校はみんなと同じ安い都立の進学校に行くか、通信制の絵の学校に行くか?出来ればみんなと一緒が良い、そうすれば学校にも軽音楽部があってそこで僕達四人が入って、バンドの練習をする事が出来る。
何かを掴むことで何かを諦めなくてはいけないのか?僕は絵を描くことが大好きだ。実際に僕はみんなには内緒でパソコンのアプリで絵なんかを描いている。受験生がそんなことをしていて良いのだろうか?でも僕達はどこの高校にも受かると光さんは言う。
でもいつもの一時間勉強することは怠ってはいけないと言っている。バンド活動は楽しいし、それに小説だって楽しい。優柔不断な自分が嫌になるくらいだ。
勉強も小説もバンドも終わり、僕は図書館の漫画本を見ていた。これでまた面白い小説が描けることを思うと、何か楽しくなってしまう。
そして楽しい時間は過ぎていきお昼になった。今日は久しぶりに光さんが図書館に隣接するラーメン屋に行くことにした。もちろん、光さんのおごりでだ。
「光さん。お金大丈夫なの?」
と僕が心配すると、「何を心配しているの?ここはお姉さんに任せなさい」
光さんも含めて六人分のラーメン代を払わなくてはいけなくなる光さんだった。
「それよりもあっ君、進路は決まったの?」
涼子さんに言われて僕は迷ってしまっている。
「絵の通信制に行くか、それともみんなと同じ、都立の進学校に行くか迷っているよ」
「もう、いつまで迷っているのよ、さっさと決めてしまいなさい」
そこで光さんが「涼子ちゃん、あまりあっ君にプレッシャーをかけるのは良くないよ」
「でも光さん。そろそろ私達は受験なんですよ。それなのにまだ迷っているなんてあり得ないですよ」
「まあ、涼子ちゃんの意見もモットーかもね」
本当に僕は迷っている。僕は光さんの様に高校生になったら、光さんと同じ図書館の司書のバイトをして、学校に通おうとしている。でもみんなが行く都立の進学校に進学してしまったら、都立の進学校って言うくらいだから、勉強は難しくなり、僕達はもう一緒に勉強も新聞配達も出来なくなってしまうかもしれない。
僕は決断を下さなければならない。今は僕達は夏休みだ。だから新聞配達にも勉強にも小説にもバンドでも気兼ねなく出来る。とにかくあと半年僕は決めなくてはならない。通信制に行くのか、都立の安い進学校に行くのか?
勉強をしていて本当に簡単すぎてつまらない感じがするが、予習復習は大事だろう。とにかく勉強もバンドと同じ少しでも怠ったら勉強が出来なくなってしまうだろう。そうならないように僕達は熱を感じ合いながら勉強に勤しんでいる。
先生は言っていたが、受験生は夏休みが勝負だと言っている。夏休み遊んでばかりいたら、志望校には受からないと言っていた。でも僕達がちゃんと勉強をしていたら、光さんはどこの高校にも受かると言っていた。
だったら僕も志望校を涼子さんや奈々子さんに斎藤さんと同じ学校に行ったらどうかと僕は思う。そうしよう。でもそうなったら、勉強三昧で小説や絵やバンドの練習も出来なくなってしまうかもしれない。でも僕達には光さんが教えてくれた、五分で一時間分の勉強の仕方を教わっている。それを活用すれば、何とかなるかもしれない。
「僕も涼子さん達と同じ高校に行くことに決めたよ」
「さすがあっ君、そうすれば高校生活も楽しく過ごせると私は思っているよ。改めて私はあっ君の意見を尊重するよ」
涼子さんは僕に抱きつきながら言う。涼子さんに抱きつかれると、その大きな胸が背中に当たって僕はドキドキしてしまう。涼子さんは小学生のように小さいが胸がやたら大きいんだよな。それも涼子さんの魅力の一つなんだよな。
ラーメンも食べ終わって僕達は改めて勉強三十分に小説を三十分、そしてバンドを一時間程度頑張って新聞配達の仕事に出かけて行った。進学校に行っても僕達は大丈夫だ。新聞配達も勉強も小説も絵もバンドも出来るようになると僕は思っている。
それよりも夏の新聞配達は暑くて応えるな、でも今日は僕は勝ってみせる。最近は奈々子さんと組む以外は負けてばかりだからな、今日は僕と涼子さんが組み、斎藤さんと奈々子さんが組むことになってしまった。やばいな奈々子さんは新聞配達のエキスパートだから勝てないかもしれない。でも僕は全力を出す限り頑張るしかない。
また奈々子さんに負けてしまった。僕と涼子さんはそれぞれ奈々子さんと斎藤さんにジュースをおごる羽目になってしまった。奈々子さんの新聞配達の腕は大した物だ。いつも奈々子さんと組むと奈々子さんは手際よく新聞配達の仕事をこなしている。でも僕達は最近奈々子さんに勝ったことがない。
新聞配達の仕事も終わって、僕と涼子さんの家に行くと、桃子と光さんが僕と涼子さんのうちに来て晩ご飯を作ってくれていた。
「今日のメニューはそうめんよ」
「そうめん良いねえ。今日は暑くてたまらなくてしかも奈々子さんには負けるし、何か悔しい」
僕が言うと奈々子さんは、「いつもあたしの新聞配達の仕事っぷりを見ているでしょ。何でそれを真似しないかな?」
「いや、奈々子さんのように手際よく新聞配達なんて出来ないよ。どうしたらあんなに手際よく出来るようになるかな?」
「アツジ、いつもあたしと組むときにあたしの仕事っぷりを見ているでしょ。それを真似れば勝てるんじゃない?」
「でもあれ、手際は良いかもしれないけれど、一歩間違えるととんでもないミスが僕達を襲うからな」
そこで光さんが「とにかくみんなお疲れ様、私と桃子ちゃんのそうめんを食べて力を蓄えてよ」と言って僕達は奈々子さん特製そうめんを食べることになった。この暑い中風流でおいしかった。




