表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
117/207

熱き魂

 そうだ。僕達は本当の悲しみを知っている。僕の作った曲が一人でも良いから、その思いを伝えたい。そしてその悲しみを乗り越えたとき人は強くなれることを僕は伝えたい、この歌に乗せて。明日を信じて欲しい。


 僕と涼子さんは今、とあるカフェで語り合っている。


「あっ君は本当の悲しみを知っている人なんだね」


「それは涼子さんも一緒なんじゃないかな?」


「私が思うには歌や小説以外、悲しみを人にさらすような物じゃないと思っているんだけど」


「ゴメン涼子さん。僕に悲しみを聞かれて悪い気分にならなかった?」


「別にならなかったけれど、でも私は生まれてきて良かったと思っているよ」


 涼子さんは公衆便所に産み捨てられたところを発見されたと言っている。それなのに生まれてきて良かったなんて思えるなんて凄い前向きで強い女性だと思って、僕は涼子さんの事をますます好きになってしまった。


「どうしたの?あっ君、私の顔をそんなに見つめちゃって」


 頬杖をつきながら笑顔で、僕に訴えかけてくる。そんな涼子さんを見ていると、僕の鼓動が高鳴り僕は涼子さんの事を素敵な女性だと思えてくる。


「あっ君私の顔を見て、赤くなっているよ」


 ケラケラと笑いながら、涼子さんは言ってくる。


「そんなに僕顔が赤くなっている?」


 そして涼子さんは僕の顔をジッと見つめた。そんなに見つめられると、僕の心は涼子さんに染まってしまう。そうだ。染まってしまえば良いのだ。僕はそんな気丈な涼子さんが好きだ、それにそんな涼子さんを見ていると、何かその笑顔を曇らせないように僕は必死で涼子さんを守らなくてはいけないと思ってしまう。


「そろそろデートも潮時か」


 辺りを見渡してみるともう夕暮れに空は染まっている。もう少し涼子さんとこうしてお話をしていたかったが、終わりと言う物はやってくる。それは仕方がないことだ。今度、また涼子さんと映画でも行って涼子さんとお茶してもっと涼子さんの事を知りたいと思っている。

 今時涼子さんの様な女性はいないと思うけれどな、以前付き合っていた奈々子さんも素敵な女性だったが、今は涼子さんと付き合って奈々子さんには悪いが良かったと思っている。

何か今日の事で良い歌詞が出来そうな気がしてきた。僕と涼子さんは図書館に戻って見ると、奈々子さんと斎藤さんと桃子と光さんは勉強していた。


 僕達も続くように勉強を再開した。みんなに僕と涼子さんがいないときに何をしていたかなんて誰も聞く者はいなかった。僕は涼子さんを花にたとえると、ナデシコのような可憐な花だと思っている。その可憐な花を枯らすような事をしないように僕は涼子さんの心を曇らせないように大事にしていきたいと思っている。


 勉強も小説も進んで、僕達は僕と涼子さんの家に戻り、早速バンドの練習をしていた。僕達はこの短時間でここまで上達するのは凄いと光さんは言っていた。


 そして僕が作った曲の編曲をみんなで考えなければならない。


 早速みんな楽器を持ったまま編曲に勤しんでいると、桃子と光さんがご飯を作りにやってきた。


「おお、みんなやっているね」


 光さんの方を見てみると、ノートパソコンを抱えていた。


「光さん、それは何ですか?」


 と僕は聞いてみる。


「このノートパソコンには曲を編曲するソフトが入っているわ」


「それで編曲するんですか?」


「そうよ」


 早速、光さんがノートパソコンを開いて、曲を作るアプリを開いた。何だか訳の分からないふせんがいくつかに別れていた。


 ふせんにギターの表示をしてコードを入力するとコードの音が鳴った。次にベースの付箋に一弦に五の印をつけてみると、その音が鳴った。


「光さん。これ凄いですよ」


「凄いなんて物じゃないわよ。とりあえずこの機械を使いこなすには少々知識が必要だから」


 そこで僕は燃えたんだ、この機械を使いこなして良い曲を作ってやろうと、それに燃えているのは僕だけじゃなく三人も燃えていた。


「その機械の使い方を教えてくださいよ」


 すると三人も瞳に炎を感じさせるようにやる気に満ちている。


 まず光さんはパソコンのその音源のアプリでドラムの音を出した。


「あっ君この音源でベースの音をリズム良く適当に弾いてご覧なさいよ」


 僕は光さんが持ってきたパソコンのアプリにベースを繋いでリズム良く一定に弾いてみるとドラムとベースが一体になるように弾けた。リズム良く弾いてみると凄く快感な感じになってくる。


「あっくんもうこれぐらいで良いでしょう」


 と言って、光さんはアプリを止めた。


 そして光さんは僕が弾いたのをアプリで録音したらしくそれを再現するように僕がベースで弾いた音が出てきた。


「じゃあ、次、奈々子ちゃんのギターをこのアプリで録音してみるわ」


 奈々子さんはアプリに搭載されたドラムの音と先ほど僕がベースで弾いた音に重ねてエレキギターを弾いた。そして録音が終わって聞いてみると、まだぎこちない部分があるが、曲になっている。それに斎藤さんのエレキギターを弾くとまたさらに味のある曲になってきた。

 これは凄い機械だ。


「あの光さん、この機械の使い方を教えてくれませんか?」


 と聞いてみたところOKと言った感じで貸してくれた。僕はベースとギターは弾けるのでこの機械で良い曲を作ってやろうと躍起になってしまった。それは僕だけでなくみんなも同じ気持ちでこのまま僕が独り占めしたら喧嘩になってしまうと思って、みんなで使うことになった。


 涼子さんが「よし、この機械で私達だけの最高の音楽を作ろうよ」と言って僕達は燃えたわけだ。


 そしてゴールデンウィークが終わって僕達は最高の歌を作った。作詞が僕で作曲がみんなだ。キーボードの光さんもボーカルの桃子も協力してくれて作った曲だ。それをスタジオで演奏してみると凄い迫力で胸が熱くなり、凄く良い曲が出来たと僕達は思った。


「最高だよ。みんな」


 そこで音楽を作るアプリと比べて見ると、ほとんどそのままだ。これでコンクールに出るのも悪くはないと思った。僕達六人が集って演奏した曲だ。改めてパソコンのアプリで収録した今演奏した曲を聴いてみると、JPOPバリの良い曲になっている。


 もっとみんなと練習して曲作りに専念したいところだがあいにく新聞配達の仕事が入っている。僕達はスタジオを後にして、新聞配達所に向かった。


 何だろう曲を作ったせいかまだ胸が熱い。この熱はそんじょそこらの逆境には負けない熱さである。新聞配達は今日は奈々子さんと僕が組み、斎藤さんと涼子さんが組むことになった。奈々子さんも斎藤さんも涼子さんも瞳の奥が燃えるように熱く感じられるのはなぜだろう。


 僕達はその熱にあやかりながら僕達は新聞配達に勤しんだ。僕達はライバル兼友達同士であり、涼子さんは恋人兼ライバル関係だ。そんな僕達を遮る物は誰だって容赦はしないといった感じだ。そうこの僕達四人がそろって僕達は胸を熱くして動いている。


 本当に僕は光さんからの誘いで図書館に行って光さんと出会い英明塾で奈々子さんと恋人関係になった。そして涼子さんと斎藤さんと出会い、さらに奈々子さんとは別れて今は涼子さんと付き合っている。僕達は負けたりはしない。どんな事でも勝ち進んでやると思っている。


 それに今は新聞配達の仕事の真っ最中だ。今日は奈々子さんと組んでいつもの団地に新聞を配っている。そして勝負には負けて悔しい思いをしたが、何かとてつもない心の底から熱くなれる物が僕達から離れない。


 どんな逆境も僕達の心の底から沸き起こる熱き魂で乗り切って見せる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ