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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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東雲(しののめ)奈々子の気持ち

 涼子さんは僕が家に戻った方が良いと言っているのか?そんな事を思っていると涼子さんは深い深い眠りについていた。


 涼子さんは言っていた。涼子さんは自分の人生を呪っていたと。それとすれ違う両親がいる子供と代わりたいとも言っていた。


 だんだん涼子さんの暗い過去が赤裸々になってきた。僕はお互いの事を知ることは良いことだと思うが涼子さんの暗い過去に遭遇したら僕はどんな気持ちになってしまうのか?それを恐れていた。


 それと東雲さんも僕達といて辛くは無いのか?僕に優しく接してくる東雲さんは僕のことを完全に拒否しているサインだ。東雲さんは本当に心を開いた人間ではないとその心を開いたりはしない。


 そんな東雲さんを目の当たりにすると僕は本当に辛い。それでも東雲さんは僕達と共に勉強に励むことは怠ったりはしない。


 もう東雲さんとは本当に縁を切った方が良いんじゃないかと僕は思い始めた。今は光さんの家に泊まっているらしいが、それがいつまで続くのか分からない。そう思うと僕は東雲さんを家から追い出した事になってしまっている。


 眠れない夜は今日も続いた。僕は東雲さんと別れるべきではなかったのではないかと思い始めた。涼子さんは素敵な女性だ。でも付き合ったばかりでお互いの事をよく知らない。これから知っていけば良いんじゃないか?東雲さんだって、勉強に付き合ってくれているし、僕の事が気がかりなのは仕方が無いことかもしれない。


 僕が考え事をして眠ろうとしたが眠れない。すると僕の手に暖かい手が添えられていた。それは涼子さんの手だった。


「眠れないのあっ君」


 そんな僕に気をかけてくれる涼子さん。


 すると涼子さんは僕の布団に入ってきて、僕を思いきり抱きしめた。


 それは凄い暖かい温もりだった。


「奈々子の事を考えていたのかな?それとも私の事を考えて眠れなかったのかな?」


「両方だよ」


 すると涼子さんの抱擁がさらに強まった。


「私はあっ君に奈々子に渡したくない。あっ君は私の大切な人だよ。多分気づいているだろうけれど、私には暗い過去がある。小学校の時、私が便所で捨てられたと言って、みんなにいじめられていたよ。先生も私のことを見て見ぬふりをしていた。どうして当たり前の様に両親がいるのに、みんなとは違うからと言って私がいじめられるのか?不思議に思ったりしていたよ」


 思った通り涼子さんには辛い過去があったんだ。続けて涼子さんは。


「それで中学に入って決めたんだ。どんな辛いことがあっても笑っていようと。そうすると私の味方をしてくれるのは中学に入って、施設に両親を亡くした翔子が現れた。翔子も自分の置かれた立場を呪っていたよ。それで思ったんだ。どんな辛いことがあっても笑っていようと。前向きに考えていれば良いことがあるって、それで翔子は私についてきてくれた。翔子は明るい私を見ていて、遊園地にいるよりも楽しいって言ってくれた。そして私と翔子は二人きりになってとにかく明るく勉強も頑張って、学年一位二位を私と翔子で独占したんだ。それで私と翔子にいじめをする人間はいなくなったよ。私と翔子は二人きりになってしまったんだけど」


 なるほど。涼子さんは僕と違って前向きに進むことが出来たんだ。さらに続けて。


「それであっ君と同じクラスになって、いつも安井にいじめられているあなたに声をかけようと思ったけれど、何かあの時、安井がとても怖くて近づけなかった。それであっ君は夏休みが終わると、学校に来なくなってしまったよね。それでしばらくして、学校に来たとき、凄いりりしい表情で学校に来たことを私は覚えているわ」


「あの時は光さんにテレビで誘われて、図書館に行っていたんだ。それでいろいろあって、奈々子さんと出会う事が出来たんだよね」


「ふーん。それであなたが学校に来て、あの安井を撃退したことには驚いたし、何か胸がキュンとするような気になっちゃったんだ。それで奈々子も学校に来て、あなた達は私達の成績を破るように、一位二位を独占して、何か悔しかったけれど、何か運命を感じたんだよね」


 運命か、僕達はまるで運命に引き寄せられるように出会った。僕は涼子さんの暖かい抱擁に眠りにつくことが出来た。それはもう暖かい抱擁だった。


 そして朝三時にスイッチが入るように起きて、西宮さんはすでに起きていて、僕に朝ご飯を作ってくれた。


「あり合わせの材料で作ったんだけど、これぐらいで朝は大丈夫でしょ」


 メニューはトーストにベーコンエッグにサラダだった。いつもは僕が作ったけれど、こうして涼子さんに作って貰った朝ご飯は凄くおいしかった。


 さて朝ご飯も食べたことだし僕達は自転車で新聞配達所まで行った。するともうすでに東雲さんと斎藤さんは来ていた。


「あら二人とも早いじゃない」


 西宮さんが言う。


「涼子達には負けてられないからね。それと長谷川君おはよう」


 奈々子さんに笑顔でそう言われて僕はちょっとぎこちないが「おはよう」と挨拶をした。


 それで今日は僕と東雲さんと組むことになり、もう一方は斎藤さんと涼子さんがつくことになった。


 やはり東雲さんとは何か気まずい感じがした。


 東雲さんとやっていると東雲さんは僕に笑顔で優しく対応してくる。それはいつも言っているとおり、東雲さんは嫌いな人に対して優しく振る舞う癖がある。なぜか僕はそれに応えた。


 社長も僕に意地悪をしているのか?東雲さんと組むことは僕にとって凄く気まずい。考えてみればそんな事は無いだろう。社長は僕と東雲さんが別れた事を知らない。


 東雲さんの仕事ぶりは、いつものように僕なんか気にせずにテキパキと仕事をこなしている。東雲さんは僕と別れて辛くないのだろうか。東雲さんにまだ僕は好意を抱いている自分が存在している。


 確かに今は涼子さんと付き合っているが、東雲さんは何を考えているのか分からないが、僕の事を嫌いにならないで欲しい。もう東雲さんとは付き合う事はないが、せめて、あの心を許したツンツンしたいつもの東雲さんに戻って欲しいと僕は願う。


 そんな事は本人には言えないが、いや、僕が言う権利は無いだろう。でも東雲さんは何を考えているか分からないが、僕のことを嫌っている。そりゃそうだよな、東雲さんから涼子さんと付き合うことになってしまったのだから。


 まあ、そんな東雲さんといると辛いがこれは仕方が無いことなんだよな。


 そして新聞配達が終わって、帰りに東雲さんは言った。


「別にあたしは長谷川君の事を嫌っているわけじゃないから、でもあたしはあなたと涼子の関係を邪魔するつもりは無いから」


 東雲さん、いや奈々子さんはエスパーか?僕の心を読んでそう言った。それで僕の心は砂漠に水が入るように潤った。


 そうか、奈々子さんは別に僕を嫌っている訳じゃ無いんだ。


 そして配達所に戻るとすでに涼子さんと斎藤さんはもうすでに到着していた。


「ほら、長谷川君がもたもたしているから、涼子達に負けちゃったじゃ無い」


「ゴメン、奈々子さん、じゃなくて東雲さん」


「別に奈々子で良いわよ、あたしもこれからはアツジと呼ぶから」


 そんな光景を見られたら涼子さんに誤解されてしまう。でも涼子さんは何が嬉しいのか穏やかな菩薩のような笑顔で僕と奈々子さんを見ていた。涼子さんは奈々子さんと違って心が広いんだなあと感服されてしまう。


 そして四人で僕と涼子さんの家に行き、早速勉強タイムだ。今日は奈々子さんに対して違和感は感じられなかったので、気兼ねなく勉強アンド小説に没頭できた。


 僕達の小説アクセス回数を見てみると僕が千五百回数で、奈々子さんが千二百回数で涼子さんが千五百回数で、そして斎藤さんは二千五百回数を回っていた。


 相変わらず斎藤さんには勝てない。


 それよりも光さんはいつも五千回数を占めていると言っていた。僕達もそれを目指して面白い者を片っ端から見ていくしか無いな。


 そしてそろそろ学校に行く時間だ。僕達は制服に着替えて、学校へと向かっていった。

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